自動車整備業&車両販売業のCS経営をコンサルタントする TIO21ブログ

自動車整備業、車両販売業のCS経営のためのコンサルティング、現場改善指導、制度設計、社員教育、各種セミナー・講演

自動車整備の安全作業のすすめー5.ヒヤリハットと安全教育

2011年08月12日 | 人事・労務全般


おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自動車整備の安全作業のすすめー5.ヒヤリハットと安全教育、です。

ある整備工場のマフラー交換作業で、見ていた私が「ヒヤリ」とした経験がある。
マフラーの取り外しが上手くいかず、メカニックは長さ1mほどのパイプを持ってきて、
マフラーにあてがい、力の限りパイプを押した際に、勢い余ってパイプが飛んで行って、
別なメカニックにぶつかりそうになったのだ。

作業を行ったメカニックは、思わず舌をだし、ほっとした表情を浮かべ、
隣のメカニックに「ごめん、ごめん」と謝っていた。

こうした思わず「ヒヤリ」としやことや「ハット」した経験は、誰しも持っていると思う。
整備作業における労働災害を「0」にするには、こうした小さな出来事を減らすことが必要だ。

昨日のブログで、労働災害をなくすためには「安全・衛生の先取り」が必要だと書いたが、
この「ヒヤリ」「ハット」は、事後対策になるが、結果的には「先取り」と同じ効果がある。

それは、ヒヤリやハットの原因を突き止め、その原因に対策すれば、事後の結果を基にした、
「先取り」になるからだ。したがって、ヒヤリ&ハットを先取りの「原資」として捉え、減らす対策を
講じることだ。

ヒヤリやハットを、「あいつはおっちょこちょいだからな~」とか「注意が散漫だから起きるんだぞー」
などと、起こした本人の性格的なこととして、処理し「以後注意しろよなー」で終わらせてしまう。
これでは、ヒヤリハットは減らない。

確かに本人の性格的なこともあるが、それは裏を返せば、誰でも起こす可能性があることなのだ。
つまり、本人の特性と言うよりも「人間の特性=ヒューマンエラー」、として扱い、
全社で減らすための対策が必要である。

では、ヒューマンエラーとは、どのようなことだだろうか。
ヒューマンエラー(不注意)は、
 1.人間の能力の限界 =見えない、聞こえない、覚えられない
 2.錯誤(スリップ)    =取り違え、思い込み、考え違い
 3.失念           =うっかり、ぼんやり、一時的な物忘れ
 4.知識&技量不足    =知らない、できない

の4つのカテゴリーがある。これに、「違反(めんどうだから、たぶん大丈夫、少しだけだから、
皆もやっているから)」が加わったのが「不安全行動」である。

不安全な行動を減らすこと、なくすことが、労働災害を減らす次のステップになる。
そこで、日常的にあるヒヤリハットを全社員で共有することから、始める。

毎日の終礼時(または朝礼時)に、「今日(昨日)のヒヤリハット」を報告させること。
この時に、原因が何か、どうすれば防げるか、も一緒に報告させること。

この原因と防止策を職場単位でミーティングしてもらい、防止策を中心に適切であるかの
評価を行い、別な対策がある場合は、それを朝礼等で発表してもらう。

この評価の際に「指差し呼称」の対象になることも含めて、評価をするとよい。
この指差し呼称が必要ということになれば、重要事項と言うことになるし、社員の認識も
高まることになる。

当然、その防止策が有効かどうかを、全員で検証し確認後に、会社の実施ルールとして
標準化する。

以上を通じて安全衛生教育を行うことになるが、教育の精神は、不安全な行動は誰にでも
起こりうることであり、不安全な行動を減らすことが、自分自身の身を守ることになる。
このことを、口が酸っぱくなってもいいから訴え続けることだ。

労働災害は「0」が当たり前である。
このことを経営者は当然として、工場長やメカニックに至る全社員が、同じ思いで
仕事に当たることが、何よりも大事なことである。

昔気質の経営者だと、火傷や擦り傷などは当たり前。それは「勲章」だと思え、といった
威勢のいい声になり、ある程度の怪我は整備作業に付きものといったことになる。

しかし、それはむしろ有ってはならないこととしなければ、労働災害は「0」にならない。
考え方を改めて、労働災害「0」を自慢できる整備工場になって欲しいものである。


株式会社ティオ
お問い合わせ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自動車整備の安全作業のすす... | トップ | マンホールの蓋、その45(... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

人事・労務全般」カテゴリの最新記事