MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』

2016-07-04 20:25:28 | goo映画レビュー

原題:『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』
監督:三木康一郎
脚本:渡辺千穂
撮影:板倉陽子
出演:高畑充希/岩田剛典/阿部丈二/今井華/谷澤恵里香/大和田伸也/宮崎美子
2016年/日本

衒った「奇」が活かされない作品について

 不動産会社に勤務している主人公の河野さやかは2月14日の晩に自転車置き場で倒れている青年と遭遇し、自分を「拾ってくれ」と言うその青年を一晩家に泊めることにする。翌日、朝食を用意してくれた青年を気に入ったさやかは、とりあえず「たつる」と名乗るその青年と同棲することになる。
 昼間働いているさやかと深夜のコンビニでバイトするたつるの生活はそれなりに上手くいき、週末は2人で自転車に乗って山菜取りなどしながら楽しく暮らすのであるが、さやかの嫉妬をきっかけに2人は恋人として付き合うことになるのである。
 8月15日はさやかの誕生日であると同時に、半年間だけの同居生活と約束していた期限の日でもあった。さやかが帰宅するとたつるはケーキを作って出迎えてくれたのであるが、翌日、たつるは「ありがとう」という書き置きを残して去っていったのである。
 翌年になってさやかの元に小荷物が届く。たつるが出版した植物図鑑である。生け花の大家である父親の登来柳明に反抗するように日下部樹は雑草として扱われている草木の写真を撮り続けながらようやく出版にこぎつけたことは理解できるが、植物図鑑までわざわざ送りながら何故日下部樹がさやかに黙って行方をくらましたのかが理解できない。再婚した母親の河野典子との関係が上手くいっていないさやかと、父親との関係が上手くいっていない樹という伏線も消化しきれておらず、会社におけるさやかの「成長物語」に樹の影は薄く、奇を衒った割りにはストーリーそのものは平凡である。


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