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永久凍土も溶解、温暖化から地球を守れ!/奈良新聞「明風清音」第64回

2021年10月06日 | 明風清音(奈良新聞)
速報!真鍋淑郎氏が今年のノーベル物理学賞の受賞者に選ばれました!真鍋氏は〈温室効果ガスに着目し、地球温暖化の予測に関する先駆的な研究を続けた業績が高く評価された〉(10/6付奈良新聞)。今日は、その地球温暖化問題について書いた「明風清音」の話を紹介します。

※トップ写真は「おわん形の隆起が連なり、その間に水たまりが目立つロシア・サハ共和国チュラプチャの空港跡地」、「進む永久凍土溶解」を報じた記事サイトから拝借。

奈良新聞「明風清音」欄(毎週木曜日)に月1~2回、寄稿している(9月は3回だった)。先週(2021.9.30)掲載されたのは「温暖化から地球を守れ」だった。私はかつて勤務先で地球温暖化対策(ISO14001)の仕事を兼務していたことがあるので、この問題については、かなり参考文献も読み込んでいる。

しかしわが国では、温暖化問題についてなかなか世間の理解が得られず、歯がゆい思いをしていた。ところがここに来て、レジ袋の廃止など身の回りからの温暖化対策が講じられ、また8月には国連のIPCCから、画期的な報告書が公表された。以下、「明風清音」の全文を紹介する。

温暖化から地球を守れ
本紙8月28日付特集面の記事「進む永久凍土溶解」には驚いた。ほぼ全面を使った記事だ。

▼凍土溶解に様々なリスク
リード文には〈広大なロシアの国土の6割を覆う永久凍土が地球温暖化の影響で急速に解けている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書は気温上昇が進めば2100年に世界の永久凍土の最大70%が解けると予測。ロシアの現地では、おわん形の隆起が連なる異様な光景が広がっていた。温暖化の表れだが、住民の危機感は乏しい〉。

おわん形の隆起の写真も出ていて、直径は5~10㍍、その周りには水たまりができていた。それが何十と並んでいる。異様な光景だが、住民は「くぼみができたら埋めるだけ」と意に介さないそうだ。永久凍土が溶解すると、温暖化を促進する物質であるメタンハイドレートや、閉じ込められていた病原菌やウイルスの放出というリスクも発生する。

▼IPCCが初めて「断言」
地球温暖化といえば、8月9日付の本紙に〈21~40年に気温1・5度上昇・IPCC報告、10年早まる〉という記事が出ていた。

〈化石燃料を使い地球温暖化の原因となる温室効果ガスを多く排出した場合、産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が2021~40年の間に1・5度を超える可能性が非常に高いとする報告書を、国連の気候変動に関する政府間パネルが9日公表した。従来分析よりも10年ほど早まった形。最新データに基づき予測精度を改善した。「人間の影響が大気や海洋、陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と断言、温暖化の進行で極端な高温や大雨が増えるとした〉。

今回の報告書は、このように地球温暖化は人類の活動の影響だということに疑う余地はないと「断言」したことが特徴となっている。しかしわが国にはいまだに「地球温暖化懐疑論者」がいて、懲りずにテレビなどで発言している。これは困ったものだ。これだけいろんな科学的データが揃ったのだから、そろそろシャッポを脱いでもらいたいものだ。 

▼人類は緊急事態の渦中
この報告書について、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは自身のツイッター(8月9日付)で、こうつぶやいた(原文は英語)。

〈新しいIPCC報告書に、本当に驚くべきことは何も書かれていません。これまでの何千もの研究や報告書からすでにわかっていたこと、つまり私たちが緊急事態にあるということを確認したものです。それは現在利用可能な科学上の最高の(しかし慎重な)要約です。(中略)これら報告書で提供された科学的証拠に基づいて、勇気を持って決定を下すのは、私たちの責任です〉。

▼すべての参加国が合意
今回の報告書を待たず、すでに2015年にパリで開催されたCOP21において、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑制すること、そしてそのために各国がCO₂を始めとする温室効果ガス排出の削減目標を策定し、しかるべき国内措置を講じることに、全ての参加国が合意している。なおCOPとは「気候変動枠組条約締約国会議」のことだ。日本の温室効果ガスの削減目標は、2030年までに26%削減(2013年比)となった。これは相当高い目標だ。

これを達成するため太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスといった再生可能エネルギーの利用や省エネが推進されている。我々がまいた種は、我々が刈り取らねばならない。子々孫々が幸福に住める地球にすることは、我々の世代の使命である。
(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)

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