映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ハッピーフライト

2015年06月13日 | 映画(は行)
組織の中の人と人



* * * * * * * * * *

私、本作をなんとなくドジなCAの成長物語のようなもの・・・
と思い込んでいたのですが、違いました。



羽田からホノルルを目指して、離陸しようとしている航空便。
機長昇格が間近の副操縦士・鈴木(田辺誠一)、
その教官役である機長・原田(時任三郎)。
新米CAの斎藤(綾瀬はるか)。
そしてグランドスタッフや整備士たち。
空港で働く様々な人々やトラブルの様子を捉えながら、
なんとか定刻通りに航空機は離陸。
しかし、途中で機体にトラブルが発生し・・・。



私はいつも飛行機に乗るときに、
「やっぱり旅行なんかよせばよかった」
と軽い後悔に襲われます。
未だにやっぱりちょっと怖い。
けれどもやっぱり格別な旅のワクワク感というのもありますね。
本作の離陸までの描写は、
そうした緊張感やらワクワク感がリアルに感じられて、すごく良かったと思います。



そして、様々な職種の人々がそれぞれの職務に励むからこそ
安心で快適な旅をすることができるのだということがよ~く分かりました。
空の旅を支えるのは何もパイロットやCAだけではない。
当たり前のことではありますが、
眼に見えない部分はたしかに意識しづらいものです。
各所にスポットを当てた本作の構成は正しい。
特に本作中で、窓際族的オペレーション・ディレクターの岸部一徳さん。

彼が、落雷で多くのPCがダウンした時に、俄然これまでの経験で知恵を巡らせ部下を引っ張っていく。
そんなシーンがなんとも心地よかった。
時任三郎さんの機長もカッコイイなあ・・・!
(若い頃からのファンなもので・・・)
ベテランが自らの知識と経験を持って若い人を支えようとする。
時には厳しく、また時にはそっと背中を押すように・・・。
これはそうした組織の人間づくりの物語でもありました。
そしてなおかつエンタテイメント。
そう、楽しいことが何よりです!
意外と満足度高いです。



「ハッピーフライト」
2008年/日本/103分
監督:矢口史靖
出演:田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、田畑智子

社会度★★★★☆
満足度★★★★★