原題:『The Beguiled』
監督:ソフィア・コッポラ
脚本:ソフィア・コッポラ
撮影:フィリップ・ル・スール
出演:ニコール・キッドマン/コリン・ファレル/キルスティン・ダンスト/エル・ファニング
2017年/アメリカ
確信犯としての「ホワイトウォッシュ」について
言うまでもなく『白い肌の異常な夜』(ドン・シーゲル監督 1971年)のリメイクである。必然的にシーゲル監督版と比較されることになるのだが、オリジナルに対するその余りのストーリーの忠実さが、何故リメイクしたのだろうかという疑問を生じさせる。
原作には登場した黒人や混血のキャラクターを白人に変えてしまったことに批判があるようだが、白く眩い映像の美しさを観ると、どうもコッポラは「染み」をつけたくなかったように感じる。しかしそれは監督個人が持って生まれた美意識のようなもので、例えば、北軍伍長のジョン・マクバニーを演じたコリン・ファレルの容貌に関して女性たちが奪い合うほどの男前かという疑問はあるのだが、男がまったくいなかった場所に男が現われれば誰でも良く見えてしまうように、美意識は環境によって大きく左右されてしまう。ソフィアも父親のフランシス・フォード・コッポラの美意識に多大な影響を受けているのではあろう。