MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『心が叫びたがってるんだ。』

2015-10-07 00:40:25 | goo映画レビュー

原題:『心が叫びたがってるんだ。』
監督:長井龍雪
脚本:岡田麿里
撮影:森山博幸
出演:水瀬いのり/内山昂輝/雨宮天/細谷佳正/藤原啓治/吉田羊
2015年/日本

「明」と「暗」を組み合わせる意義について

 ストーリーは言うまでもなく、設定も絶妙だと思う。主人公の成瀬順が母親に発した一言で声を失う原因は突然彼女の前に現われた「玉子の妖精」のせいなのであるが、それは自分の「殻」に閉じこもるという比喩と共に、(卵ではなく)玉子の「汚点」さえ取れれば坂上拓実という「王子」になるという淡い期待が望めるからであろうし、例えば、第45回揚羽高等学校主催の「地域ふれあい交流会」で催されたミュージカル『青春の向う脛』の中でベートーヴェンのマイナー調の『ピアノソナタ第8番「悲愴」』とハロルド・アーレンのメジャー調の『虹の彼方に(Over the Rainbow)』を組み合わせて演奏されるように、「玉子の妖精」と坂上拓実という対照的なキャラクターが同じ内山昂輝の声で演じられていることと無関係ではないであろう。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(長井龍雪監督 2013年)のメインスタッフが再び集まって制作されたようだが、本作の方がリアリティーがある分登場人物に共感しやすい。いずれ本作も実写化されるであろうが、音楽教室の職員室の壁に貼ってある「ネス湖」のペナントは面白かった。


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