バイクライフ・バイクツーリングの魅力を北海道から。
聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
北村の祈念樹「不動尊」

(3月30日。10:06AM。道道139号線。岩見沢市、北村。)
<北海道の樹を訪ねて―26 北村の祈念樹「不動尊」>
(この記事は昨日の「春をさがしに 新篠津」の続きです。)
新篠津、北村と、岩見沢市街地を通る12号線を避け、その裏道である国道275号線も避けて、石狩川に寄り添いながら南空知の広い平野の中を行く、道道139号線や、その周辺の道は、僕のお気に入りの散歩ロードだ。
交通量も少なく、景色は優しく、取り締まりも(あまり)ない。
一面の畑や田んぼになったこのあたりは、わずか百数十年前までは、巨木の森や大小多くの沼、三日月湖、湿地帯だったのだが、今や樹はほとんど伐られ、風が通り抜ける大平野となっている。
バイクでクルーズしていると、T字型になった交差点に大きな樹をみつけた。
ひろーい平野の分かれ道に、大きな樹。
これはきっと何かいわれのある樹に違いない。
さっそくバイクを停める。
ホントは交差点内に停めるのは禁止なのだが、ほとんど交通量のない道路。少しお邪魔することにした。
それにしても、でかい。本州の名だたる巨樹に比べれば確かにかわいい部類だが、そばに来ての存在感はデータなど吹き飛ばす説得力を持っている。
遠くからは大きな樹、としか見えないが、近づくと2本の樹が寄り添って立ち、一つの樹冠を形成している。
有名な十勝豊頃のハルニレの樹も、2本で一つの樹冠を形成した双子樹だが、この樹もそうだ。

2本寄り添った樹の脇に子どものように3本目の樹が育っている。
広い平野にこの樹を残しているということは、何かいわれのある記念保護樹である可能性が高い。
写真の左端に半分写っているのは、北海道の立てた看板で、自然を守ろうということが書いてある。しかし、たいていその脇に立っていいる樹のいわれを説明した看板がない。
あちこち探したのだが、やはり見つからない。
いや、気になるのは、この樹の脇の妖しげな小屋なのだが…。
バス停でもないようだが、とりあえず入ってみよう…。
と、近づこうとしたとたん、何かただならぬ感じがした。
決して危険な感じではない。違和感というのでもない。
今までに訪ねて来た、いくつかの聖地に似た、なんとなく、「ちわ~」とは入れないような、不思議な威圧感というか、威厳感というか、説明しがたい雰囲気を感じる。
ちょっと入るのをためらった僕は、一度下がり、交差点の反対側まで離れて樹と小屋全体を改めて眺めてみた。
それから樹のそばまで戻り、自分流の挨拶を樹とその小屋に捧げた。

さらに一礼しながら小屋に入ると、正面に小さな石仏が置かれ、板壁の上部一面には寄進の名札が無数に貼られている。
この石仏は、どうやら不動明王だ。
昭和の40年代の記述がある。
このあたりはずっと石狩川の氾濫、洪水に苦しめられてきたところだ。
この石仏もそれと関係があるのかもしれない。
北村は、この地に入植した北村氏の名前から取られた村名だ。
平成の大合併で岩見沢市に合併され、北村の<村としての>歴史は幕を閉じた。
この樹は、きっと由来のある樹だと思うのだが、なかなかそれが突き止められない。
インターネットでの検索ではなかなかこの樹の正体に行き着かない。
北海道記念保護樹の一覧では、北村中央にある開拓記念木が登録されており、住所はぴったりで、樹の名前も「不動尊」とまさにストライクなのだが、樹種に「ポプラ」とある。
僕の乏しい知識と経験では、夏に葉を見ないと樹種の確定はできないが、ポプラは違うと思う。

寒いがよく晴れ、風が強いこの日、枝先には春芽が大きくなって、芽吹きの時を待っていた。
不動尊の前には生花が供えられていた。
そして小屋の中には箒とちりとりも置いてあった。
定期的に掃除し、生花、ろうそくを供し、祈りを捧げる人が、今もいる。
この樹は、北海道の看板が倒れ、再建されなくても、村や、合併後の岩見沢市のHPに載っていなくても、
地元の人の中で記念樹であり、それは不動明王に祈りたくなるような出来事の記録でもある、祈念の樹でもあることは間違いない。

元北村役場、今の岩見沢市役所北村支所に電話して訊いてみればいいことだ。
それはわかる。たぶんそれで謎は簡単に解ける。
しかし僕はそうしないことにした。
できれば夏に、真夏の空の下に、もう一度ここを訪れ、願わくばこの樹の下で、地元の方に直接うかがってみたい。
この樹の名前と、この樹にまつわる、この土地と人々との物語を。
北村に着けば、宮島沼はもう近い。鳥たちの聖地、宮島沼で、僕は何に出会うだろうか。(つづく)
<北海道の樹を訪ねて―26 北村の祈念樹「不動尊」>
(この記事は昨日の「春をさがしに 新篠津」の続きです。)
新篠津、北村と、岩見沢市街地を通る12号線を避け、その裏道である国道275号線も避けて、石狩川に寄り添いながら南空知の広い平野の中を行く、道道139号線や、その周辺の道は、僕のお気に入りの散歩ロードだ。
交通量も少なく、景色は優しく、取り締まりも(あまり)ない。
一面の畑や田んぼになったこのあたりは、わずか百数十年前までは、巨木の森や大小多くの沼、三日月湖、湿地帯だったのだが、今や樹はほとんど伐られ、風が通り抜ける大平野となっている。
バイクでクルーズしていると、T字型になった交差点に大きな樹をみつけた。
ひろーい平野の分かれ道に、大きな樹。
これはきっと何かいわれのある樹に違いない。
さっそくバイクを停める。
ホントは交差点内に停めるのは禁止なのだが、ほとんど交通量のない道路。少しお邪魔することにした。
それにしても、でかい。本州の名だたる巨樹に比べれば確かにかわいい部類だが、そばに来ての存在感はデータなど吹き飛ばす説得力を持っている。
遠くからは大きな樹、としか見えないが、近づくと2本の樹が寄り添って立ち、一つの樹冠を形成している。
有名な十勝豊頃のハルニレの樹も、2本で一つの樹冠を形成した双子樹だが、この樹もそうだ。

2本寄り添った樹の脇に子どものように3本目の樹が育っている。
広い平野にこの樹を残しているということは、何かいわれのある記念保護樹である可能性が高い。
写真の左端に半分写っているのは、北海道の立てた看板で、自然を守ろうということが書いてある。しかし、たいていその脇に立っていいる樹のいわれを説明した看板がない。
あちこち探したのだが、やはり見つからない。
いや、気になるのは、この樹の脇の妖しげな小屋なのだが…。
バス停でもないようだが、とりあえず入ってみよう…。
と、近づこうとしたとたん、何かただならぬ感じがした。
決して危険な感じではない。違和感というのでもない。
今までに訪ねて来た、いくつかの聖地に似た、なんとなく、「ちわ~」とは入れないような、不思議な威圧感というか、威厳感というか、説明しがたい雰囲気を感じる。
ちょっと入るのをためらった僕は、一度下がり、交差点の反対側まで離れて樹と小屋全体を改めて眺めてみた。
それから樹のそばまで戻り、自分流の挨拶を樹とその小屋に捧げた。

さらに一礼しながら小屋に入ると、正面に小さな石仏が置かれ、板壁の上部一面には寄進の名札が無数に貼られている。
この石仏は、どうやら不動明王だ。
昭和の40年代の記述がある。
このあたりはずっと石狩川の氾濫、洪水に苦しめられてきたところだ。
この石仏もそれと関係があるのかもしれない。
北村は、この地に入植した北村氏の名前から取られた村名だ。
平成の大合併で岩見沢市に合併され、北村の<村としての>歴史は幕を閉じた。
この樹は、きっと由来のある樹だと思うのだが、なかなかそれが突き止められない。
インターネットでの検索ではなかなかこの樹の正体に行き着かない。
北海道記念保護樹の一覧では、北村中央にある開拓記念木が登録されており、住所はぴったりで、樹の名前も「不動尊」とまさにストライクなのだが、樹種に「ポプラ」とある。
僕の乏しい知識と経験では、夏に葉を見ないと樹種の確定はできないが、ポプラは違うと思う。

寒いがよく晴れ、風が強いこの日、枝先には春芽が大きくなって、芽吹きの時を待っていた。
不動尊の前には生花が供えられていた。
そして小屋の中には箒とちりとりも置いてあった。
定期的に掃除し、生花、ろうそくを供し、祈りを捧げる人が、今もいる。
この樹は、北海道の看板が倒れ、再建されなくても、村や、合併後の岩見沢市のHPに載っていなくても、
地元の人の中で記念樹であり、それは不動明王に祈りたくなるような出来事の記録でもある、祈念の樹でもあることは間違いない。

元北村役場、今の岩見沢市役所北村支所に電話して訊いてみればいいことだ。
それはわかる。たぶんそれで謎は簡単に解ける。
しかし僕はそうしないことにした。
できれば夏に、真夏の空の下に、もう一度ここを訪れ、願わくばこの樹の下で、地元の方に直接うかがってみたい。
この樹の名前と、この樹にまつわる、この土地と人々との物語を。
北村に着けば、宮島沼はもう近い。鳥たちの聖地、宮島沼で、僕は何に出会うだろうか。(つづく)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

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ニュースでは4月過去最高の積雪とか。。
大丈夫でしたか?
今年北海道に行ったら樹にも注目して
急がずののんびりツーにしたいです。
でも北海道に行くと我を忘れてあっちもこっちも
行きたくなり歯止めも利かなくなりますが^^;
4月2日の道東は、ホントに大荒れでした。
釧路や根室の方が特にひどく、雪だけでなく風もひどかったようです。
石狩地方は、風が強く、かなり寒かったものの、なんともありませんでした。
行ったり来たりしながら、春はゆっくり訪れます。
去年も中旬にどかっと雪が降りましたし、もうひと戻りはあると思うのですが…。
ただ、今年の桜は例年より早そうです。
楽しみに待とうと思います。