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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『あるセックス・ドクターの記録』

2018-03-07 21:10:12 | goo映画レビュー

原題:『あるセックス・ドクターの記録』
監督:弓削太郎
脚本:高橋二三
撮影:宗川信夫
出演:船越英二/水木正子/田武謙三/吉田義夫/笠原玲子/石黒三郎/目黒幸子/早川雄三
1968年/日本

「子供っぽい」成人向き作品について

 本作はある少年の怪我の治療に携わった主人公で泌尿器科の専門医の根岸公二が少年に輸血した血液で梅毒に感染したことで、少年のみならずそのО型の血液を提供した5人の人物を探し出して治療を試みるというストーリーである。
 梅毒というテーマからポルノ映画のような雰囲気があるのだが、「ガメラシリーズ」の脚本を担っていた高橋二三がガメラ映画の合間に書いたためなのか梅毒が様々な手段で人間の体内に忍び込む「未確認生物」のような扱いである。しかしウィキペディアによるならば1967年に日本において梅毒の小流行があり、本作はその流行に乗っかって1968年に撮られたものと思われる。
 その5人を列挙してみると、成城のお嬢様でレズビアンの本沢チエ子、ある会社の課長の三村信吉、新興宗教の教祖で、そのおかしな言動から「脳梅毒」を疑われた茨木玄白、地元で強姦された経験から上京して「ヌードの女王」と呼ばれて活動している踊り子の滝ユカリ、タクシー会社の社長で、妻の水田キヨノの不妊という要因もあってのことか妊娠している久保田鈴子を愛人として囲っている水田栄三である。
 奈良林祥
が監修に携わっていることもあって当時としては正確な情報で脚本が書かれていると思われるが、さすがに本沢チエ子の相手の久美が通っている洋裁の短期大学の寄宿舎のルームメイトの全員が霧吹きを共用していたから梅毒に感染したというのはもはやギャグである。
 ラストはリモコン飛行機で遊んでいる回復した少年を根岸が見守っているというシーンである。テーマが成人向きなのにストーリー展開が子供っぽいという原因は上記の通りである。


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