MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『罪の余白』

2015-10-22 00:57:07 | goo映画レビュー

原題:『罪の余白』
監督:大塚祐吉
脚本:大塚祐吉
撮影:Ivan Kovac
出演:内野聖陽/吉本実憂/谷村美月/葵わかな/宇野愛海/利重剛/加藤雅也
2015年/日本

 スクールカーストのトップの挫折について

 娘の安藤加奈が学校の教室のベランダから転落死した原因を突き止めようと、主人公の安藤聡は当初、大学で心理学を教えていながら娘に対する自分の無理解や、母親が加奈を出産する際に子宮がんが見つかり、出産のために癌治療ができずに亡くなってしまったことなどを思い出し悩んでいたのであるが、ノートパソコンに残っていた加奈の日記を読んでから、加奈の友人だった木場咲に話しを聞こうとするものの、成績優秀で美人でスクールカーストのトップに君臨している咲は巧妙に話しをはぐらかし、事件当時のことを語ろうとはせず、逆に安藤を追い詰めていく。
 ここまでの話の流れは悪くはない。密かに女優を目指していた咲は思い通りに芸能事務所にスカウトされ、事務所の社長と話し合うのであるが、咲が想像していたような話にはならなかった。学校では万能ではあっても社会に出てしまうと途端に神通力を失うことに咲自身が驚いたはずである。咲が事務所を後にした直後に咲の後を付けていた安藤が関係者に話しを聞き、咲が女優を志していることを知る。ここら辺から咲の人生の歯車が狂ってきて、実際、咲は安藤に「撮影」されることで刑務所送りになってしまうのであるが、ロジックに則ってはいても安藤が大学で講義していた「ダブルバインド」の話が上手く生かされておらず、全体的なストーリーの流れも素直すぎる。
 それでも観賞に耐えられる理由は、咲を演じた吉本実憂の好演と美しさにつきる。さすが街角のスカウトではなく第13回全日本国民的美少女コンテストでグランプリを受賞して芸能界に入っただけのことはある。


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