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整備業の賃金制度のあるべき姿1.賃金制度の色々と業界の現状

2011年10月31日 | 人事・労務全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、整備業の賃金制度のあるべき姿ー1.賃金制度の色々と業界の現状、です。

整備業界の売上低迷の主要因は、価格競争による単価の下落である。
このことは、売上だけはなく、最終利益に大きく影響を与えることになる。

価格競争に負けないためには、現在のコスト構造を見直し、ローコスト
運営ができる会社に体質を変えなければならい。

コストの多くを占めるのが「人件費」である。
ごく単純だが、平成22年度版整備白書の整備要員一人あたりの整備売上高と
年間給与から推定した労働分配率を見てみると、何と59.6%にもなる。ザックリ60%だ。

粗利益の60%を人件費に支払い、残り40%で物件費を賄って利益を出すには、よほど物件費
を低く抑えないとならない。または、売上をより高めることが必要だが、価格競争や保有台数の減少
などでこれは、容易くない。

では、人件費を抑えることになるが、整備業界の給与水準は、他産業と比べて高い方ではなく、
むしろ低目と言わざるを得ない。そのような中で、人件費の削減は、人減らし以外は難しい。

しかし、ギリギリの人員で仕事をこなしている多くの工場では、人減らしは仕事の量と同時に、
質の低下を招くことになり、現実的には難しいと言わざるを得ない。そこで、賃金制度の
見直しによって、健全経営と社員満足度の両立を図ることになる。

給与は、動機づけ要因ではなく、不満要因ではあるが、給与水準が低ければ、労働意欲は
削がれてしまう。そうならないためにも、あるいは業界が働く魅力がある職業になるためにも、
給与総額をそのままにしてでも給与水準は、今以上に上げることが必要だ。

では、どうするか?それは、賃金制度の改革にほかならない。

制度の中身の基本は、頑張った社員には手厚く、そうでない社員には、それなりの賃金を支払う制度に
改めること。いわゆる成果型制度である。

賃金制度には、大きくは年功給賃金と能力型賃金の二つがある。
年功給賃金は、日本古来からある賃金制度で、その代表が「年功序列型賃金」である。

もう一つ年功給の変形として「職能給制度」がある。日本の企業の約9割がこの制度だと言われている。
これは、個人が持っている「能力」に対して賃金が支払われる制度で、一見すると能力給に見えるが、
実態は年功給に近い。

仕事の能力は年齢、つまり勤続年数に応じて高まることになる。と言うことは、勤続年数が
長い人ほど能力が高く、賃金が高いことになる。これは、どう見ても年功給に限りなく近い。

年功序列給と職能給の大きな違いは、私に言わすと「人事評価」を実施しているかと「職務基準」が
現場の実態に限りなく近く明確かどうかの二点である。この二点が曖昧だったり、行かされてない
能力給は、能力給と言わざるを得ない。

バブル崩壊以降注目されてきたのが「職務給」といわれるものだ。
これは、同一職種同一賃金の賃金制度で、「職務(役割)」に対して価値をつけ、給与額を決める制度である。
持っている能力ではなく、仕事の役割(価値)に対して賃金を支払う制度である。

年齢が18歳であろうと60歳であろうと、勤続年数が違っても職務が同じであれば、同じ賃金である。
また基本的に定期昇給という概念がなく、同じ仕事をしている間は賃金の上昇はない。

極端に言えば、新社員から定年まで同じ職務についていれば、賃金はこの間同じ額になる。
こうしたことから、定昇を考慮しないですむこともあって、会社にとっては大きなメリットと言える。

考えてみれば、どんなに高い能力を持っていても、それが価値ある仕事になっていなければ、
能力は無いに等しことになる。これでは、賃金制度が不合理なものになってしまう。

そこで、職務給=役割給が注目されているのだ。

日本の風土では、純粋な職務給から、職務を通じた期間の成果と同時に、組織への貢献など、
多面的な要素を評価して給与が決定される方向にある。


株式会社ティオ
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