昨夜は柄にも無く夜空を眺めた。この家に移り住んでこの方、夜空を見ることはまれである。 と言うのも、ベランダが南向きで、広島へ向け開けているため、夜空が明るく星がよく見えない。 したがって夜空を見ることなど無いが、一昨年、孫の為に天体望遠鏡を購入し、土曜日の夜は孫が泊り込みで望遠鏡に取っ組んでいたが、小学校に入学すると、行事に追われて泊り込みで来る事もなくなった。 此方としては、そのほうが楽であるが、天体望遠鏡は寂しそうである。それにしても昨夜の月はきれいであった。満月のような華やかさは無いが、何処か憂いがあって美しい。写真をアップで撮ろうと思ったがやめた。月のみが夜空を独占している姿は、何処か孤独な感じがして、此れは此れで絵になっている。
私は真冬の満月が一番好きである。子供の時分、銭湯の帰りに見た冬の月は、凍りつくような透明な夜空の中で貴公子然としていた。
この町内にあった三つの銭湯も十年前に全て無くなった。が、不思議である。その後、二つのスパー銭湯なる物が出現した。隣町を含めると五つも営業している。
無くなれば欲しがる。人間とは厄介な生き物である。