MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『風速七十五米』

2018-03-02 00:10:59 | goo映画レビュー

原題:『風速七十五米』
監督:田中重雄
脚本:高岩肇/田口耕三
撮影:高橋通夫
出演:宇津井健/田宮二郎/叶順子/菅原謙二/浜田ゆう子/菅井一郎/高松英郎
1963年/日本

「ディザスター的」演出について

 タイトル通りに良質のディザスタームービーであることに加えて、意外と伏線となるストーリーもしっかりとしている。
 主人公の新聞記者の田村信一郎は昨年(昭和34年)の伊勢湾台風を目の当たりにしたためなのか東京に大型台風が来る場合の危機感を抱いており、特に林立しているネオンが倒壊する危険性を指摘していた。そんな時に東西製薬のネオンが完成し、それを請け負った丸高組の社長の娘の丸山照子と大学の同級生(卒業して7年経っているから29歳くらいか?)だった田村は完成式に顔を出した。
 その夜、ネオンが何者かにダイナマイトで爆破され、工事の入札を丸高組と競った名古屋に拠点を置く遠藤工業に疑いの目が向けられたのであるが、足が付かないように遠藤工業は直接関与せず、暁産業の常務の木谷明を使っていた。木谷も照子と田村の大学の同級生だったのであるが、かつて遠藤が同じ軍隊の副官として木谷の父親に師事しており、敗戦直後に自殺した木谷の父親に代わって明を育てた恩義があるために裏切れなかったのである。
 工事現場の監督である浅沼を演じた早川雄三のコミカルな演技が宇津井健や田宮二郎に負けず劣らずの出来栄えなのだが、例えば、爆破事件を伝える紙面が昭和39年7月22日付だったり、さらに遠藤工業の策略で、ネオンを再建しようとする丸高組の従業員で吃音症を患う梅原の主導によるストライキを報じる紙面が6月18日付だったりして、やはり演出が大雑把なところは致し方ないのだろうか。


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