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国家公務員試験の変更について

2012-10-21 14:34:13 | 日記
9月に公務員試験についてお伝えしましたが、平成24年度から「国家公務員試験」が変更になっています。

新試験での最初の大学別合格者数も発表されていますので、今回はその概要についてご紹介します。

詳しくは「人事院」のホームページで確認してくださいね。


【1】採用試験の見直しの目的

少子化の進展、公務員に対する批判など、公務の人材確保が厳しい状況にあり、新たな人材供給源を開拓し、行政サービスの基盤を支える優秀かつ多様な人材を確保するため。
能力・実績に基づく人事管理への転換の契機とするために、従来のキャリア・システムに連関している採用試験体系を抜本的に見直す。

★つまりは、エリート官僚主導の硬直した組織風土を公務員試験にさかのぼって変革しようという狙いがあります。


【2】主な内容の変更点

1.試験体系の変更

●現行のⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種試験を廃止→『総合職試験』及び『一般職試験』に再編
●『総合職試験』に「院卒者試験」を創設
●「院卒者試験」に新司法試験合格者を対象とした「法務区分」を設ける
●『総合職試験』に企画立案に係る基礎的な能力の検証を重視した「教養区分」を設ける
●『一般職試験』に「社会人試験(係長級)」を設ける
『専門職試験』及び『経験者採用試験』を創設

★これは、受験者を幅広く採用しようと狙いがあります。

2.能力実証方法の改善

●知識より論理的思考力・応用能力の検証に重点を置いた「基礎能力試験」を設ける
●人物試験を的確に行うため「性格検査」を実施
●『総合職試験』の「教養区分」に、政策企画立案能力及びプレゼンテーション能力を検証する「政策課題討議試験」を導入

★これは、従来の国公立大学(特に東大・京大等)の学生に偏りがちな採用を改善するという狙いがあります。


【3】採用試験の区分と内容

1.『総合職・・・主として政策の企画立案等の高度の知識、技術または経験を必要とする業務に従事する係員の採用試験

≪試験区分≫

●院卒者試験・・・行政、人間科学、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産・農業農村工学、森林・自然環境、法務(新司法試験合格者対象)
※法務区分は新司法試験合格者を対象

●大卒者程度試験・・・政治・国際、法律、経済、人間科学、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、農業農村工学、森林・自然環境、教養
※教養区分は受験生の有する深い教養や企画立案に係る基礎能力を検証する

≪受験資格≫

●院卒者試験・・・30歳未満で大学院修了及び終了見込みの者

●大卒程度試験・・・21歳以上30歳未満の者(21歳未満で大学卒業及び見込みの者、教養区分は20歳の者も受験可)

≪試験種目≫

●院卒者試験

(法務区分以外)
・1次・・・基礎能力試験(多肢選択式)、専門試験(多肢選択式)
・2次・・・専門試験(記述式)、政策課題討議試験、人物試験

(法務区分)
・1次・・・基礎能力試験(多肢選択式)
・2次・・・政策課題討議試験、人物試験

※基礎能力試験(多肢選択式)の内容
・知能分野24題・・・文章理解⑧、判断・数的推理(資料解釈含む)⑯
・知識分野6題・・・自然・人文・社会⑥(時事含む)

●大卒程度試験

(教養区分以外)
・1次・・・基礎能力試験(多肢選択式)、専門試験(多肢選択式)
・2次・・・専門試験(記述式)、政策論文試験、人物試験

(教養区分)
・1次・・・基礎能力試験(多肢選択式)、総合論文試験
・2次・・・政策課題討議試験、企画提案試験(小論文及び口述式)、人物試験

※基礎能力試験(多肢選択式)の内容
・知能分野27題・・・文章理解⑪、判断・数的推理(資料解釈含む)⑯
・知識分野13題・・・自然・人文・社会⑬(時事含む)

2.『一般職』・・・主として事務処理等の定型的な業務に従事する係員の採用試験

≪試験区分≫

●大卒者程度試験・・・行政、電気・電子・情報、土木、建築、物理、化学、農学、農業農村工学、林学

●高卒者試験・社会人試験(係員級)※・・・事務、技術、農業、農業土木、林業
※社会人試験(係員級)は採用予定がある場合に実施

≪受験資格≫

●大卒程度試験・・・21歳以上30歳未満の者(21歳未満で大学卒業及び見込みの者、教養区分は20歳の者も受験可)

●高卒者試験・・・高校卒業見込み及び卒業後2年以内の者(中学卒業後2年以上5年未満の者も受験可)

●社会人試験(係員級)・・・40歳未満の者(高卒者試験の受験資格を有する者を除く)

≪試験種目≫

●大卒程度試験
・1次・・・基礎能力試験(多肢選択式)、専門試験(多肢選択式)、一般論文試験[行政区分]、専門試験(記述式)[行政以外の区分]
・2次・・・人物試験

※基礎能力試験(多肢選択式)の内容
・知能分野27題・・・文章理解⑪、判断推理⑧、数的推理⑤、資料解釈③
・知識分野13題・・・自然・人文・社会⑬(時事含む)

●高卒者試験・社会人試験(係員級)
・1次・・・基礎能力試験(多肢選択式)、適性試験(多肢選択式)[事務区分]、専門試験(多肢選択式)[事務以外の区分]、作文試験[事務区分]
・2次・・・人物試験
※基礎能力試験(多肢選択式)の内容
・知能分野20題・・・文章理解⑦、課題処理⑦、数的処理④、資料解釈②
・知識分野20題・・・自然科学⑤、人文科学⑨、社会科学⑥

3.『専門職試験』・・・特定の行政分野に係る専門的知識を有するかどうかを重視して行う係員の採用試験

≪試験の種類≫
●大学卒業程度(*印は新設)
*皇宮護衛官採用試験(大卒程度) 
*法務省専門職員(人間科学)採用試験
・外務省専門職員採用試験 
*財務専門官採用試験 
・国税専門官採用試験
*食品衛生監視員採用試験 
・労働基準監督官採用試験 
・航空管制官採用試験

●高校卒業程度
・税務職員採用試験 
・皇宮護衛官採用試験(高卒程度) 
・入国警備官採用試験
・刑務官採用試験 
・航空保安大学校学生採用試験 
・海上保安学校学生採用試験(特別、船舶運航システム課程・情報システム課程・海洋科学課程、航空課程)
・海上保安大学校学生採用試験 
・気象大学校学生採用試験

≪受験資格≫

専門職種の特性等を踏まえ、試験ごとに設定

≪試験種目≫

・1次・・・基礎能力試験(多肢選択式)
・2次・・・人物試験
他に専門職種の特性等を踏まえ、試験ごとに設定

4.『経験者採用試験』・・・民間企業等における有為な勤務経験を有する者を係長以上の職へ採用することを目的として行う中途採用試験

≪試験の種類≫

採用予定がある場合に、府省別、職制段階別に実施

≪受験資格≫

大学卒業後5年以上又は高校卒業後9年以上の年数が経過していること
なお、対象となる官職を踏まえ、試験ごとに設定

≪試験種目≫

・1次・・・基礎能力試験(多肢選択式)
・2次・・・人物試験
他に対象となる官職を踏まえ、試験ごとに設定
※試験ごとに選択される試験種目・・・政策課題討議試験、政策論文試験、総合事例研究試験、一般論文試験、専門試験(記述式)、外国語試験、経験論文試験、総合評価面接試験


【4】採用候補者名簿の有効期間

●総合職・・・院卒者・大卒程度試験は3年
●一般職・・・大卒程度試験は3年、高卒者試験及び社会人試験(係員級)は1年
※合格者は国家公務員になれる資格を有することになり、この期間内に各省庁で採用試験を受け内定となります。


これらの難関を突破して、晴れて国家公務員となりますが、採用後に求められるのが「外国語能力」と歴史的感覚を背景とした幅広い視野・柔軟な発想力、交渉力・発信力などの「国際感覚」です。

各府省の採用面接において、採用選抜の参考とするため、TOEICなどのスコアを聞かれる場合もあります。
国際関係業務において適切なコミュニケーションができるレベルを目標に、大学では外国語能力の向上に努めておくことが必要です。

また、「基礎能力試験」は知識よりも論理的な思考力・応用能力の検証に重点を置くとありますが、基本は基礎的な知識が絶対的に必要です。これはセンター試験レベルの勉強が十分にできていることが前提となりますので、国家公務員への最短距離は、ランクの高い大学受験をクリアしておくことに変わりはありません。


≪2012年度の『総合職』試験の大学別合格者ランキング(一般行政職)≫

1位・東京大学
2位・京都大学
3位・早稲田大学  
4位・慶應義塾大学  
5位・東北大学
6位・大阪大学、北海道大学  
8位・九州大学  
9位・一橋大学  
10位・東京工業大学、岡山大学
12位・東京理科大学  
13位・中央大学  
14位・立命館大学、明治大学  
16位・名古屋大学
17位・神戸大学  
18位・金沢大学  
19位・東京農工大学、広島大学 、大阪市立大学