広島で芝居を楽しむためのブログ

広島での観劇レビューや日々思うこと徒然と。芝居で生の驚き、生の迫力、生の感動を多くの人に知ってもらいたい。

公演名:KERA CROSS 第2弾「グッドバイ」

2020年02月04日 | 観劇レビュー
日時・場所:
 2020年1月21日~ 18:30/JMSアステールプラザ
原作・作・演出:
 太宰治(「グッド・バイ」)/ケラリーノ・サンドロヴィッチ/生瀬勝久
出演:
 藤木直人・ソニン・真飛聖・朴璐美・長井短・能條愛未
・田中真琴 MIO・YAE・入野自由・小松和重・生瀬勝久
感想:
 客入りはほぼ満席。
藤木ファンもソニンファンも
全盛期を過ぎたというべきか
ファン層の年齢も上がってきたためか
派手さはなくミーハー系もほぼ見られない
大人しめの客席。
いつもどおりの女性優位の配分で
男性層はカップルの片割れ感が強い。
U25チケットの恩恵か
学生グループがチラホラ見られ
将来の広島舞台ファン獲得には良い
撒き餌ではないでしょうか。
この子達の何割が帰ってきてくれるのか!?
この中の一握りでも芝居好きに育ってくれ!!
 さて、芝居はさすがケラリーノ
テンポ良し、展開良しで
2時間半という時間を感じさせない。
最近人気の2.5次元舞台の影響か
ドラマチック?漫画チック?アニメチックな?
オープニングもあり劇の最初から
ぐいぐいハートをつかみにきちゃいます。
でも、歌唱についてはあまり得意でない?
力を入れていない?感じがするのはなぜ?
上品な関東系芝居の限界でしょうか。
勢いの関西系なら歌謡ショーと化すのですが
そっち系の芝居でないので寸止めでしょうか。
 舞台セットは手間暇がかかっています。
一階二階の上下二段セットで
足場のみのスケルトン構造は
組み立て、ばらしが大変だろうなぁ。
逆に手持ち小道具は少な目で
空手での演技が多く良い感じ。
 服飾は昭和初期のため着物や洋服が混在ですが
太宰治原作ということで派手さなどは不要で
オーソドックスな誂えでした。
 そうそう、演者ですね。
“生”生瀬はやっぱり良いですね。
曲者、小策士などを演じさせれば
さすがの存在感です。
ソニンは・・・。
役作りなのでしょうけど
あの演技は賛否があるかなぁ!?
必要かとは思いますが
違った方向での演出を試みたほうが
良かったと個人的には感じます。
ちなみにソニンは想定より細いです。(笑)
さすがは芸能人!?
しかし、さらに藤木が細いのは
さらにびっくりでした!!
でも、演技はまぁ普通です。(笑)
演技うまさは、さすが真飛聖ですが、
個人的には声が好きな朴ろ美押しで、
他の女性陣は妖艶さが足らず・・・。
逆に入野や小松の方が
舞台らしい癖のある演技でよかったです。
 原作は太宰の未完小説。
どこまで書かれ
どこから続きで
何を足したのか。
脚本や演出の腕が試されるのは確かですが
元ネタが面白い設定なので安定感はあります。
しかし、シナリオ的に
ソニン・アンド・藤木が互いに
惹かれたのにあまり説得力がなかったのが??
まぁ、あまり男女関係ってやつに
疎い身ですから仕方ありませんが。(笑)
 それでは、お待ちかねの総評です。
Bマイナーです!!
せっかくの豪華キャスト、そして、数々の女性陣。
と、いうことで皆さんご存じのとおり
個人的にはもう少しノリと勢い、
そして、お色気が欲しかった!!

公演名:コムレイドプロデュース『神の子』

2020年01月17日 | 観劇レビュー
日時・場所:
 2020年1月16日~ 19:00/JMSアステールプラザ
作・演出:
 赤堀雅秋
出演:
 大森南朋・長澤まさみ・でんでん・江口のりこ・石橋静河・永岡佑
・川畑和雄・飯田あさと・赤堀雅秋・田中哲司
感想:
客入りはほぼ満席。
さすがは結構早めにチケット完売と
なっていただけのことはあります。
客層はミーハー風でもなく
芝居好き風でもなく
大人しめのカップルが多い感じで
長澤まさみファンや大森南朋ファン、田中哲司ファンが
あまり存在感が表に出ていないのは
物理的もしくは精神的に存在が希薄だからでしょうか。
シックな感じのおねぇさん方が
ちらほらおられたのが
もしかしたらその方達だったのでしょうか。
演者は個人的にはやっぱり長澤まさみです。
思ったより演技がうまかった。(笑)
デフォルメした演技イメージがありましたが
普通の人を普通に演じており、なんだか良い感じ。
普通を普通に演じられるその演技に惚れました。
昨日から好きです長澤まさみ。
大手を振ってファンになることを公言しよう!!
そして、大森南朋!!
いじけた感じはまさに十八番!?サイコーです。
一時域イイ感じの漢を演じていたけど
やっぱり内向的演技が一枚上ですね。
田中哲司はやさぐれ感が◎。
あの感じはやっぱり彼でないと。
でんでん、少年ぽさを残した
無邪気オヤジを演じさせれば他の追従を許しません。
実は今回の芝居のキーマンだったのです。
裸の王様でいうところの最後の
「あいつ裸だぜ!」って言っちゃうガキ。
なかなか微妙なこの役はでんでんしか成立しません。
 衣装は江口のりこのエロそうでエロくない
そのいでたちが何とも良い感じ。
長澤まさみが白系でちょっとしたこじゃれ感や
ブランド感のあるアウターだったのにちょっと違和感が。
役柄的にはシックで落ち着いた装いだろうと思うけど
ヒロインが映える明るい色を選択したのかなぁ。
予算的には充実の衣装ですがセレクトが
どうも芝居内容とリンクが薄いような感じ。
舞台セットはコンパクトながら丁寧な作りこみ。
また、張り物・切り出し裏面でも
ほぼネイキッドで使用していたところを見ると
地方公演への移動設置を意識した
コストパフォーマンス重視のセットだったよう。
次いで脚本と演出ですが
終劇後に隣席から「脚本が~」という呪詛にも似た
つぶやきが聞こえてきて笑っちゃいました。
全体的に演者のアクというか
カラーを消したナチュラルな芝居。
さらに淡々と流れていく展開と
盛り上がりも盛り下がりもないテンションの中、
理詰めで強引に抑え込む展開も
理論をぶっこわす壊すアナーキストも登場せず
カタルシスがないまま終わりを迎えてしまう。
そんな舞台に期待を込めてこの場に足を踏み入れたはずなのに
何も得ることがなかった事実に
行き場を失った感情が口からきっと洩れたのでしょう。
しかし、最後まで退屈を感じることなく
観劇できるものですから大したものです。
役者のカラーがにじみ出た芝居であれば
勢いで納得できたのでしょうが
あくまでも日常の片隅を描いたこの舞台
加飾減色もせずストレート勝負しかできず。
と、いうことで突然ですが総評です。
個人的にはCプラス。
結構面白く良い芝居だったと思いますが
舞台にはノリと勢いを求めちゃうのが悲しい性。
欲を言えばせっかくの豪華キャスト
それぞれの色気をもう少し感じたかった。

公演名:(ゲキ×シネ)シレンとラギ

2013年10月06日 | 観劇レビュー
日時・場所:
 2013年10月5日~ 11:00/バルト11
作・演出:
 中島かずき・いのうえひでのり
出演:
 藤原竜也・逆木圭一郎・高田聖子・永作博美,・三宅弘城・北村有起哉・石橋杏奈
 高橋克実・山本カナコ・橋本じゅん・インディ高橋・川原正嗣,・吉田メタル・村木よし子
 保坂エマ・磯野慎吾・中谷さとみ・ 粟根まこと・ 村木仁・古田新太・右近健一 
感想:
 カツミ!カツミ!カツミ!
今回はカツミ、一色です!!
永作もいいですが、
全く存在感が違います。
さすがは舞台俳優ですね
演技が濃いです。(笑)
さすがの古田にも負けていません。
ダブル主役のひとり
藤原くんではちょっと弱いのか
物語はダブル展開で進行する部分がチラホラ!?

 客層はやっぱり新感線ファンといった感じで
女性が多いですね。
カップルは男性が連れてこられた感満載です。
まぁ、一組だけしきりに説明していた
お兄ちゃんがいましたが
全く付け焼き刃でwiki系情報満載で
なかなか楽しかったです。
聞いている女性は多分知っているのでしょうが
肯定も否定もせず聞いていました。
良いおねぇちゃんだと思います。(笑)
客入りはシアター4で5割弱といった感じ
初日初回の土曜日とはいえ
これはちょっと少ないなぁ。
逆に藤原くんファンが少ない感じだったのが
影響しているのかなぁ!?
彼の神通力も寄る年波で衰えたのでしょうか!?

 脚本がいいです。
物語、展開、笑い、そして、シリアスと
見事なスピーディーさで見る者を飽きさせません。
3時間という長時間は感じさせないのは
さすがとしか言いようがありません。
まぁ、ちょっとだけ不満を言うとすれば
オチがちょっと弱い感じがします。
全体的に前半より後半が弱いのは
物語の展開のせいなのか?
キャストのせいなのか?
ダブル主演のふたりに
舞台全体の演出や雰囲気を併せて
もちろん劇団新感線風味が
いつもよりちょっと弱いので
そちらを期待していくと
肩すかしを食らうかもしれません!?

 舞台セットは金がかかっています。
大道具小道具とも作り込まれ
衣装もきっちりと良い物使っています。
化粧も舞台用ではなくアップ映像に堪える
ゲキシネを意識した薄目系です。
個人的にはがっつり舞台化粧の荒々しさが好みなんだけどなぁ。
きっちり小綺麗なのもいいけど
舞台の勢いとか雰囲気が半減し臨場感がないのが
ちょっと難点なのではないかなぁ。
新たなエンターテイメントとして
完成度を高めていくのはいいけど
捨ててはいけない何かがあるんじゃないかな!?
劇場の臨場感を映画館で!!というのが
本質のような気がするだけどね。
でもまぁ、劇場なしで
映画館に来る人たちにとっては
こちらが正解なんでしょうけどね。

 それでは、期待の総評です。
評価はCプラスです!!
B評価といきたいところですが
どうも最後の一押しがないです。
なんでだろう!?
脚本、演出、出演など十分な及第点なんですけどね。
あぁ、そうか劇団新感線らしい勢いというか
突き抜け感がイマイチだったのかもしれません。
全体的にこぢんまりと
小さくまとまっちゃった感を感じたからかな。
でも、敷居は低く幅広い年齢層に対し
良い舞台に間違いないので
多くの人に見て欲しい舞台です。

公演名:(ゲキ×シネ)髑髏城の七人

2013年01月13日 | 観劇レビュー
日時・場所:
 2013年1月12日~ 11:00/バルト11
作・演出:
 中島かずき・いのうえひでのり
出演:
 小栗 旬・森山未來・早乙女太一・小池栄子・勝地 涼・
 仲 里依紗・高田聖子・粟根まこと・河野まさと・千葉哲也他
感想:
 いきなりですが総評です。
”C”です。
傑作ではないので秀作!?
秀作でもないので良作です!!
ちょっと厳しい評価ですが
エンターテイメント性は高いし
ゲキ×シネを初めてみる人達には
すんなり入り込める敷居の低さは
すごいと思います。

 客入りは初日最終上映回でシアター4で
3割で男女比7:3程度でした。
ちょっと苦戦気味かなぁと思いますが
上映劇場や回数なども増えているので
まぁ、こんなものでしょうね。(笑)
でももう少し頑張ってもらえると
広島でもゲキ×シネがブレイク中となり
再演とかプレミヤム上映などが
やってもらえるのになぁ。(笑)
ちなみに客層は演劇ファン系や劇団新感線ファン系が多い中
単なるデートで見に来ているカップルがちらほら。
客層や動員数が増えるのはうれしいのですが
偉そうにご託を並べているし
他店で買った食べ物飲み物を食い散らかし
足下に捨ててかえるなどマナー違反が多い。
とても残念で悲しいことですね。

 さて、今回のゲキ×シネは
豪華メンバーの客演起用のため
劇団新感線風味が封印されていました。
メインキャストに劇団員の配役も少なく
役作りも濃いキャラクターを封印しています。
もちろんシナリオ的にもキャラを
おとなしい感じに変更されています。
劇団員が本気で演じちゃうと
主役達を食っちゃいますからね。
そのための配慮なのだろうなぁ。
脚本、演出とも完成度は高いものの
個人的には劇団新感線では
なくなっていたと感じました。
ちょっと芝居自体が薄っぺらく感じてしまったのは
このせいでしょうね。
やっぱり舞台はアングラ系で勢いがないとね。(笑)
また、舞台上の小さな伏線や
メインではない舞台端で演じられる小芝居がないと
芝居に厚みが感じられないかも!?
まぁ、このあたりは好みの問題もありますので
一概には言えないけどね。

 さぁ、続いては皆さんお待ちの演者ですね!?
今回の一押し早乙女太一です。
登場の太刀は凄いものがあります。
さすがは舞台俳優ですね。
他のメンバーとは場数を踏んだ数が違います。
登場以来正今回は彼だけをずっと観てました。(笑)
小栗旬はそつなすこなしています。
でも見せ場での主役としての貫禄が弱い感じですね。
演技によるものか年齢のためなのか
ちょっとわかりませんでしたが次回期待ということで。
森山未來は凄いのですが
自分の中の天魔王とは違う役作りでした。
ある意味森山節満載のエキセントリックさが
好みの分かれるところですね。
仲里依紗はいいです、つたない演技がいいです。(笑)
作品的にはもうちょっと元気印娘がいいなぁ!?
小池栄子もそつなく演じています。
いつもどおりの元気ネェさんはいいけど
心に秘めた思いや一族の重責などを出しつつ
さらに少し妖艶さというかエロさが欲しいなぁ!?
さて、問題の劇団新感線の高田聖子、
粟根まこと、河野まさとなどなど。
やっぱり上手です。
見事に脇役を演じています。
しかし、いつものパワーを押さえての演技です。
主役達を食べないようにの配慮ですね、たぶん。(笑)

 そうそう、いつもは前半に語る脚本、演出ですね。
一人二役廃止や複数主役性のため変更点がいくつかあります。
これが成功なのか失敗なのかはよくわかりません。
良いところもあり悪いところもあります。
キャストに惹かれて映画館に訪れた初めての人にも
違和感なく観ることのできる作品になっています。
そのぶん説明的展開や台詞が多めになっているかな!?
また、舞台の持つ毒というか外連味が少なく
芝居の遊びの部分がなくなっているので
そちらを期待している往年のファンには・・・かな!?
小気味よく展開する脚本性やテンポはよいので
繰り返しになりますがエンターテイメント性はかなりのものです。
言い方を代えると元々の舞台を劇場にお届けするゲキ×シネが
ゲキ×シネというあたらなるお舞台の形に進化しちゃった感じですね。
映画館用やDVD用というコンテンツという形態を意識し
劇場の客層+映画館の客層+DVDの客層のマーケティングに
影響されてきているということでしょう。
まぁ、そのために舞台に掛けられるお金もアップしているので
舞台セットや衣装、キャストなどにもグレードアップはしているので
その恩恵も受けているのですけどね。

 最後に今回のゲキ×シネは
劇団新感線風味が押さえ気味で個人的にはちょっと残念でした。
ということで最初の評価となりました。
でも、初めてゲキ×シネを見る人ならCプラス!?
もう一声でBプラスでも良いと思います。

公演名:生きちゃってどうすんだ

2012年12月26日 | 観劇レビュー
日時:
 2012年12月20日(木) 19:00開演
場所:
 アステールプラザ・中ホール
出演:
 松尾スズキ  のみ
作・演出:
 松尾スズキ、天久聖一
感想:
 面白いです。
脚本、演出ともすごいです。
プロローグにて???な部分があり
全ステージこれでいくと
ちょっと無理があると思わせてからの展開がすごいなぁ。
ばらばらに見えるシチュエーションが
感動のラスト!?に向かって
収束していくのがすっごいです。
さすがは松尾スズキです、もうメロメロです!?
CMで繰り返していた
”ひとりで捌いて、ひとりで片付ける”。
まさにそのとおりで絶妙なテンポと展開で
舞台に惹きつけられっぱなしで
どんどん物語は進んでいきます。
涙あり、笑いあり、社会風刺ありの幕の内芝居です。
ラストが落ちているのか落ちていないのか
わからない感じも含めて秀作だと思います。

 演者は松尾スズキひとりです。
ひとり舞台ですから当たり前ですね。
脚本家演出家のイメージが強く
役者としてメインを張っているのを
見たことがなかったため
今回は油断していました。
さすがは大人計画ですね。
他のキャラが強いので気づかずにいましたが
すごい演技力なんですね。
静も動もポップもシリアスもできちゃうんです。
終始やられっぱなしでした。

 客入りは中ホールながら
1階席はほぼ満席です。
2階席はわかりませんが
ぼちぼちだったのではないかと予想して
広島としては大盛況の大成功ですね。(笑)
客層は芝居ファンなのか?松尾ファンなのか?
よくわかりませんが
ちょっとシックでこじゃれた感じ
男性比率がいつもより多いのが印象的でした。
一方女性はおとなしいというより
おちついた感じの人たちが多かったですね。
年齢層は若年層や年配層は少なく中間層です。
う~ん、すべてにおいて中庸的な人が多いのは
松尾スズキと同じかも!?
まさに類友ってことで。(笑)

 最後に。
総評は”Bマイナー”です。
べた褒めなのにBマイナー!?
それはなぜか。
答えは簡単です。
自分で見つけて選んだ芝居でないからです!?
某女史がこれはお勧めだから!
電脳太郎にぴったりだから!と
強く、強く薦めていただいた芝居だからです。
だって、いろいろな意味で悔しいじゃないですか。
逆にいろいろな意味でうれしいですけど
素直に喜べない自分がいますって
思春期の男子高校生!?かってことで
今年最後のレビューは終わりです。
年の瀬によい舞台に出会えてよかったなぁ。
来年もよい舞台に出会えるといいな。