2019年10月11日、株式会社まつもり社長で奈良もちいどのセンター街理事長、奈良まほろばソムリエの会理事の松森重博さんは、京阪奈情報教育出版から歌集『大和まほろば』を刊行された。2009年から毎日新聞奈良版の「やまと歌壇」に投稿された歌の集大成である。
※写真は、2019年12月1日に菊水楼で開催された歌集『大和まほろば』出版御礼の会の模様
冒頭挨拶は、本書に序文を寄せられた上野誠さん(奈良大学文学部教授)
このお正月に付箋を立てながら再読し、特に心に残った歌をピックアップし、5つのジャンルに分けてみた。松森氏の人となりや思いが、自然と浮かび上がってきたので、これをジャンル別掲載順に奈良新聞「明風清音」欄で(1/23付)紹介したところ、翌24日(金)、松森さんのブログ「鹿鳴人のつぶやき」に取り上げたいただいた。以下、松森さんのブログ記事と「明風清音」の文章を掲載させていただく。
大和郡山市・上田清市長のご挨拶
鉄田さんご紹介ありがとうございます。南都銀行の鉄田憲男さんと知り合ったのはもう十何年ほど前になるのでしょうか。たしかインターネットでお互いブログを始めた頃に知り合いました。13年前もちいどの夢CUBEができた頃もブログに取り上げていただきました。(鉄田さんのブログ「どっぷり!奈良漬」)
そして一方、奈良まほろばソムリエの検定の最初の年に2人とも2級を受けて合格しました。そして、翌年の2回目の検定は誰もが初めての1級の検定。予想もつかない難しい問題が出てふたりともわずかに届かず不合格。わたしは1点足りなくて不合格でした。その後、鉄田さんは順調に翌年1級、そしてソムリエ級と合格されました。しばらく休んでいた私も遅れて第5回には1級、第6回にはソムリエ級に合格できました。
その後なんども要所要所でブログに紹介していただいていますが、今度はなんと!鉄田さんが連載されている奈良新聞の名物コラム「明風清音」で私の初めての歌集「大和まほろば」を紹介していただきました。ありがとうございます。
松森重博氏のお礼のご挨拶
歌集『大和まほろば』明風清音(2020.1.23)鉃田憲男
昨年10月、株式会社まつもり社長で奈良まほろばソムリエの会理事の松森重博氏は、歌集『大和まほろば』(京阪奈情報教育出版)を刊行された。同書は本紙書評欄(昨年12月8日付)でも「短歌から鮮明な風景浮かぶ」と題して取り上げられた。私はお正月休みにじっくり再読し、しみじみと味わった。率直で平明な歌には、氏のお人柄がそのまま現れている。なかでも特に心に残った歌を5つのジャンルに分けて紹介する。
乾杯の音頭はご近所さんで、松森さんの1つ年長の上原さん
1.ふるさと奈良を詠んだ歌
大の字に雪残りたる高円(たかまど)の山おだやかに奈良の年明け
東京の用をすませて静かなる奈良へと潜るタイムトンネル
滅び行く名画のごとく言う奈良を滅ぼすなかれ永遠(とわ)の都ぞ
奈良に住んだ志賀直哉は、一九三八年(昭和13年)随筆「奈良」で「今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、名画の残欠が美しいように美しい」と讃えた。松森氏はそれを踏まえて「奈良を滅ぼすなかれ」と歌う。
毎日のブログ綴りて八年余り奈良は行事と魅力にあふる(「鹿鳴人のつぶやき」)
奈良の地に生まれ育ちて住み継ぐは恵まれしこととつくづく思う
秋晴れに金の鴟尾(しび)光り興福寺中金堂は天平のごとし
歌手の氷置晋(ひおき・しん)さん。「若き友は商店街をツバメ飛ぶ歌を作りて明るく歌う」
2.ご家族のことを詠んだ歌
妻作る健康ジュースのミキサーの音は元気に今朝も響きぬ
帰り来しコンサルタントのわが息子数字示して効率語る
両の手に孫の手つなぎ恵比須社へ行けば金太郎飴に喜ぶ
留守番のふたりの孫とトランプをしおれば我が遊ばれ負くる
京阪奈情報教育出版社長の住田幸一さん
3.恩師・故小谷稔氏を詠んだ歌
小谷稔氏は奈良女子大附属高校での国語の恩師。師が選者を務める新聞の歌壇に松森氏が投稿したことから旧交が復活した。
わが奈良の「もてなし」謳う黄の幟(のぼり)しみじみ見つと旧師のメール
旧交復活の契機となった歌。小谷氏から、松森氏が作った標語「しみじみと感じる奈良のおもてなし」が載った幟を見たというメールが届いたことを詠む。
父逝きしあとの自分史綴れとの旧師のすすめにわれペンを執る
我が歌を評し下さる小谷先生「他人の歌読め」「字は丁寧に」
定年後は自由な「後期青年期」歌に放てと師は宣(のた)まえり
歌づくり遅く始めしわれのことを小谷先生君は若手と言いてくれにき
ショパンの曲を弾くお孫さん「両の手に孫の手つなぎ恵比須社へ行けば金太郎飴に喜ぶ」
4.今の心境を詠んだ歌
病める友亡き友あれど還暦後すこやかに同窓会に集いたる幸
自営業のわれもスケジュール少し緩めゆったりと時を過ごさんと思う
二十五メートルかくも長きか還暦を過ぎて夢中に背泳ぎをする
カシミアの父の残ししコート着ればグレーの似合う齢となれり
中締めのご挨拶は尾田栄章さん(尾田組会長)
5.未来への希望を託した歌
新しき白き手帳を手にとりて何をすべきか何に挑むか
「今どきの若者は」などというセリフ返上したい未来は彼ら
麦熟(う)るる傍らの田に水張られ新緑の季節力みなぎる
起業せんと熱弁振るう若き人かくもありたし再び我も
若き友は商店街をツバメ飛ぶ歌を作りて明るく歌う(氷置晋さん)
鳥のごと羽ばたきたいねもう齢と言わずに君も我もまだまだ(佐保川桜祭り)
誕生日祝いのメールを励みとし日々を新たに元気に過さん
松森さん、これからもお元気で歌を詠み続けてください。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)
※写真は、2019年12月1日に菊水楼で開催された歌集『大和まほろば』出版御礼の会の模様
冒頭挨拶は、本書に序文を寄せられた上野誠さん(奈良大学文学部教授)
このお正月に付箋を立てながら再読し、特に心に残った歌をピックアップし、5つのジャンルに分けてみた。松森氏の人となりや思いが、自然と浮かび上がってきたので、これをジャンル別掲載順に奈良新聞「明風清音」欄で(1/23付)紹介したところ、翌24日(金)、松森さんのブログ「鹿鳴人のつぶやき」に取り上げたいただいた。以下、松森さんのブログ記事と「明風清音」の文章を掲載させていただく。
大和郡山市・上田清市長のご挨拶
鉄田さんご紹介ありがとうございます。南都銀行の鉄田憲男さんと知り合ったのはもう十何年ほど前になるのでしょうか。たしかインターネットでお互いブログを始めた頃に知り合いました。13年前もちいどの夢CUBEができた頃もブログに取り上げていただきました。(鉄田さんのブログ「どっぷり!奈良漬」)
そして一方、奈良まほろばソムリエの検定の最初の年に2人とも2級を受けて合格しました。そして、翌年の2回目の検定は誰もが初めての1級の検定。予想もつかない難しい問題が出てふたりともわずかに届かず不合格。わたしは1点足りなくて不合格でした。その後、鉄田さんは順調に翌年1級、そしてソムリエ級と合格されました。しばらく休んでいた私も遅れて第5回には1級、第6回にはソムリエ級に合格できました。
その後なんども要所要所でブログに紹介していただいていますが、今度はなんと!鉄田さんが連載されている奈良新聞の名物コラム「明風清音」で私の初めての歌集「大和まほろば」を紹介していただきました。ありがとうございます。
松森重博氏のお礼のご挨拶
歌集『大和まほろば』明風清音(2020.1.23)鉃田憲男
昨年10月、株式会社まつもり社長で奈良まほろばソムリエの会理事の松森重博氏は、歌集『大和まほろば』(京阪奈情報教育出版)を刊行された。同書は本紙書評欄(昨年12月8日付)でも「短歌から鮮明な風景浮かぶ」と題して取り上げられた。私はお正月休みにじっくり再読し、しみじみと味わった。率直で平明な歌には、氏のお人柄がそのまま現れている。なかでも特に心に残った歌を5つのジャンルに分けて紹介する。
乾杯の音頭はご近所さんで、松森さんの1つ年長の上原さん
1.ふるさと奈良を詠んだ歌
大の字に雪残りたる高円(たかまど)の山おだやかに奈良の年明け
東京の用をすませて静かなる奈良へと潜るタイムトンネル
滅び行く名画のごとく言う奈良を滅ぼすなかれ永遠(とわ)の都ぞ
奈良に住んだ志賀直哉は、一九三八年(昭和13年)随筆「奈良」で「今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、名画の残欠が美しいように美しい」と讃えた。松森氏はそれを踏まえて「奈良を滅ぼすなかれ」と歌う。
毎日のブログ綴りて八年余り奈良は行事と魅力にあふる(「鹿鳴人のつぶやき」)
奈良の地に生まれ育ちて住み継ぐは恵まれしこととつくづく思う
秋晴れに金の鴟尾(しび)光り興福寺中金堂は天平のごとし
歌手の氷置晋(ひおき・しん)さん。「若き友は商店街をツバメ飛ぶ歌を作りて明るく歌う」
2.ご家族のことを詠んだ歌
妻作る健康ジュースのミキサーの音は元気に今朝も響きぬ
帰り来しコンサルタントのわが息子数字示して効率語る
両の手に孫の手つなぎ恵比須社へ行けば金太郎飴に喜ぶ
留守番のふたりの孫とトランプをしおれば我が遊ばれ負くる
京阪奈情報教育出版社長の住田幸一さん
3.恩師・故小谷稔氏を詠んだ歌
小谷稔氏は奈良女子大附属高校での国語の恩師。師が選者を務める新聞の歌壇に松森氏が投稿したことから旧交が復活した。
わが奈良の「もてなし」謳う黄の幟(のぼり)しみじみ見つと旧師のメール
旧交復活の契機となった歌。小谷氏から、松森氏が作った標語「しみじみと感じる奈良のおもてなし」が載った幟を見たというメールが届いたことを詠む。
父逝きしあとの自分史綴れとの旧師のすすめにわれペンを執る
我が歌を評し下さる小谷先生「他人の歌読め」「字は丁寧に」
定年後は自由な「後期青年期」歌に放てと師は宣(のた)まえり
歌づくり遅く始めしわれのことを小谷先生君は若手と言いてくれにき
ショパンの曲を弾くお孫さん「両の手に孫の手つなぎ恵比須社へ行けば金太郎飴に喜ぶ」
4.今の心境を詠んだ歌
病める友亡き友あれど還暦後すこやかに同窓会に集いたる幸
自営業のわれもスケジュール少し緩めゆったりと時を過ごさんと思う
二十五メートルかくも長きか還暦を過ぎて夢中に背泳ぎをする
カシミアの父の残ししコート着ればグレーの似合う齢となれり
中締めのご挨拶は尾田栄章さん(尾田組会長)
5.未来への希望を託した歌
新しき白き手帳を手にとりて何をすべきか何に挑むか
「今どきの若者は」などというセリフ返上したい未来は彼ら
麦熟(う)るる傍らの田に水張られ新緑の季節力みなぎる
起業せんと熱弁振るう若き人かくもありたし再び我も
若き友は商店街をツバメ飛ぶ歌を作りて明るく歌う(氷置晋さん)
鳥のごと羽ばたきたいねもう齢と言わずに君も我もまだまだ(佐保川桜祭り)
誕生日祝いのメールを励みとし日々を新たに元気に過さん
松森さん、これからもお元気で歌を詠み続けてください。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)