本日、。
久々の晴耕雨読。最近、忙しくしていたので助かります。
今日は堆肥の質について一例をご紹介したいと思っております。
一口に堆肥といっても、鶏糞堆肥、豚糞堆肥、牛糞堆肥、馬糞堆肥、草木堆肥、落ち葉堆肥など様々なものがあります。
それらの効能は、動物であれば食べている飼料や環境、そして抗生物質など使われている薬剤などによってもかなり幅がありますし、堆肥化する際に使われる他の有機物資材の質や割合などによっても異なってきます。
しかし、詳細な点は除き、大まかに分類するならば、
________________________________
以下のような順番で、肥料成分が左にいくにしたがって濃く、右にいけばいくほど肥料成分はあまり期待できなくなります。
鶏糞堆肥>豚糞堆肥>牛糞堆肥>馬糞堆肥、草木堆肥、腐葉土
________________________________
逆に、土をフカフカにしてくれ、腐植、団粒構造を発達させてくれる要素が高いのが右側で、左にいけばいくほど、土の改良には効果が薄くなります。
鶏糞堆肥馬糞堆肥、草木堆肥、腐葉土
________________________________
そのため、田畑の状況に合わせて、どの堆肥を選ぶのかがとても重要になってきます。
そして、長年単一の堆肥を投入すると、土のバランスが崩れやすいので、種類の違う堆肥を組み合わせる必要が出てきます。
また、堆肥は使えば使うほどいいものではなく、堆肥によっては、長期間効くものとそうでないものがあるので、年々使う量を減らしていく必要もあります。
つまり、堆肥には、種類によって用途が異なるので、種類を選び、様子を見ながら量を加減します。
その他に、あまり話題にされませんが、堆肥の質はとても重要です。
質が悪いものを投入すると、かえって病虫害を増やし、しかも野菜の食味も悪くなり、保存性が悪くなるからです。
写真の堆肥は、市販の豚糞堆肥です。完熟堆肥で、放線菌が多く、使えば使うほど良いと宣伝されています。
色も黒っぽくて、匂いをそのまま嗅いでも臭くなく、いかにも良さそうな堆肥です。
堆肥は、発酵有機物質なので、発酵の度合いによって、未熟、腐敗、完熟となります。
堆肥工場では、その日に集まる資材が異なったり、製造から出荷までの期間や気候によって、いつも良質な堆肥を造るのは至難です。
この市販の堆肥を瓶に半分ほど詰めて、水を瓶の8割ほど加え、完全に水に隠れるようにしてから、10~14日間ほど常温(10~20℃)に置いておきます。
このやり方は、三重県の橋本力男さんに教わり、堆肥の腐敗チェックと呼んでいます。
これが14日過ぎたものです。
外見は濁ったままの泥水といった感じです。
空けて匂いを嗅いでみると、異臭がします。
→異臭がする場合は、未熟か、腐敗のいずれかです。
・未熟の場合ですと、このまま畑にすき込むと、病虫害が出やすくなるので、10%ほどの米ぬかを足して、再度発酵させて、チェックし直してから、使います。
・再発酵後、やはり腐敗臭がする場合、堆肥は腐敗しているので、菜園では使えません。
使用すると、病虫害が多発しやすく、数年にわたり悩まされたりするようになります。
写真の堆肥は、自家製の落ち葉堆肥です。
材料は、落ち葉8割、米ぬか5分、自家製鶏糞5分、モミガラ1割、壁土5分を3ヶ月間60~70℃で発酵させた後、1年と半年熟成させたものです。
落ち葉も見えますが、手でつぶせば簡単に形がなくなる程度です。
これも同じ日程で、堆肥の腐敗チェックをしてみます。
14日過ぎたものは、水が澄んでいて、有機物や土が層に堆積していました。
匂いもほぼ無臭で、蓋をあけたままご飯を食べることが出来る程度です。
このような堆肥は、本当の完熟堆肥で、自然堆肥と呼んでいます。
土にすき込んだ後、雨が降っても腐敗臭はせず、土の微生物を豊かにし、野菜を美味しくしてくれます。
橋本力男さん曰く「完熟堆肥は、キレイな水と空気をつくる。野菜はほとんど水分。土造りは、空気づくり、畑に美味しい水をつくる技術」。
実際に、自然菜園の野菜と市販のニンジンを今年の3月に堆肥同様、瓶に詰め腐敗チェックをしてみました。
結果は以上の通り。
市販のニンジンは、あとかたもなく溶けてしまいました。
自然菜園のニンジンはいまだに形をそのまま保っています。
もちろん、自然菜園にしたとたんこうなるわけではなく、それまでの経緯や生育状況によっても変わってきます。
今回たまたま選んだニンジンだけかもしれませんが、
完熟した良質な堆肥を適切に使った野菜や、自然菜園のように、刈った草を堆積しただけの自然堆肥のようなところで、野菜を育てると、育った野菜が腐るのではなく、乾燥しミイラのようになることが多いものです。
家庭菜園や自給菜園では、野菜の大きさや量よりも、健康な土で、無農薬栽培で美味しく、しかも保存性が高い野菜が最適です。
秋から春にかけて、堆肥を使って土作りをする前に、堆肥の質をチェックすることがお奨めです。
11月の自然菜園講座「無農薬・ずくなし家庭菜園教室」のご案内は、
長野メルパルク教室
長野城山公民館教室
松本教室
【拙著のご紹介】
『これならできる!自然菜園』
『コンパニオンプランツで失敗しらずのコンテナ菜園』
好評発売中~
久々の晴耕雨読。最近、忙しくしていたので助かります。
今日は堆肥の質について一例をご紹介したいと思っております。
一口に堆肥といっても、鶏糞堆肥、豚糞堆肥、牛糞堆肥、馬糞堆肥、草木堆肥、落ち葉堆肥など様々なものがあります。
それらの効能は、動物であれば食べている飼料や環境、そして抗生物質など使われている薬剤などによってもかなり幅がありますし、堆肥化する際に使われる他の有機物資材の質や割合などによっても異なってきます。
しかし、詳細な点は除き、大まかに分類するならば、
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以下のような順番で、肥料成分が左にいくにしたがって濃く、右にいけばいくほど肥料成分はあまり期待できなくなります。
鶏糞堆肥>豚糞堆肥>牛糞堆肥>馬糞堆肥、草木堆肥、腐葉土
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逆に、土をフカフカにしてくれ、腐植、団粒構造を発達させてくれる要素が高いのが右側で、左にいけばいくほど、土の改良には効果が薄くなります。
鶏糞堆肥馬糞堆肥、草木堆肥、腐葉土
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そのため、田畑の状況に合わせて、どの堆肥を選ぶのかがとても重要になってきます。
そして、長年単一の堆肥を投入すると、土のバランスが崩れやすいので、種類の違う堆肥を組み合わせる必要が出てきます。
また、堆肥は使えば使うほどいいものではなく、堆肥によっては、長期間効くものとそうでないものがあるので、年々使う量を減らしていく必要もあります。
つまり、堆肥には、種類によって用途が異なるので、種類を選び、様子を見ながら量を加減します。
その他に、あまり話題にされませんが、堆肥の質はとても重要です。
質が悪いものを投入すると、かえって病虫害を増やし、しかも野菜の食味も悪くなり、保存性が悪くなるからです。
写真の堆肥は、市販の豚糞堆肥です。完熟堆肥で、放線菌が多く、使えば使うほど良いと宣伝されています。
色も黒っぽくて、匂いをそのまま嗅いでも臭くなく、いかにも良さそうな堆肥です。
堆肥は、発酵有機物質なので、発酵の度合いによって、未熟、腐敗、完熟となります。
堆肥工場では、その日に集まる資材が異なったり、製造から出荷までの期間や気候によって、いつも良質な堆肥を造るのは至難です。
この市販の堆肥を瓶に半分ほど詰めて、水を瓶の8割ほど加え、完全に水に隠れるようにしてから、10~14日間ほど常温(10~20℃)に置いておきます。
このやり方は、三重県の橋本力男さんに教わり、堆肥の腐敗チェックと呼んでいます。
これが14日過ぎたものです。
外見は濁ったままの泥水といった感じです。
空けて匂いを嗅いでみると、異臭がします。
→異臭がする場合は、未熟か、腐敗のいずれかです。
・未熟の場合ですと、このまま畑にすき込むと、病虫害が出やすくなるので、10%ほどの米ぬかを足して、再度発酵させて、チェックし直してから、使います。
・再発酵後、やはり腐敗臭がする場合、堆肥は腐敗しているので、菜園では使えません。
使用すると、病虫害が多発しやすく、数年にわたり悩まされたりするようになります。
写真の堆肥は、自家製の落ち葉堆肥です。
材料は、落ち葉8割、米ぬか5分、自家製鶏糞5分、モミガラ1割、壁土5分を3ヶ月間60~70℃で発酵させた後、1年と半年熟成させたものです。
落ち葉も見えますが、手でつぶせば簡単に形がなくなる程度です。
これも同じ日程で、堆肥の腐敗チェックをしてみます。
14日過ぎたものは、水が澄んでいて、有機物や土が層に堆積していました。
匂いもほぼ無臭で、蓋をあけたままご飯を食べることが出来る程度です。
このような堆肥は、本当の完熟堆肥で、自然堆肥と呼んでいます。
土にすき込んだ後、雨が降っても腐敗臭はせず、土の微生物を豊かにし、野菜を美味しくしてくれます。
橋本力男さん曰く「完熟堆肥は、キレイな水と空気をつくる。野菜はほとんど水分。土造りは、空気づくり、畑に美味しい水をつくる技術」。
実際に、自然菜園の野菜と市販のニンジンを今年の3月に堆肥同様、瓶に詰め腐敗チェックをしてみました。
結果は以上の通り。
市販のニンジンは、あとかたもなく溶けてしまいました。
自然菜園のニンジンはいまだに形をそのまま保っています。
もちろん、自然菜園にしたとたんこうなるわけではなく、それまでの経緯や生育状況によっても変わってきます。
今回たまたま選んだニンジンだけかもしれませんが、
完熟した良質な堆肥を適切に使った野菜や、自然菜園のように、刈った草を堆積しただけの自然堆肥のようなところで、野菜を育てると、育った野菜が腐るのではなく、乾燥しミイラのようになることが多いものです。
家庭菜園や自給菜園では、野菜の大きさや量よりも、健康な土で、無農薬栽培で美味しく、しかも保存性が高い野菜が最適です。
秋から春にかけて、堆肥を使って土作りをする前に、堆肥の質をチェックすることがお奨めです。
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