無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

堆肥の腐敗実験(堆肥と病虫害、保存性の関係)

2017-03-07 11:53:36 | 自然菜園スクール
本日、

今月は、菜園教室の各コースが開校するので、事務手続き(PC)メールと資料づくりなど段取りが忙しくなってきました。
あと来週から育苗が始まるので、超農繁期が始まります。




3月はなるべく家庭菜園の失敗率を下げるために、
写真は、城山公民館(夜間)自然菜園入門講座の様子

1)菜園プラン

2)無農薬栽培の考え方(イメージ)

3)完熟堆肥チェックの仕方


を中心に、お話しさせていただいております。

というのも、
この10年の家庭菜園の多くの失敗の原因は、無計画のノープラン堆肥についての勘違いと、無農薬栽培の誤った認識からがほとんどだからです。


無農薬栽培=臭い堆肥をたくさん入れて土づくりすればよい。という誤った認識が、病虫害などを招いている気がします。



そこで、今年は、4つの堆肥の腐敗チェックを行いました。


①我が家の土手草と落葉、モミガラ、鶏床、米ぬかで造った自家製の自然堆肥。

チョコレート色ですね。モミガラは手で簡単に潰れます。


②JAで完熟牛フン堆肥と売られて堆肥です。

真黒で、バーク(樹皮)が目立ち軽いです。


③ホームセンターで売っていた熟成牛フン堆肥です。

これもチョコレート色です。単一の材料ですね。


④ホームセンターで売っていた発酵鶏糞です。

ネズミ色で乾いた土の塊のようですね。


袋を空けた時点で臭うものはなく、後日空気に触れて臭い始めたのは、発酵鶏糞だけでした。

つまり、ある程度乾燥していたりすると、腐敗臭(臭い)は出にくいので、どれも同じような感じだと思ってしまいます。




そこで、堆肥の師匠橋本力男先生から教わった堆肥の腐敗チェックを行ってみました。

瓶に堆肥を半分入れ、水を加え


暖かい部屋で10日間ほど放置してみました。




これが10日後の状態です。

この時、無臭で澄んだ水に分離したのは、①自家製の自然堆肥だけでした。

②は腐敗臭はしないものの、水は濁ったままで、バークの部分が固まりで水を吸い木片にもどっておりました。
牛フンは完熟でも、バークの部分は未熟のままのようなので、今後もチッソなどが土に入るたびに、バーク部分は土で分解されるまで十数年かかることでしょう。

③は、少し牛舎の臭いがしはじめており、水はドロドロでした。

④は、強烈な腐敗臭がしておりました。ちょっと蓋が開いただけで気持ち悪くなる感じで、すごくドロドロしておりました。


臭いがしないものは完熟熟成堆肥。土のにおいがするものは、完熟堆肥。
腐敗臭がするものは、未熟か腐敗堆肥なので使用は控える。


この実験からも①は完熟 ②は部分的に未熟 ③④は未熟もしくは腐敗だとわかりました。
 
以前別の実験で、①~④に種を蒔き、発芽したのは①だけでした。


また、野菜の腐敗実験といって、ジャガイモを瓶に野菜を閉じ込めて経過をみたことがありますが、
無肥料栽培や①の堆肥を秋に鋤き込んでから植えたジャガイモは、発酵してお酒のようになったり、瓶の外ではミイラになって枯れたのに対して、

溶けたジャガイモから、④と同じ臭いがしたものや溶けてしまって③のようになったことを思い出しました。

ジャガイモのような未熟有機物を分解するのが苦手な野菜は使った堆肥の質や使い方、量によって露骨に使った堆肥の腐敗実験と同じような溶け方をすることが分かってきており、
ジャガイモが腐ると臭いという場合、使った有機肥料や堆肥と同じ臭いなので、使った有機肥料や堆肥に由来するようです。

これから、ノープランで取りあえず堆肥を使ってジャガイモを育てるのは、一般的ですが、

腐敗した堆肥や未熟な有機物を投入すると、ジャガイモにテントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)が飛来し葉を食べつくしたり、
梅雨の雨で、葉が病気になったり、収穫後のジャガイモが年内に段ボールの中で腐敗したりしやすくなるので、その後その場所で、特にジャガイモと同じナス科が連作障害の兆しがみられたりするので、困ったものです。


人間ならお腹を壊し、病気になってしまうように、
入れたもので育った以上、入れたものが腐敗(未熟)していれば、当然野菜の根も傷み、野菜自身もまともでいられなくなり、野菜が腐りやすくなったり、病気になりやすかったりするでしょう。


根が障害があったり、病気がちになったところに、腐敗臭で集まってくる害虫がくれば、野菜は最後まで生育できないかもしれません。

良かれと思っていれた堆肥による病虫害の増大、そして腐敗しやすくなったり、食味の低下は、後々わかってきます。
それを事前にわかる堆肥の完熟・腐敗チェック、とても簡単なのでお奨めです。



有機物は、そのまま野菜の根から吸収できません。
ある程度分解したものでも分解できる野菜もあれば、ジャガイモのように、完全に土に近く馴染んでいないと障害が出やすい作物まで様々です。

堆肥の分解や土と馴染むには地温が関係します。
地温が低い時には、土の生き物が働かず、分解が遅れるためです。


完熟堆肥で、春先や秋は1カ月。冬場はノーカウントで、夏場は2週間かけて土に馴染んでいきます。

そのため、地温が低く、分解が進まない春先に、未熟有機物や腐敗堆肥を使用すると、暖かくなるにつれて分解や腐敗が広がり、野菜の生育を阻害し、病虫害を招き、食味を低下させ、腐りやすい(溶けやすい)野菜になってしまうので、本当に注意が必要です。

寒冷地などでは、完熟堆肥といえども、秋の内に、土に浅く鋤き込んでおくことで、春までにゆっくり分解させておくのがベストでしょう。



野菜も草も虫も自然なのでとても素直に育ちます。
野菜が素直に育つ、お世話を心がけ、大きなお世話は避けたいところです。



2017年の自然菜園スクールの募集中~ホームページ
来年は、新しい自給稲作コースの増設、自然菜園実践コースのバージョンアップなどお楽しみに~。
自然菜園スクール安曇野校の3月は、菜園プランと緑肥mix蒔きになります。


自然菜園スクールも10年目。
10年間、生徒さんからの率直なアンケートなどのご意見を反映させてきたこともあり、2017年は受け取りやすい教室になったのではと思っております。

菜園教室では、教えきれない移住、田舎暮らし、自分らしい自給生活のノウハウと実体験を学べる
「自給自足ライフスクール」は、1泊2日なので、人数は限られてきますが、その分濃厚な時間を過ごせるスペシャルワークショップ。
半農半Xをテーマに、自給農を極め、自分の才能を開花させるのがテーマです。
今年は、薪のある生活を充実させるために、薪小屋作りやチェーンソーの使い方、ロケットストーブも作ってみようと思います。お楽しみに~

「自然菜園スクール」では、遠方からもより来やすい通いやすいように、土曜日開催の教室も充実させました。
土曜日であれば、安曇野校で開催する「自然菜園入門コース」「自然菜園実践コース」への参加に、前泊も後泊も安曇野地球宿さんですれば通いやすく、
長野校「自然育苗タネ採りコース」「自然菜園見学コース」「自然稲作・発酵コース」にもご参加いただ来やすくなったかと思います。




2017年土内容充実で、
『無農薬・自然菜園入門講座』が第一水曜日長野市城山公民館で18:30~21:30までスタートしています。
城山公民館での「これならできる!自然菜園入門講座」講座が開催です。毎月の野菜と土づくりのテーマで質問時間もたっぷりあるので是非お越しください。

来月は、いつもの第1水曜日に、城山公民館 18:30~21:25

4月からも第一水曜日で、「無農薬・自然菜園入門講座」を行います。お楽しみに~

新年度スタート「これならできる!自然菜園入門講座~春編~」
4/5(水)―  春の土づくり(畝立て、クラツキ、緑肥mix)
5/3(水)―  夏野菜で土づくり、夏野菜の植え付け(支柱&誘引、混植)、
春野菜の間引き、収穫
6/7(水)―  初夏の土づくり①(マメ科で応援、ボカシづくり)春野菜の自家採種   
※自然苗販売会(18:00~18:25駐車場にて)

コメント (24)
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