映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

予告犯

2015年06月11日 | 映画(や行)
シンブンシ、キタww



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動画サイトで新聞紙の頭巾で顔を隠した謎の男が、犯行を予告します。
それは、食品店でゴキブリを揚げた油で品物を出したのを自慢気に投稿した若者や、
30を過ぎて就職活動している人をバカにした投稿者、
そしてまた、集団食中毒を起こしたあげく開き直った食品加工会社の社長
・・・このようなものに対して制裁を行う、というもの。
そしてまたその制裁を行うところが動画で投稿されるので、
あっという間にアクセスが膨れ上がっていき、社会現象になっていきます。
サイバー犯罪対策課の捜査官吉野(戸田恵梨香)が、捜査開始。



現代の必殺仕事人めいた“シンブンシ”チームは、
産廃処理場の仕事で知り合った若者たち。
ゲイツ(生田斗真)、
カンサイ(鈴木亮平)

ノビタ(濱田岳)、

メタボ(荒川良々)、

そしてフィリピンから来たヒョロ(福山康平)。
それぞれの事情からまともな仕事に付くことができず、
社会から見放されたような境遇が呼び合ったとでもいいましょうか・・・
不思議な絆で結ばれていくのですが、
彼らの犯行は実は単なる正義気取りなのではなく、
ある一つの目的があった・・・。
まさに現代日本の状況の中で生きる作品。


ゲイツの事情も悲惨過ぎるほど悲惨・・・。
にしてもこんな真面目で優しい青年がきちんと生きられない社会はおかしい。
すでに憲法違反のこの日本なのでは・・・。
吉野の妙にタカビーで独断的な態度が始めちょっと鼻についたのですが、
彼女にも彼女の事情がありましたか・・・。
ひたすらゲイツを追い、追いかけられる二人のシーンは
なかなかイカしています。
ネットと言う媒介で直接的に逢うことのない捜査陣と犯人が、
初めて対峙し、“走る”という最も生々しい対決をする時・・・
何かふしぎな共感が生まれるような・・・。


自尊心を傷つけられて、
それでいっそう頑張ろうと思える人と、思えない人と・・、
確かに人それぞれですね。
そんなにムキになって頑張らなくても生きやすい世の中であって欲しいです。


鈴木亮平さんは、包容力のある夫とかお兄さんも似合うし、
こんなやさぐれた感じの役も、クレイジーな筋肉男も似合う。
近頃かなり気になる存在です。
でも、役柄によって、極端に痩せたり肉をつけたり・・・、
体調を崩さないか心配になってしまいます。
程々でいいんですよ・・・。
演技で十分カバーできます!!


さて、そしてまたWOWOWにて同じく「予告犯」のドラマが始まりました。
こちらの“シンブンシ”は東山紀之さんで、
言ってみれば本作生田斗真“シンブンシ”の意思を継いだ。
この東山“シンブンシ”の本業が、な、なんと・・・!! 
今後どんなドラマが繰り広げられるのか。
こちらも楽しみです。

「予告犯」
2015年/日本/119分
監督:中村義洋
原作:筒井哲也
出演:生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、荒川良々、福山康平
社会問題度★★★★☆
仲間との絆★★★★☆
満足度★★★★☆