原題:『GONIN サーガ』
監督:石井隆
脚本:石井隆
撮影:佐々木原保志/山本圭昭
出演:東出昌大/桐谷健太/安藤政信/柄本佑/土屋アンナ/竹中直人/根津甚八
死ぬに死にきれない男たちの未練がましさについて
五誠会3代目で芸能事務所社長の式根誠司と百合香の結婚披露宴が開かれているクラブの床下には暴力団五誠会系大越組の若頭だった久松茂の息子の久松勇人、同じ大越組の組長だった大越康正の息子の大越大輔、神奈川県警の警官で19年前に起こった事件で父親を亡くしていた森澤慶一と元グラビアアイドルの菊池麻美が潜んで急襲の機会を窺っており、五誠会2代目会長の式根隆誠の登場に合わせてステージの背後のスクリーンを切り裂いて勇人が現れて銃撃戦が始まる。
この時、注目すべきは切り裂かれたスクリーンのなびき方である。明らかに風ではなく角につけた糸を引っ張ってなびいているスクリーンを見て私たちは本作がB級作品であることに気づくべきであろう。だから屋上から落下した明神が生きていても、もちろん氷頭要も万代樹木彦でさえ生きていてもおかしいことはなく、寧ろ、一人でも多く殺すまで死ぬに死にきれない男たちの未練がましさをちあきなおみの「紅い花」と森田童子の「ラスト・ワルツ」と共に噛みしめるべきなのであろうが、それならば『GONIN』(1995年)のラストで、観光バスの後方の席に座っていた三屋純一が抱えていた骨壺らしきものは誰のものだったのだろうか?
竹中直人を初め、テリー伊藤や土屋アンナなど何よりも眼光の鋭さを優先にキャスティングされているとしか思えない。