昨日(12/1)付の日本経済新聞「近畿経済B」面のトップに、《今年の「古事記」から2020年「日本書紀」まで 1300年記念 集客息長く ガイド列車運行 古墳巡りツアー 奈良の魅力発掘》という大きな記事が載った。リード文は
日本最古の史書「古事記」編さんから1300年を迎え、奈良県内で記念のイベントやツアーが相次いでいる。県は2020年度までのキャンペーン「記紀・万葉プロジェクト」を計画し、東日本大震災や台風12号水害で客足が落ち込んだ観光客の底上げを狙う。10年の「平城遷都1300年祭」に続く記念イヤー作戦は集客効果が出始めている。
私たち「奈良まほろばソムリエ友の会」と奈良交通がタイアップして実施しているバスツアー(2012年9月~13年3月)のことも紹介されている。
※トップ写真は奈良交通とのタイアップツアー「葛城山麓に鎮座する神々と出会う」(11/10撮影)
県のプロジェクトや観光事業者の取り組みは秋から本格化している。日帰りバスツアーを企画したのは近畿日本鉄道グループの奈良交通。奈良検定の最上級資格合格者らでつくる「奈良まほろばソムリエ友の会」(奈良市)と組んで、9月から来年3月までに12回のツアーを計画する。「神武東征の軌跡をたどる」「悲劇の英雄・ヤマトタケルの生涯に迫る」といったテーマで、観光名所になっていない社寺や古墳なども訪ねる。「近畿だけでなく首都圏からも参加があり、各回ともすぐに満員になるほど」(同社の水田典男営業推進部長)だ。
次々とアイデアをくり出す「ホテル日航奈良」の取り組みについては、
ホテル日航奈良(奈良市)の宿泊プランも盛況だ。1室2人利用の場合、1人1泊7800円からで朝食付きと通常より割安のうえ、ゆかりの地を歩くウォーキングマップやガイドブックを贈呈する。第1弾の「山の辺の道」(昨年10月~今年2月)は1000人超が利用。平城宮跡(奈良市)北側の古墳群を巡る第2弾「佐紀路」(3~7月)、第3弾「大和三山」(8月~)も「予想を上回る状況」という。広報担当の高場順子さんは「団体のように大量集客は期待できないが、個人客増につながる」と話す。来年度は万葉集をテーマにした宿泊プランを検討中だという。
県(観光局)の動きについては、
遷都1300年祭では平城宮跡に復元された第1次大極殿が話題を呼び全国から2140万人を集める目玉となった。今回の「記紀・万葉プロジェクト」は博覧会形式を採らず、大型のイベントの予定もない。県は「企業や地域が多彩なイベントを展開し、情報発信などソフト事業を中心に県は後方支援に回る」(観光局)と位置付ける。背景には「一過性のイベントに終わらせては意味がない。県観光全体の底上げを」(県幹部)という狙いが垣間見える。
奈良は著名な寺社など歴史遺産を背景に修学旅行生の来訪といった一定の観光客数を確保できた。近年は年間3500万人程度が訪れ、10年には4300万人を突破した。観光事業者は待ちの姿勢が目立ち、地元ではかねて「大仏商法」とも呼ばれてきた。
私のコメントも紹介していただいた。
観光の動向に詳しい奈良まほろばソムリエ友の会の鉄田憲男事務局長は「記紀・万葉プロジェクトは県内各地で足元の魅力を見つめ直すきっかけになり得る。各地で小さな試みが広がれば、そのつながりが県観光全体に力を生む」と指摘する。記紀・万葉プロジェクトは緒についたばかりだが、奈良観光が次なるステージに飛躍できるかどうかの試金石という側面を持っているようだ。(奈良支局長 川上寿敏)
奈良県立大学の村田武一郎教授は常々、「10カラットのダイヤモンド1個より、0.1カラットのダイヤモンド100個が大切だ」とおっしゃる。「記紀・万葉プロジェクト」の一環として県下市町村・観光協会やボランティア団体が実施している活動(講演会やウォーキングツアーなど)は、立派な「0.1カラットのダイヤモンド」である。
いくら大イベントを行っても、大手広告代理店におカネが落ちるだけで、ノウハウは地元に落ちない。しかし、地元が手作りする小さなイベントは、ノウハウが蓄積できるし、人材も育つ。とりわけ『古事記』『日本書紀』ゆかりの地は奈良市のみならず中南和地域に広く分散しているので、これら地域の活性化につながる。2重、3重のメリットがあるのだ。
2020年までの8年間、「記紀万葉」という奈良県の「お宝」を使って、いかに集客するか。まさに「奈良観光が次なるステージに飛躍できるかどうかの試金石」である。「奈良まほろばソムリエ友の会」では、メンバー200人の知恵を結集して県観光の振興に努めたい。
日本最古の史書「古事記」編さんから1300年を迎え、奈良県内で記念のイベントやツアーが相次いでいる。県は2020年度までのキャンペーン「記紀・万葉プロジェクト」を計画し、東日本大震災や台風12号水害で客足が落ち込んだ観光客の底上げを狙う。10年の「平城遷都1300年祭」に続く記念イヤー作戦は集客効果が出始めている。
私たち「奈良まほろばソムリエ友の会」と奈良交通がタイアップして実施しているバスツアー(2012年9月~13年3月)のことも紹介されている。
※トップ写真は奈良交通とのタイアップツアー「葛城山麓に鎮座する神々と出会う」(11/10撮影)
県のプロジェクトや観光事業者の取り組みは秋から本格化している。日帰りバスツアーを企画したのは近畿日本鉄道グループの奈良交通。奈良検定の最上級資格合格者らでつくる「奈良まほろばソムリエ友の会」(奈良市)と組んで、9月から来年3月までに12回のツアーを計画する。「神武東征の軌跡をたどる」「悲劇の英雄・ヤマトタケルの生涯に迫る」といったテーマで、観光名所になっていない社寺や古墳なども訪ねる。「近畿だけでなく首都圏からも参加があり、各回ともすぐに満員になるほど」(同社の水田典男営業推進部長)だ。
次々とアイデアをくり出す「ホテル日航奈良」の取り組みについては、
ホテル日航奈良(奈良市)の宿泊プランも盛況だ。1室2人利用の場合、1人1泊7800円からで朝食付きと通常より割安のうえ、ゆかりの地を歩くウォーキングマップやガイドブックを贈呈する。第1弾の「山の辺の道」(昨年10月~今年2月)は1000人超が利用。平城宮跡(奈良市)北側の古墳群を巡る第2弾「佐紀路」(3~7月)、第3弾「大和三山」(8月~)も「予想を上回る状況」という。広報担当の高場順子さんは「団体のように大量集客は期待できないが、個人客増につながる」と話す。来年度は万葉集をテーマにした宿泊プランを検討中だという。
県(観光局)の動きについては、
遷都1300年祭では平城宮跡に復元された第1次大極殿が話題を呼び全国から2140万人を集める目玉となった。今回の「記紀・万葉プロジェクト」は博覧会形式を採らず、大型のイベントの予定もない。県は「企業や地域が多彩なイベントを展開し、情報発信などソフト事業を中心に県は後方支援に回る」(観光局)と位置付ける。背景には「一過性のイベントに終わらせては意味がない。県観光全体の底上げを」(県幹部)という狙いが垣間見える。
奈良は著名な寺社など歴史遺産を背景に修学旅行生の来訪といった一定の観光客数を確保できた。近年は年間3500万人程度が訪れ、10年には4300万人を突破した。観光事業者は待ちの姿勢が目立ち、地元ではかねて「大仏商法」とも呼ばれてきた。
私のコメントも紹介していただいた。
観光の動向に詳しい奈良まほろばソムリエ友の会の鉄田憲男事務局長は「記紀・万葉プロジェクトは県内各地で足元の魅力を見つめ直すきっかけになり得る。各地で小さな試みが広がれば、そのつながりが県観光全体に力を生む」と指摘する。記紀・万葉プロジェクトは緒についたばかりだが、奈良観光が次なるステージに飛躍できるかどうかの試金石という側面を持っているようだ。(奈良支局長 川上寿敏)
奈良県立大学の村田武一郎教授は常々、「10カラットのダイヤモンド1個より、0.1カラットのダイヤモンド100個が大切だ」とおっしゃる。「記紀・万葉プロジェクト」の一環として県下市町村・観光協会やボランティア団体が実施している活動(講演会やウォーキングツアーなど)は、立派な「0.1カラットのダイヤモンド」である。
いくら大イベントを行っても、大手広告代理店におカネが落ちるだけで、ノウハウは地元に落ちない。しかし、地元が手作りする小さなイベントは、ノウハウが蓄積できるし、人材も育つ。とりわけ『古事記』『日本書紀』ゆかりの地は奈良市のみならず中南和地域に広く分散しているので、これら地域の活性化につながる。2重、3重のメリットがあるのだ。
2020年までの8年間、「記紀万葉」という奈良県の「お宝」を使って、いかに集客するか。まさに「奈良観光が次なるステージに飛躍できるかどうかの試金石」である。「奈良まほろばソムリエ友の会」では、メンバー200人の知恵を結集して県観光の振興に努めたい。