映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

チャッピー

2015年06月05日 | 映画(た行)
もしかすると、これこそが不老不死?



* * * * * * * * * *

自分の意志を持ち、考え、感じるロボット。
私にとってその原型はやはり「鉄腕アトム」なのですが、
本作も、愛すべきロボットが登場。



南アフリカ、ヨハネスブルグ。
ギャングが横行し、果てしなく物騒な街でしたが、
テトラバール社による警察ロボットを導入することにより、犯罪が減少。
そのロボットの開発者であるディオン(デブ・パテル)は、
自ら考え感じる人工知能(AI)を独自開発し、
スクラップ寸前の一台のロボットにインストールしようとします。
しかしその矢先にストリートギャングに誘拐されてしまい、
ギャングのもとで初めてのAI搭載ロボット“チャッピー”が誕生したのです。
生まれたての赤ん坊のように、まだ何も分からずまっさらなチャッピーは、
どんどん知識を吸収していきますが、
何しろその育ての親が街のチンピラなものだから・・・、
言葉遣いも悪い・・・。
かろうじてディオンが
「犯罪はダメだ。これは約束だ」と、
はじめに教えたのは良かったのですが・・・。
あろうことか、チャッピーはギャングとしての生き方を学ぶことになってしまう。
犯罪を犯すことができないのにギャングが務まるのか?
それは父親代わりとなったボス「ニンジャ」の巧みな騙しによるものなのです・・・。



赤ん坊のようというか、生まれたてのチャッピーは
どちらかというと子犬のような感じ。
怯えて物陰に隠れるのを、優しく呼びかけ、安心させる・・・。
いかにも頭が悪そうで粗雑そうなヨーランディが、
そんなチャッピーの様子にすっかり母性本能に目覚めたらしく、
なんとも慈愛深い「母親」に変わっていく様、
まあ、安直ですが私は好きですね。


さてところが、ディオンのライバル科学者ヴィンセント(ヒュー・ジャックマン)は、
自身の開発した警察ロボットが会社で採用にならなかったことを妬んでいたのです。
それは警察ロボットというよりも、どう見ても戦争向きのごっついマシン・・・。
いやはや、こいつの暴走ぶりこそが、本作では一番怖いところでした。



結局、危険なのはチャッピーなどのロボットなどではなく、
ギャングであり、欲にかられた科学者であり・・・。
そんな人間たちに振り回されながら
「死」について考えを巡らせていくチャッピーが愛おしい。


ヒュー・ジャックマンがこんな役?というのも意外ですが
ニンジャにヨーランディ、
役名がそのまま芸名の、超個性的な二人。
一体何者???
今度別の作品で見かけても、ヘアスタイルが違っていたら気づかないかも?
でも、ぜひまた見たい気がします!!


科学の最先端と、いかにも猥雑なヨハネスブルグのスラム。
「第8地区」でみたエネルギッシュな感じが蘇ります。
非常に楽しめた一作でした。

「チャッピー」
2015年/アメリカ/120分
監督・脚本:ニール・ブロムカンプ
出演:シャルト・コプリー、デブ・パテル、ニンジャ、ヨーランディ・ビッサー、
ホセ・パブロ・カンティージョ、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーバー

街の混沌度★★★★☆
成長度★★★★★