原題:『サニー/32』
監督:白石和彌
脚本:高橋泉
撮影:灰原隆裕
出演:北原里英/ピエール瀧/リリー・フランキー/門脇麦/駿河太郎/音尾琢真/蒼波純
2018年/日本
ハッピーエンドに対する「未練」でブレる作風について
当時11歳だった小学生の女児が同級生の首をカッターナイフで殺傷した事件が起こったのは2003年2月28日で、そうなると2017年2月に誕生日を迎える主人公で中学校教師の藤井赤理は24歳ではなく25歳になるのではないかという疑問を抱きながらも、ストーリーそのものはスリリングに進行していく。
ところがラストでとんでもないことが起こる。拳銃で撃たれて重傷を負った赤理が「アジト」の屋根に登って警察の手から逃れようとするために飛んでいるドローンに飛び掴もうとしたのだが失敗し落ちるのであるが、そこへたまたま仲間の小田武が運転するトラックの屋根があり、屋根に落ちた赤理はそのままトラックに運ばれて、いじめを受けていた教え子の向井純子がいるカラオケボックスまで行って彼女を救うのである。ハッピーエンドにしたかったのであろうが、それまでリアリズムに徹していた作風が急にファンタジーと化してしまったことで一気に冷めてしまった。