MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『64 - ロクヨン- 後編』

2016-07-01 00:14:00 | goo映画レビュー

原題:『64 - ロクヨン- 後編』
監督:瀬々敬久
脚本:瀬々敬久/久松真一
撮影:斉藤幸一
出演:佐藤浩市/綾野剛/榮倉奈々/夏川結衣/緒形直人/吉岡秀隆/瑛太/永瀬正敏/三浦友和
2016年/日本

「リアリティー」のあり方について

 後編で注目していた点として、雨宮芳男が電話越しから聞いた目崎正人の声を聞き分けるシーンと、幸田一樹が目崎正人にヘリウムガスなどを駆使して声色を遣って電話をするシーンである。はっきり言ってこの2つのシーンの処理の仕方が本作の評価の全てを決めるといって過言ではないと思うのであるが、ヘリウムガスが切れた後にわずかばかりに漏れた本物の声を聞いた三上義信たちが、犯人を幸田一樹と断定できたということは、そのような「リアリティー」が存在するという設定なのであろう。
 原作は「バカミス」とされているのだが、これは小説家が書いたミステリーだから違和感が生じるのであり、梶原一騎原作の漫画がネタ元だとして観るならば、例えば、同じ公衆電話で雨宮の電話の使い過ぎでプッシュボタンの数字が消えていたり、声をチェックした後に電話帳の名前を鉛筆で線を引いて消していくシーンなど、映像との相性が意外と良く、いかにも昭和最後のド根性物語としてなかなか見応えはあると思ったが、どういう訳かラストシーンが呆気ない。
 本作に登場する新聞記者の態度の悪さに前編では辟易していたのであるが、先日の東京都知事の不祥事に対して余りにも記者クラブの追及が甘かったので、逆に態度の悪い記者が懐かしくなってしまった。


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