巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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全身全霊の言葉

2013-05-29 23:17:37 | 日記
「見えない轍(わだち)を残すのだ」

酒があれば
酒の話を
なんにもなければ
なんでもない
空の話を


夜は
見えない闇の
見えない宴
太陽の
預かり知らぬこと


犯人は
わたしだ
でも
お月さま
見逃してください


見えない
轍を残すのだ
詩人にだけ見える
この轍に
続け


こんなに歩いたのに
まだ続くのですか
けっして
胸を張れない道なのに
遥か


こころが
内出血して
苦しいのに
黙って
笑うしかない


つつじ
空を焼くには
まだ足りぬ
もっと
燃えろ


氷が
溶けて
話は終わった
そう
終わったのだ


複雑骨折の
過去が
そのままで
私が私に
くっついていない


http://ameblo.jp/ryo-kuzuhara/entry-11530131898.htmlより


ムジカマジカの葛原りょうさん。


私にこんな才能はありません。

彼に匹敵するような何か別の才能が私にあるかどうかすら分かりません。

今週日曜日、1年ぶりに彼に会いに行きます。

全身全霊の言葉をこの一身に浴びるために!

書き手と読み手

2013-05-29 00:12:32 | 日記
ここのところ、このくらいの時刻から1,2時間。

コツコツ、コツコツ、と。

まだまだリハビリ段階ですな。「ゾーン」には入ってないです。

あ、読書は結構マメにしています。今日も一冊読了。

5年前の自分の選択が間違いでなかったことや、当時どうしてあの選択をせざるを得なかったのか、そして今何をなすべきか、などが分かった気がします。

という訳で書き手も頑張りますので、読み手も頑張って行きましょう!

筆に任せて

2013-05-28 01:54:10 | 日記
ゆっくり書いてます。

今までの作品は家族が起きていても寄せ付けないオーラで書きまくっていたのですが、今は気が散って無理なので寝静まってから少しずつ。

今ならまだどういう展開にでも持ち込めるので、楽しみながら書いてます。

筋書もオチもなく。ただ、こんな感じかなというイメージ?だけを持って。

頭で考えて書くのでなく、筆にすべてを任せてみるとどうなるのかある意味楽しみです。

無題

2013-05-25 23:49:07 | 日記
我が家は積み木をいくつか組み合わせたような建て売り住宅が立ち並ぶ団地の一角にある。どこにでもいる普通のサラリーマンと専業主婦の夫婦が息子一人を育てる何の変哲もない平凡な家庭だ。ウチから3ブロックほど北に古い平屋建ての家がある。そこに「師匠」は一人で住んでいる。ご近所さんは秀爺などと呼んでいるが、口の悪いウチの親父は「世捨て人」と切り捨て無関係に過ごしている。親父から「あのろくでなしに近付くんじゃないぞ」と教育されて育った僕は小学校に上がるまでは親父と同じように師匠のことを遠ざけて過ごしていた。あの瞬間のあの目を見、あの言葉を耳にするまでは。

今思うと、親父も不憫だったと思う。自分を捨てた父親を自宅の傍に住まわせ、何かあったときに備えていたのだから。その懊悩は今この年齢の僕には分かりっこない。

師匠のもとに足繁く通うようになった僕を親父は最初は面白くなく感じていたようだったが、そのうちに好きなようにさせてくれるようになった。今思えば、自分が傍で世話をするつもりがない分、代わりに僕が行くことで安心のようなものを得られると思い直したのかもしれない。親父の心変わりの理由はいくらでも思い付くが、「師匠」のことについて親父と深く論じたことがないので本当のところは分かりっこない。


師匠はいつも干からびている。何も求めないし、何も与えない。実質的には生きていると言えない状況なのかもしれない。僕は暇さえあればそんな師匠の傍で読書に耽っていた。

僕が読んでいたのは太宰治全集。「師匠」の家の書棚に置いてあるのを見付け端から読み始めて今4冊目だ。太宰の退廃的な生き様の末路が伏せっている師匠の姿と何となく重なって見えることがある。師匠は床に就いたまま、僕が一心不乱に読んでいる本の表紙に時折目を向けることがあった。そんなとき師匠は決まってすぐに視線を逸らし、ふんと鼻で小さく息を鳴らした。僕はその仕草を認めると、なんだか今自分が読んでいる本がまるで無意味なものに思えて本を畳み、帰り支度を始める。

あるとき師匠は玄関に向かう僕の背中に「おい」としわがれた声で呼びかけた。僕は仰天して師匠のほうを振り返った。師匠は上半身を起こして僕に語りかけていた。

師匠の言葉はいわゆる言葉ではなかった。何か僕の脳波を刺激するような形で伝わってきた。

「お前......」

「な、なんですか、師匠?」