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風のV7(3)

(注意!!この物語はフィクションです。公道では絶対に無理をせず、安全運転に努めてください!)
(注意!!この語り手は白いV7の女性の走りをかなり誤解しています。
     この記事はツーリングストーリーですので、ここでライテク解説はいたしませんが、
     決して彼の言葉を真に受けないようにお願いいたします。)

磐梯吾妻スカイラインに入ったら、V7の女の走りが変わりやがった。

オレもさ、まずかったかな、と思ったんだよ。
スカイラインの料金所過ぎたところでさ、その女停まったんだよな。
でさ、オレもつられて停まったんだけど、それって後付けてますモード全開じゃん。
そのとき追い抜いて走り去ればよかったんだよな、今思えば。
だけどさ、えてしてそういうのって、そのときはなぜか気づかないものだろ。

だけどさ、その女も、発車するまえに振り返ってオレの方をみやがったんだぜ。
そりゃ、ついて来いって意味に取るだろ、ふつう。

それにしても、まあ、すごかったなあ、いざとなったら女の方がめちゃくちゃやるっていうけど、
あの女、命が惜しくないのかね。

最初はさ、静かに走り出したんだ。
普通にクラッチミートして、すーってな、
だけど、そこからとんでもない走りをしやがった。

お前、知ってるか?
あのスカイラインってさ、最初のカーブは左コーナーなんだよ。90度。
その次が右で、これが登りながら回り込んでるんだけど、ここがさ、路面が逆バンク気味に感じるんだな。
で、さっきと同じ感じで右に90度、曲がったかと思うと、そこからもうひと曲がりあるんだよ。

その女、最初の左を曲がったところからフル加速くれやがった。
まあ、フル加速ったって、V7クラシックは最高でも48馬力でさ、バイアスタイヤだし、しかも登りだから、そんな大した加速じゃないわけ、だから、最初はさ、おおう、やるなあ、ネエチャン、そうこなくっちゃ!なんてな、思ったわけ。

でもそれは一瞬だった。
その女、次の右にそのまま加速しながら突っ込んで行きやがった。
一瞬、嫌なもの見ちまったかと思ったぜ。絶対曲がりきれずにこけると思ったのさ。

そしたらさ、こけないんだ。
いや、それだけじゃない、なんか変なんだ。そのグッチ。
ラインが普通じゃないんだよ。それにゆらゆらしてる感じだし、なのにさらに加速して抜けてくんだぜ。

おれは面食らったね。
でも、やばいと思った、本気で前へ出て止めねえと、このネエチャン事故っちまうってね。

でさ、ちょっと本気で、前へ出ようとしたのさ。

右コーナーの後は浅いS字でさ、左、右って、登りながら行くんだけど、そこをネエチャンはセンターラインカットしてまっすぐ登るんだぜ。
あぶねえ奴。先が見えてるから対向車はいねえんだけどさ、ひどくねえか、それ。
センタラインは割らねえ!黄色ラインで追い越ししねえ!これはさ、走り屋の最低限のマナーだろうがよ。
それにしても、直線も速え。
いや、そんなはずねえんだけど、脱出速度が速えから、最初から速度乗ってるだろ。
確かに馬力は小せえが、伸びてくんだよ。
おれはあわてて加速したさ、だけど、200mじゃ追い越せないだろ、そしたらまた左さ。
今度も回り込んでいくカーブさ。

さすがのネエチャンも減速したさ。
だってよう、どう見ても30~45Rくらいだぜ。
コーナー脱出してから200mフル加速して来りゃ、いくら登りでも速度は乗ってるぜ。
よくよう、いるだろ、ノーブレーキで突っ込むの自慢する奴。
それってさ、直線遅いって言ってるようなもんなんだよな。
まっすぐを速く走るのがさ、早く走るすべての基本なんだぜ。
パワーバンドでアクセル、ストッパーに当たるまで開け切れないやつにさ、速さの話してほしくないねオレは。

おっと、ネエチャンだった。
そう、一応ブレーキングはしたんだ。ネエチャンも。
けど、それにしても突っ込みが速すぎるんだ。
ありゃあ、絶対頭のネジがぶっ飛んでるぜ。
後ろのオレの心臓が止まるかと思うくらいの速度で突っ込むんだぜ。
今度こそ、絶対曲がりきれねえ!対向車線にはみ出して、そのままアウト側のガードレールにぶち当たって、ネエチャンは谷底かあ!?
その前に対向車が来てたら!ネエチャン終わりだぜ!!

いや、本気で焦ったぜ、思わず叫んだくらいさ。

ところが抜けてくんだ、そのコーナーも。
しかも今度はセンターライン割らねえ。
くううっって回ってくんだぜ。
もう、わけがわかんねえ。

え、オレが遅すぎるって?
お前な、一回でもオレについて来れたことあるか?

もうちょっとコーナーがでかくて、直線があれば、簡単に抜いたさ。
いや、それじゃあ、マシンの差だ。

なんていうかな、とにかく変なコーナリングなんだよ、その女。

ターンインが早い感じなのさ。
ほら俺たちはさ、奥まで突っ込んで、フルブレーキするだろ、そしてコーナーの展開を見ながら一発で向き変えするか、アペックスまでブレーキ引きずってって一気に旋回して脱出加速に入るか決めるじゃん。

その女は違うんだな。
ちょっとだけなんだけど、ターンインが早いっていうか、浅いのさ。
普通さ、奥まで突っ込まないで早くからインについたら破綻するだろ、ラインが。
それがさ、なぜか回り込んでいくんだよ。
それにさ、リーン方向の動きがやたらに速いのさ。
直立からいきなりぱっ!とフルバンクになってやがる。
ほんと、一瞬さ、いや、一瞬もかかってねえ感じさ。
向き変わってないんだぜ。
ふつうそれって逆操舵のフロントこじってヤバいケースだろ?
それがさ、ビダッと寝たと思ったら、なんか火花散らしっぱなしでさ、いや、ほんとだって、
そのままぎゅうううんんん……って感じで、回り込んでいくんだよ。
なんで曲がれるのか、ほんとわかんねえ。
なんか軌道みたいのがあってさ、そこにタイヤが嵌まってさ、そのまま上からケーブルで引かれるみたいに、離れてくんだぜ。
オレの乗ったブルターレを!!、コーナーで!引き離していくんだぜ!!
女が!しかも、V7なんてちゃちいバイクで!!

ホント悪夢でも見てるみたいだったぜ。

開けられれば、オレの方が速いのさ。浅いS字区間とか、短い直線区間だと、アッという間に背中がでかくなる。

だけど!!
あの突っ込みはねえ!!
あんな無茶する奴、男でもみたことねえ!


で、コーナリングが気持ちわりい。
旋回速度が速すぎるんだよ。
バンク角だって、ブルターレの方が深いんだぜ、タイヤのグリップだって、
オレはもう、タンブリー二に申し訳が立たねえよ。

え?信じられねえ?

そりゃそうだろ、俺だって目の前で見てても信じられなかったんだ。
なんか気持ちわりいコーナリングなんだよ。
なんていうかな、レールの上走ってるみたいなのに、氷の上を走ってるみたいなのさ。
いや、違うな…、いや、やっぱりそうだな…。

ラインがよ、違うんだよ。

え、フォーム?

そりゃ、お前、いい女でさ、きゃしゃなんだけど、女だからほら、ケツがでけえだろ、で、腰がキュってしまっててさ、たまんなかったぜ。
いや、そうじゃねえ、わかってるって!!

そのケツをさ、シート半分くらいずらすんだ。
またその革パンが白に横に青のラインが入ってやがって、セクシーなのさ。レーサーブ―ツだったな。
で、すげえのは、上体なんだけど、これもわからねえ。
なんだかゆらゆらしてる感じなんだよ。

あ、ああ、マシンよりイン側に入ってるからリーンインなんだけど、そういうフォームじゃねんだ。
ありゃ見ねえとわかんねえよ。
なんかよう、踏ん張ってタイヤつぶしてっていうよりさ、前からすんげえ力で引っ張られて連れ去られる感じ?
そんな感じで走ってくんだぜ。

基本全部フルバンク。だからどっか擦りっぱなしな感じさ。コーナーに入ってから出るまで、ずーっとフルバンク。
ありえねえだろ?
V7のバンク角なんてそう深くねえから、バンク角自体は大したことないのさ。
でもよ、ずーっとフルバンクって、なんかあったらどうすんのさ。
おしまいじゃねえか。


オレは、とにかく、
コーナー入り口で離されて、旋回速度も遅くて、立ち上がりだけさ、勝てるのは。
いや、正直に言えば、立ち上がりそのものの速度は女の方が速い。
オレは立ち上がり後半から短い直線区間で差を詰める。
それだけさ。

なんだよ!それ!!って感じだろ?
もう、プライド、ズダズダさ!

で、女は離れていく。

直線区間入れても、トータルでその女の方が速えんだよ!!
半分以下の馬力の女のV7クラシックの方がよ!
もうオレの頭はコンフューズドさ。
(つづく)

(注意!!この物語はフィクションです。公道では絶対に無理をせず、安全運転に努めてください!)
(注意!!この語り手は白いV7の女性の走りをかなり誤解しています。
     この記事はツーリングストーリーですので、ここでライテク解説はいたしませんが、
     決して彼の言葉を真に受けないようにお願いいたします。)
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