NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の刊行を記念して毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。本年(2020年)1月16日(木)に掲載されたのは「春蘇らせる節分会/元興寺=真言律宗(奈良市)」、執筆されたのは当会会員で、奈良市にお住まいの池川愼一さん。池川さんは「奈良歴史漫歩」というブログを運営されている。「漫歩」とはうたっているが、本格的な歴史研究ブログだ。
※トップ写真は炎の中に不動明王を勧進し祈願する柴燈大護摩供(さいとうごまく・同寺提供)
今回「元興寺=真言律宗」とうたっているのは、もう1つ「元興寺=華厳宗」があるからで、そちらは本年3月に本欄に紹介していただく予定である。今回の「元興寺=真言律宗」は、「極楽坊」とか「極楽院」と呼ばれる奈良市中院町のお寺である。節分の日は通常は2月3日(立春の前日)だが、年によって日が前後するので注意が必要だ。では全文を紹介する。
世界遺産に登録され、普段は静寂をたもつ元興寺境内もこの日は参拝者で埋まります。2月3日の節分会。本堂前の広場には、井桁に組まれた太い生木と青々とした杉の葉が積まれ、火が放たれます。白煙と火の粉がもうもうと舞い上がり、どよめく歓声。兜巾(ときん)、結袈裟(ゆいげさ)姿の修験者が人々の願いのこもった護摩木を次々と炎の中に投げ入れます。鼻を刺す生木の匂い、「パチパチ」と葉の勢いよくはぜる音。
炎の中に不動明王を勧進し煩悩を焼き尽くす柴燈大護摩供(さいとうおおごまく)。その荒々しい行は、冬籠もりしていた感覚を目覚めさせ、春を蘇らせるかのようです。この後、煙がくすぶる燃えさしの木の上を裸足で歩く火渡りの行があり、見学者も参加できます。無病息災の験(げん)があるといいます。年男と年女による豆まきが続きます。
わが国最古の寺院とされる飛鳥の法興寺(飛鳥寺)の法統を継ぎ、古代には南都七大寺の雄として格式を誇った元興寺。寺は中世以降、民衆の信仰を集めて、奈良町などの人々の心を支えました。その伝統が息づく行事ももうすぐです。(奈良まほろばソムリエの会会員 池川愼一)
(宗派)真言律宗
(住所)奈良市中院町11
(電話)0742・23・1377
(交通)近鉄奈良駅から徒歩約15分、またはバス「福智院」下車、徒歩約5分。JR奈良駅からバス「田中町」下車、徒歩約10分
(拝観)9~17時 500円
(駐車場)有(無料)
※トップ写真は炎の中に不動明王を勧進し祈願する柴燈大護摩供(さいとうごまく・同寺提供)
今回「元興寺=真言律宗」とうたっているのは、もう1つ「元興寺=華厳宗」があるからで、そちらは本年3月に本欄に紹介していただく予定である。今回の「元興寺=真言律宗」は、「極楽坊」とか「極楽院」と呼ばれる奈良市中院町のお寺である。節分の日は通常は2月3日(立春の前日)だが、年によって日が前後するので注意が必要だ。では全文を紹介する。
世界遺産に登録され、普段は静寂をたもつ元興寺境内もこの日は参拝者で埋まります。2月3日の節分会。本堂前の広場には、井桁に組まれた太い生木と青々とした杉の葉が積まれ、火が放たれます。白煙と火の粉がもうもうと舞い上がり、どよめく歓声。兜巾(ときん)、結袈裟(ゆいげさ)姿の修験者が人々の願いのこもった護摩木を次々と炎の中に投げ入れます。鼻を刺す生木の匂い、「パチパチ」と葉の勢いよくはぜる音。
炎の中に不動明王を勧進し煩悩を焼き尽くす柴燈大護摩供(さいとうおおごまく)。その荒々しい行は、冬籠もりしていた感覚を目覚めさせ、春を蘇らせるかのようです。この後、煙がくすぶる燃えさしの木の上を裸足で歩く火渡りの行があり、見学者も参加できます。無病息災の験(げん)があるといいます。年男と年女による豆まきが続きます。
わが国最古の寺院とされる飛鳥の法興寺(飛鳥寺)の法統を継ぎ、古代には南都七大寺の雄として格式を誇った元興寺。寺は中世以降、民衆の信仰を集めて、奈良町などの人々の心を支えました。その伝統が息づく行事ももうすぐです。(奈良まほろばソムリエの会会員 池川愼一)
(宗派)真言律宗
(住所)奈良市中院町11
(電話)0742・23・1377
(交通)近鉄奈良駅から徒歩約15分、またはバス「福智院」下車、徒歩約5分。JR奈良駅からバス「田中町」下車、徒歩約10分
(拝観)9~17時 500円
(駐車場)有(無料)