「今夜、ロマンス劇場で」「FULL SWING!」(宝塚配信)
1月31日午後1時より、宝塚月組公演の配信があり、観ました。
コロナ禍で始まった配信、ありがたいです。
といっても、私が宝塚に関心を持ったのが、コロナで家にいる時間が増えた影響。動画をあれこれ見て、配信を見るようになった。いまのところ、まだ劇場で生で見てない。
最初に、この人!と目についたのは望海風斗さんというトップスターで、あまりの歌のうまさにびっくりしたのだが、私が名前を覚えたときにはすでに退団していた。退団後、ミュージカルのオファーが次々決まっているようだ。
私の推し(香取慎吾、中村勘九郎に続く3人目)は、月組のトップスターに就任した月城かなとさん。
月城さんのトップお披露目公演が、1月1日から本拠地の宝塚大劇場で開幕していたのだが、同じく1月に東京の劇場で公演予定だった花組は幕が開いたものの中止(30日から再開して、最後の1週間だけ上演予定)、雪組は全公演中止。関係者にコロナ陽性が出れば中止せざるを得ない。月組公演も、毎日、今日は無事に幕が開いたか、明日もどうか無事でと祈ってた。私が見に行くわけじゃないけど、なんとか完走させてあげたいと思うもの。
なんとか千秋楽までたどり着いたおかげで、私も千秋楽のライブ配信を見ることができました。
芝居は「今夜、ロマンス劇場で」
綾瀬はるかと坂口健太郎の映画を宝塚で舞台化した。冴えない助監督・健司と、彼のお気に入りの古いモノクロ映画から飛び出してきたお姫様の恋物語。
映画の画面から飛び出してきてしまうというと、私はケラリーノ・サンドロビッチ作の舞台「キネマの恋人」がぱっと浮かぶんだけど、あちらは、映画の役と、その役を演じている役者が両方、同じ町に来てしまって大混乱というお話。
こちらは、役を演じている役者という存在はない。映画から飛び出したお姫様には、「生身の人間と触れあうと消えてしまう」というルールの設定がある。これが肝。
前半は、自由きままに振る舞うお姫様が起こす大騒動で笑わせておいて、後半、健司を愛するようになったお姫様は、彼のためを思って、「最後に抱きしめて!」と言う。それで自分は消えてしまう、それでもいい、彼はやがて普通の人間の女性と結ばれるだろうと健気な決心をして。
このクライマックスのシーンで、古い映画館主のエピソード(自分も画面の中の女性に恋をしたが、結局、彼女を抱きしめ、彼女は消えた)がうまく並べて示されるのが、効果的。
決して触れ合えない相手と一緒に生きていくことを選んだ健司は年老い、若いままのお姫様が、息を引き取る彼の手に触れるシーンで暗転。
亡くなる彼とともに彼女も消えたのでしたと、切なくもあたたかいラストで、もとの映画はここで終わりなのだが、そこは宝塚、健司の月城さんに最後に華やかな王子様の衣装を着せて、お姫様のお城での華麗な舞踏会シーンでめでたく大団円にしていた。
月城さんと同時にトップ娘役に就任した海乃美月さんとのコンビはとてもお似合いでバランスよく、いい雰囲気。海乃さんも月城さんと同じように大人っぽい感じの人なので、彼女のお姫様は、ぶりっ子でやんちゃをするのではなく、誇り高くきりっとして暴れてる風情で、そこがよかった。
月城さんは、頼りなくまだ発展途上の若者というふうには見えないのですが、端正なお顔立ちのせいもあるからしょうがない。5期も下の下級生なのに同期みたいに見える、貫禄の風間柚乃さんが助監督仲間なんだけど、並ぶとやっぱり風間さんは若者なのよ。月城さんは演技力で可愛らしく見せてたけどね。
ショーは「FULL SWING!」
ジャズのショーで、おしゃれで大人っぽく、月城さんをはじめとするメンバーにぴったり。
芝居仕立ての場面、映画のワンシーンのような場面の月城さんが魅力的だった。
月城さんで、ギャングの役を見たいなぁ。雪組のときの「アル・カポネ」ではギャング側ではなくエリオット・ネスだったし、ギャングはやってないんじゃないかな。冷酷な悪役も見たいんですよね、似合うので。
お披露目公演だけど、月城さんはすでに貫禄があって、5年ほどトップやってますみたいな感じよね!
二つの作品を通じて、鳳月杏さんがカッコよくて華やかで目立った。月城さんよりも上級生だけど二番手というポジション。なんだか余裕のカッコよさがある。芝居では撮影所の大スター役で、連獅子の衣装をつけていたシーンはちょっと驚いたぐらい、着こなし、所作、見事で、歌舞伎役者みたいだった。
カーテンコールでの組長さんのご挨拶で「全公演を上演することができて」と言ったところで感極まっていたし、月城さんのご挨拶でも、「公演できなかった組もある中で今日まで公演できた」と感謝を述べていた。ほんとうに、普通に幕が開くことがあたりまえではないのだと、この2年、ずーっと思い知らされてるよね。皆さんの無事を祈るばかり。自分も含めて。
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