MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『バタフライ・エフェクト』

2018-03-20 00:33:45 | goo映画レビュー

原題:『The Butterfly Effect』
監督:エリック・ブレス/J・マッキー・グラバー
脚本:エリック・ブレス/J・マッキー・グラバー
撮影:マシュー・F・レオネッティ
出演:アシュトン・カッチャー/エイミー・スマート/ウィリアム・リー・スコット/エルデン・ヘンソン
2004年/アメリカ

物語設定までブレさせてしまったタイムワープについて

 最後のあたりまではストーリー展開のテンポもよかったのだが、主人公のエヴァン・トレボーンが突然日記だけではなくホームヴィデオでもタイムワープできるという都合の良い展開を見てから急に冷めてしまった。
 それにそもそも冒頭とラストに二度描かれる「もし誰かがこれを見つけたら、それは僕の計画が失敗した証拠。その時、僕は死んでいる。でももし僕が最初に戻れたら、その時はきっと彼女を救えるだろう」と医師たちに追われる中でエヴァンがわざわざ書く手紙に何の意味があるのだろうか? エヴァンがこのような計画を立てていることを知っている人物が存在しなければ手紙は全く意味をなさないのであるが、本来ならばそのメモを「日記」として捉えてエヴァンはタイムワープするべきだったと思う。例えば、見ているホームヴィデオの内容を日記に記入することで、あくまでも日記を通してタイムワープするべきなのである。


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『奇跡の丘』

2018-03-19 00:39:41 | goo映画レビュー

原題:『Il Vangelo secondo Matteo』 英題:『The Gospel According to St. Matthew』
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ
撮影:トニーノ・デリ・コリ
出演:エンリケ・イラソキ/マルチェロ・モランテ/マリオ・ソクラテ/スザンナ・パゾリーニ
1964年/イタリア・フランス

「ネオレアリズモ」と「私小説」の関係について

 映像は顔のアップがメインで『ラ・ジュテ』(クリス・マルケル監督 1962年)のようにモノクロ写真を連続して映し出すだけでも成り立つように静かに進行していくが、『マタイによる福音書』からの引用によるダイアローグの構成は、正直字幕を追うだけでも大変で、一度観ただけでは理解できないし、何度観ても理解できないかもしれない。
 例えば、「やがて見るだろう 人の子が全能の神の右に座り 天の雲に乗って来る(田中和香子訳)」と語るキリストは神を冒涜したとされるのであるが、この言葉のどこが神の冒涜に当たるのかピンとこない。
 しかし磔刑に処せられるキリストを見守る母親のマリアを自身の母親に演じさせるパゾリーニの真意を勘繰るならば、それは自身の同性愛に対する罪滅ぼしのような感じがしないでもない。


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『キングスマン:ゴールデン・サークル』

2018-03-18 00:22:09 | goo映画レビュー

原題:『Kingsman: The Golden Circle』
監督:マシュー・ヴォーン
脚本:マシュー・ヴォーン/ジェーン・ゴールドマン
撮影:ジョージ・リッチモンド
出演:コリン・ファース/タロン・エガートン/ジュリアン・ムーア/マーク・ストロング
2017年/イギリス

「本物の故郷」を求めて

 前作同様にイギリスの日刊タブロイド紙「ザ・サン(The Sun)」による「エルトン失踪(Elton Gone)」という見出しネタは「ジョン(John)」と「ゴーン(Gone)」をかけたもので、ギャグとしては少し弱いのではないかと思ったのだが、本物が出てきたので納得した。
 しかしエルトン・ジョン本人が歌う曲よりも気になった曲が『ローガン・ラッキー』(スティーブン・ソダーバーグ監督 2017年)でも使われていたジョン・デンバーの「故郷に帰りたい/カントリーロード」である。しかもエグジーの身代わりにマーリンが地雷を踏みながら「カントリーロード」を大声で歌って敵をおびき寄せて自爆するのである。このいささかショッキングなシーンを始め、キングスマンのアメリカ版であるステイツマンのメンバーを巻き込んでの全体的に暗い作風である理由を鑑みるならば、本作の黒幕がアメリカ合衆国大統領であったように、これは現アメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプに対する皮肉が込められているからだと思うのである。


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『ジオストーム』

2018-03-17 00:04:41 | goo映画レビュー

原題:『Geostorm』
監督:ディーン・デヴリン
脚本:ディーン・デヴリン/ポール・ギヨー
撮影:ロベルト・シェイファー
出演:ジェラルド・バトラー/ジム・スタージェス/アビー・コーニッシュ/アンディ・ガルシア
2017年/アメリカ

 異常気象で崩壊させてしまうには惜しいほどの正確な描写について

 さすが『インデペンデンス・デイ』(ローランド・エメリッヒ監督 1996年)や『GODZILLA』(ローランド・エメリッヒ監督 1998年)の脚本を担った監督だけあって、脚本の荒さはあるものの、「ダッチボーイ」と呼ばれる防衛システムを備えた国際気象宇宙ステーションにより地球の気象をコントロールできるようになったという体で、例えば、サウジアラビアの砂漠に洪水をもたらしたり、海水浴客で賑わうリオデジャネイロの夏の海岸にブリザードをもたらすなど今まで見たこともないスペクタクルは堪能できると思う。
 意外とそれぞれの地域がかなり正確に描かれていると思われる理由は、例えば、日本の東京で起こる嵐のシーンにおいて吹き飛ばされる自動車のナンバーが「46-49」だったところにある。『マジンガーZ / INFINITY』(志水淳児監督 2018年)でも使われていたこのギャグは日本人には馴染みのあるもので、このギャグを知っているということは制作に日本に相当詳しい人が関わっていると思うのである。


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『ダークタワー』

2018-03-16 00:46:49 | goo映画レビュー

原題:『The Dark Tower』
監督:ニコライ・アーセル
脚本:ニコライ・アーセル/アキバ・ゴールズマン/ジェフ・ピンクナー/アナス・トーマス・イェンセン
撮影:ラスムス・ヴィデベック
出演:イドリス・エルバ/トム・テイラー/マシュー・マコノヒー/キム・スヒョン
2017年/アメリカ

ストーリーの「上っ面」をなぞるだけで精一杯の作品について

 スティーヴン・キングの人気SF小説を映画化した作品ということでかなり期待していたのだが、さすがに長編小説を100分ほどにまとめるには無理があったように思う。
 ストーリーがいまいち盛り上がらない原因として主人公で「ガンスリンガー」と呼ばれる拳銃使いのローランド・デスチェインがアメリカ西部開拓時代のガンマンというよりも、ローランドが拳銃や銃弾を奪うガンショップの表に書かれていた「孫」という字からも分かるようにローランドが「我は手で狙い定めぬ。手で狙い定める者、父親の顔を忘却せり。我は目で狙い定める。我は手で撃たぬ。手で撃つ者、父親の顔を忘却せり。我は〈気(mind)〉で狙い定める。我は我が銃で殺さぬ。銃で殺す者、父親の顔を忘却せり。我は〈心(heart)〉で殺す。」と唱えるよう信条は孫子の兵法が色濃く、結果的にストーリーが地味になったように思える。
 しかしラストでローランドとジェイク・チェンバーズが入っていった扉には「香港パレス」と書かれており続編があるのかもしれない。


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『パンとバスと2度目のハツコイ』

2018-03-15 00:44:33 | goo映画レビュー

原題:『パンとバスと2度目のハツコイ』
監督:今泉力哉
脚本:今泉力哉
撮影:猪本雅三
出演:深川麻衣/山下健二郎/伊藤沙莉/志田彩良/安倍萌生/勇翔/音月桂
2017年/日本

 「イメージ」の本質と「孤独」の発明について

 主人公の市井ふみは美大を卒業後に絵を描く意欲を失い、バイト先のパン屋へそのまま就職してしまう。2年交際していた男性がいたのであるが、プロポーズされても「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」という独特の恋愛観を披露したことで別れてしまうのである。
 そんな時に、中学校の同級生で初恋相手だった湯浅たもつが偶然ふみが勤めているパン屋を訪れる。たもつは地元の路線バスの運転手をしていた。同級生の石田さとみと共に頻繁に会うようになるのだが、たもつもさとみも結婚しており子供もいる。さとみは家族と上手くいっているのであるが、たもつは奥さんの浮気で離婚しているにも関わらず、浮気相手の男性と結婚してルクセンブルクへ行くと聞いてもまだ妻に未練がある。
 ここまで観て気がつくのだが、ふみが交際相手と別れた原因はたもつのことが忘れられなかったのである。2人の微妙な距離感が「洗濯機」で表される。今まで使っていた洗濯機が壊れたふみは近所のコインランドリーで洗濯することになるどころか、ふみはたもつに頼んで洗車するバスに乗り込んで自ら「洗濯される」体験をする。この「洗濯」とは「選択」と読み替えられるのである。
 コインランドリーには孤独に関する本が揃えてあるのだが、ふみはガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』でもフランソワーズ・サガンの『愛という名の孤独』でもなくポール・オースターの『孤独の発明』を選んで読んでいる。
 ここで興味深いシーンを挙げるならば、たもつがふみの妹の市井二胡とある絵について語っているシーンである。たもつはその絵をふみの「自画像」だと言っているのであるが、気がついていないのか二胡はそのたもつの誤りを指摘しない。ふみが現われてたもつがその絵をふみが座っているソファーの隣に置くのだが、その絵は二胡がパジャマシャツを着ているふみを描いたものなのである。
 つまりたもつはふみが関わっていない、ただのふみの「イメージ」に魅了されているのである。たもつはふみを大室山の景色を見せにわざわざ車で連れて行くのであるが、ふみはたもつを毎朝仕事に出かける時に見る夜明けの青い空を見せる。そこに挿入される最後にふみが語る
「魅力の本質を知ってしまっても憧れ続けることができるとすれば」という願いが、「特別な場所」ではなく「日常の場所」にあるとして表されるふみが発明した「孤独」だと思うのだが、ここに「肉欲」の問題が決定的に欠けているのが惜しい。


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『サニー/32』

2018-03-14 00:58:57 | goo映画レビュー

原題:『サニー/32』
監督:白石和彌
脚本:高橋泉
撮影:灰原隆裕
出演:北原里英/ピエール瀧/リリー・フランキー/門脇麦/駿河太郎/音尾琢真/蒼波純
2018年/日本

ハッピーエンドに対する「未練」でブレる作風について

 当時11歳だった小学生の女児が同級生の首をカッターナイフで殺傷した事件が起こったのは2003年2月28日で、そうなると2017年2月に誕生日を迎える主人公で中学校教師の藤井赤理は24歳ではなく25歳になるのではないかという疑問を抱きながらも、ストーリーそのものはスリリングに進行していく。
 ところがラストでとんでもないことが起こる。拳銃で撃たれて重傷を負った赤理が「アジト」の屋根に登って警察の手から逃れようとするために飛んでいるドローンに飛び掴もうとしたのだが失敗し落ちるのであるが、そこへたまたま仲間の小田武が運転するトラックの屋根があり、屋根に落ちた赤理はそのままトラックに運ばれて、いじめを受けていた教え子の
向井純子がいるカラオケボックスまで行って彼女を救うのである。ハッピーエンドにしたかったのであろうが、それまでリアリズムに徹していた作風が急にファンタジーと化してしまったことで一気に冷めてしまった。


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『蠢動 -しゅんどう-』

2018-03-13 00:22:03 | goo映画レビュー

原題:『蠢動 -しゅんどう-』
監督:三上康雄
脚本:三上康雄
撮影:岡田賢三/大淵博道
出演:平岳大/若林豪/目黒祐樹/中原丈雄/さとう珠緒/栗塚旭/脇崎智史/増田久美子
2013年/日本

「蠢動」しないイメージについて

 低予算で撮られた時代劇作品として十分に見応えはあるのだが、やはりクライマックスの殺陣のシーンには不満が生じてしまう。
 クライマックスは主人公の剣術師範の原田大八郎が因幡藩の討手たちとの死闘が展開されるのだが、雪原で繰り広げられる殺戮であるにも関わらず雪が鮮血で染まることがなく、精々原田が最後に斬りつけた相手の首から血がほとばしるくらいである。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(ライアン・ジョンソン監督 2017年)のクライマックスを観たばかりだったせいかもしれないが、本作で描きたかったイメージとは、真っ白な地面がだんだんと赤く染まっていく過程ではなかったのだろうか?


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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

2018-03-12 00:37:19 | goo映画レビュー

原題:『Star Wars: The Last Jedi
監督:ライアン・ジョンソン
脚本:ライアン・ジョンソン
撮影:スティーヴ・イェドリン
出演:デイジー・リドリー/アダム・ドライバー/オスカー・アイザック/マーク・ハミル
2017年/アメリカ

自信を失った「男たち」と身を捧げる「女たち」について

 実父のハン・ソロを殺害するなどカイロ・レンの暴走を許してしまったことを、かつてレンの師匠だった伝説のジェダイのルーク・スカイウォーカーは後悔し完全に沈黙してしまう。一瞬であるにしろレンを疑ったことが取り返しのつかない事態を招いたことでルークは自信を失ったのであるが、それはカイロ・レンも同じで自分の信念がブレるのである。
 しかしその間に奮闘した人物を挙げるならば爆破スイッチを押して爆撃機と共に自身も巻き込んで命を落とすペイジ・ティコ 、鉱業惑星クレイトに向かって脱出した小型船に対する攻撃を防ぐために一人で操縦して本船でファーストオーダーの船隊に向かってハイパースペースのワープを使って自爆するアミリン・ホルド提督、同様に敵のレーザー兵器を潰そうと自分の乗った機体ごと自爆しようとするフィンを助けるために敢えて妨害するローズ・ティコは命に別状はなかったものの、犠牲になっているのは女性たちなのである。彼女たちの行動は「敵を倒す」ではなく「仲間を救う」という原理に支えられている。
 このようなストーリー展開においてヒロインのレイが、カイロ・レンやルーク・スカイウォーカーとは違う「第三の行動」が取れるのかどうかが続編の見どころになると思う。


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欅坂46 渡辺梨加と「場面緘黙症」

2018-03-11 00:51:20 | Weblog

欅坂46 渡辺梨加 <自撮りTV>

 2018年2月25日付の毎日新聞の「みんなの広場」に17歳の女子高生の『「場面緘黙症」に理解を』という投書が掲載されていた。この記事を読んだ時に欅坂46の渡辺梨加のことを思い出した(その後、3月6日付「いろいろな人がいて当然」、3月9日付「病気の理解のためには」という反響の投書が掲載された)。
 渡辺はアイドルという職業を選んでいるのだから恥ずかしがり屋ではないし、大抵の芸能人は人見知りだし、歌やダンスのみならず演技も含めて決められたことはそつなくこなし、楽屋では賑やからしいのであるが、『欅って、書けない?』の番組内や、インタビューなどを受ける際には全く喋れなくなる。
 場面緘黙症は大人になると改善するらしく、本来であるならば22歳の渡辺には当てはまらないのではあるが、噂によれば50社の面接試験に落ちたということなども勘案するならば渡辺が場面緘黙症であることは間違いないような気がする。
 しかし渡辺梨加は美人で、番組MCの2人やメンバーたちも彼女に優しく恵まれた環境にいられるから良いようなものの、美人でもなく頭も良くなく、寛容の無い環境に置かれた人々は厳しい人生を強いられているのではないだろうか。


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