よむよま

よむ・よまない、それから。

新薄雪物語

2013-09-21 18:15:02 | 見る
18日に、九月花形歌舞伎の昼の部を見てきました。
実は夜の「陰陽師」ほど期待してなかった。
まあ、勘ちゃんも出るし、踊り「吉原雀」もついてるから、行っておこうと。
そしたら、「新薄雪物語」がおもしろかったのです。

事件の発端は、幸伊賀守の娘・薄雪姫(梅枝)が園部左衛門(勘九郎)に惚れて、
思いをかなえてくれと迫る、それを腰元(七之助)と奴(愛之助)が手引きしちゃう。
「菅原伝授手習鑑」に似てる?
左衛門は石部金吉などと言われてる堅い青年なので、拒否する。
すると、薄雪姫は、思いをかなえてくれないなら死んでやると刀を取って脅します。
オイオイ!

左衛門は、「うーん、しょうがないなぁ、じゃあ、忍んで行くよ」と約束しちゃう。
その約束の手紙を落としたために、
それを悪者(海老蔵)に利用されて、大事件になり、
双方の父親が切腹する結果を招いてしまう。

薄雪姫が悪いんじゃん!という話なんですけど、
それはさておき、
発端の物語の一幕の終わりに、奴・妻平に大勢の四天(よてん)がからむ、
大立ち回りがあって、これがすごくおもしろかった。
たいていは捕方ふうの衣装のことが多いけど、
この場の四天は真っ赤な衣装(水垢離を取るような、下着っぽいの)で、
髪もほどいていて、手に手に持っているのは水桶。
なんでだろう?
舞台が清水寺だからかしら。
セリフも「水づくし」の感じだったし。「水関係」の人の設定か?

人数も多く出して、全員で決まるときの形のデザインがおもしろくて、
からみのパターンや動きも派手で、
何度も沸いた拍手は四天を務める大部屋さんたちに向けてでした。

妻平は気分のいい役なのねえ。らぶりんは浮き浮きと明るくやってました。
ストーリーからすると、お仕えしてる者がそんなことするから、
ご主人さまが後でえらいことになるのに、ということなんだけど、
ここの場は、そういうことはいいのよね。(^_^;)

勘ちゃんは、こういう白塗りの二枚目の拵えだと、
母方のお祖父さんの芝翫にそーっくりなんですね。
福助、橋之助という子供たちが似てないのに、隔世遺伝なのね。
私はお父さんの勘三郎のファンではなかったので、
お父さんそっくりの声やセリフ回しは、別に感慨はないの、
アラ、似てるゥと思うだけ。
でも、芝翫はファンだったから、わーと思っちゃう。

左衛門は女のコに逆ナンされて、「そんなに言うなら、まあ・・・」と
イイことしようと思って屋敷に来たところで捕えられて、
おまえたちはこういう悪だくみをしたな、この手紙が証拠だと責められて、
親は切腹する羽目になる、でも、彼、まだ何にもしてないのよ、実は。
これからしようとしてたとこなんだもん。カワイソー。

三幕の、双方の父親が心を合わせて、切腹してから集まる場面。
やっぱり、無理でしょ、それ?
片方の親は自分の家で切腹して、駕籠かなんかでこっちの屋敷まで来てるんでしょう?
ここで長々とふたりで述懐したり、「三人笑い」という、
奥方を加えた3人で、悲しみの涙を笑いに変えようと、笑ったりして、
あげく、彼らはここから六波羅まで行こうとしているんです。
(立ち上がったところで幕ですけどね)

双方の父親は染五郎と松緑、奥方は菊之助。
私は、この場面は見た覚えがあるんだけど、
そのときはたしか、この松緑のお祖父さんの松緑だったと思う。
そのときは泣けたんですね、この場面。
親心に。
今回はちょっと難しかったかな。若さが露呈するね。

悪役と、良い裁き役の二役の海老蔵ですが、
どうもこの人のセリフは、この言い回しで正しいの?と疑問がわいちゃう。
不思議な抑揚だよね。

最後についてた踊り「吉原雀」の勘ちゃんは、やわらかく粋に踊ってました。
七之助はちょっと腰が高くないですか?
この踊りが始まったとき、客席がうるさかったの。休憩時間のおしゃべりのままで。
「わあ、きれい!」とざわざわする、それももちろんあったけど、
そういうのはうるさいと感じないものなのよね。
これは私語。
清元の演奏が始まっても聞き取れなかったくらい。
中央にふたりがせりあがってきて、踊りはじめて、ようやく静かになったの。
あんなうるさい客席は初めてでした。
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