自動車整備業&車両販売業のCS経営をコンサルタントする TIO21ブログ

自動車整備業、車両販売業のCS経営のためのコンサルティング、現場改善指導、制度設計、社員教育、各種セミナー・講演

H23年度整備白書からの報告ー4.5年ぶり給料は改善されたものの

2012年04月26日 | 業界動向

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、H23年度整備白書からの報告ー4.5年ぶり給料は改善されたものの、です。

H23年度の整備要員の給与は、専業工場が3,522千円、前年比+54千円、+1.6%となり、
5年ぶりに前年を上回る実績となった。

ディーラーの整備要員の給与は、4,153千円、前年比+103千円、+2.6%で、
4年ぶりに前年を上回った。

専業工場とディーラーのアップ額を見てみると、定期昇給の部分もあるが、それ以上に「残業」に
よるところが大きいように感ずる。

つまり、定期昇給なりの意識して賃金を改善したのではなく、仕事量(単価アップ)が増えたことで
残業が増え、それによって結果的に給与が改善されたと、推測している。

賃金生産性を見てみると、
・専業工場: 2.9千円(売上高10,126千円÷給与3,522千円)
・ディーラー:5.9千円(整備売上高23,209千円÷給与4,153千円)
となる。

賃金生産性とは、給料1千円に対して整備売上高がどれくらいになっているかを見る経営指標だ。
平たく言えば、給与の何倍の整備売上高を上げているか、と言うことである。

専業工場は給与の3倍の売上を上げていない。整備売上高が改善され、尚且つ給与も改善されて
その結果の賃金生産性が、3倍を超えることが必要だ。

その3倍と言うのは、最近あまり耳にすることが少なくなったが、「自分の給与の3倍稼げ」という、
健全経営の一つのバロメーターだからだ。

理屈は、健全経営の労働分配率50%以下、整備粗利益率60%以上で賃金生産性は3倍になるのだ。
仮に100千円の給与で、労働分配率50%、整備粗利益率60%で計算すると、次のようになる。

・100千円÷0.5(労働分配率)=200千円(必要粗利益)
・200千円÷0.6(整備粗利益率)=333千円(必要整備売上高)
・333千円÷100千円=3.3倍

ディーラーは、賃金生産性5.9千円というのは、とても立派な実績で、専業工場の2倍も高い生産性
を上げていることになる。

一才当たりの賃金は、
・専業工場:  73.2
千円(前年比0円、±0%)
・ディーラー:126.6千円(前年比+2千円、+1.6%)
となり、専業工場は前年と同額となった。

これは、賃金が改善れれてはいるが、平均年齢も上昇しているためである。
因みに、専業工場の平均年齢は48.1才、前年比+0.7才、+1.5%。ディーラーは、32.8才、前年比+0.3才、+1.5%であった。

専業工場平均のA1工場(整備要員数2~3名規模)では、整備要員の平均年齢は52.5才で、
前年よりも0.9才平均年齢が高くなっている。専業工場は、整備要員の新陳代謝が進んでいないのが現状だ。

H23年度は、専業工場の全規模で、整備要員の平均年齢が40才を超えた。
因みに、A1規模=52.5才、A2規模=45.4才、B規模=41.2才、C規模=40.0才、D規模=40.4才となっている。

年齢が高くなることで、ハイテクカーなどの高度な整備への対応不足や、労働意欲の低下などが心配になる。
特に、ハイテクカーの整備技術は、整備工場の生き死にを左右することにもなりかねない、不可欠な技術力である。
そうした面からも、若手の整備士の採用が望まれるところである。

また、整備要員不足による認証廃業がH23年では全国で40工場あった。
この先、この数字が大きくなることが危惧される。

整備業界全体が、より近代化され、その中で「待遇面」で、他産業と比べても魅力ある職業にしていかないと、
なり手の確保は、難しくなると言わざるを得ない。


問い合わせ先 株式会社ティオ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする