医大生・たきいです。

医大生的独言。

「東医体頑張ると国試がヤバい」はガセだった!?

2016-03-18 19:07:01 | 人気記事

「【第58回東医体】全大学総合結果ランキング【旭医秋田慶應】」が北海道・東北地区でややバズりを見せる中、本日は医師国家試験の合格発表でございました。合格された先輩方誠におめでとうございました。東医体のことを考えながら国試の合格発表……となっては気になってしまいましたよ。「東医体を頑張ると国試がヤバい」って嘘なんじゃないかと前から思っていたんですよね。優秀な医学部の学生っていうのは、部活に全力を注ぎつつも試験とかもなんとかしてしまうものです。むしろ最後まで東医体に参加するタイプ人の方が国試落ちないんじゃないか……。またつまらんことに時間を使ってしまったと出来上がったブログを読み返しながら後悔しております(笑)。医大生・たきいです。



INTRODUCTION
医師国家試験合格率は毎年9割程度であるが、不合格者のリスクファクターとして

・男性であること
・東医体/西医体に参加してしまうこと


が挙げられることが多い。TECOMのHPによると、確かに毎年女性の方が合格率が高い。そこで今回は、まことしやかに囁かれている「東医体を頑張ると国試がヤバい」という説の真偽について検証する

METHODS
TECOM社のHPより、過去3年分(108回~110回)の東医体参加大学36大学の国試合格率を集計した。合格率としては新卒の結果を用いた。
東医体の成績としては、各校参加人数1年分と各校獲得ポイント3年分を用いた。
「110回合格率と東医体参加校数2015」「110回合格率と東医体獲得ポイント2015」「109回合格率と東医体獲得ポイント2014」「108回合格率と東医体獲得ポイント2013」のそれぞれにPearsonの積率相関係数を用いた。

RESULTS
●第58回東医体各校参加人数と国試合格率とのPearsonの積率相関係数:r=0.34(元データは割愛)
⇒2015年度における各校東医体参加人数と110回国試合格率とは弱い正の相関があった(r=0.34)。

●110回合格率と東医体獲得ポイント2015

⇒2015年度における各校東医体獲得ポイントと110回国試合格率とはほとんど相関はみられなかった(r=0.02)。

●109回合格率と東医体獲得ポイント2014

⇒2014年度における各校東医体獲得ポイントと109回国試合格率とは弱い正の相関があった(r=0.30)。

●108回合格率と東医体獲得ポイント2013

⇒2013年度における各校東医体獲得ポイントと108回国試合格率とは弱い正の相関があった(r=0.29)。





DISCUSSION
東医体に参加すると国試に落ちやすいという傾向は一切認められず、むしろ東医体で好成績を残す大学の方が国試合格率も好ましい傾向のある年もあった(2014年、2013年)。合格率の高い医師国家試験においては、「如何にして落ちないか」の戦略を立てる試験ともいえる。部活動が盛んな大学のほうが学生間の結びつきが強く、成績不良の学生が同級生や部活の仲間に助けられやすい傾向があることが仮説として考えられるかもしれない。

ただし本研究ではいくつかの点において議論の余地がある。
1.東日本しか検討していない
  医学部は全国に80校で、東医体参加校数はおよそ半数の36校である。国試不合格のリスクファクターと言われているのは東医体よりもむしろ西医体という噂もあるくらいでこの点は今後の検討課題である。
2.個人単位での検討を行っていない
  究極的には全国の医学生個人の6年生時の東医体/西医体の参加状況と国試の合格状況とを天秤にかけたほうがより妥当性の高いデータを得られることは明らかだが、情報の収集が困難、また倫理的に問題があるために実施を見送った。
3.東医体トップ常連校の国試合格率が高い傾向
  慶應義塾大学医学部、秋田大学医学部等は例年東医体で他校を凌駕するほどの成績を残しており、毎年新卒国試合格率も高い。これらの大学が「はずれ値」として相関係数を大きく正に傾けてしまっている可能性がある。
4.年度毎の比較に関して
  本研究においては、同じ年度の東医体の成績と国試合格率とを比較したが、それぞれの中心となる学年が異なる可能性が高い。一般に部活の幹部は4年生が務めることが多く、5年生以降は部活を引退する者も少なくない。もちろんベテラン6年生が大活躍して勝利に貢献というパターンも結構あるようだけれど。ある年の国試合格率と比較すべき東医体の成績はその2年前の年のものであったかもしれない。ましてやどの大学も同じ大学とはいえでも学年ごとにカラーが結構違っていることもあるわけだ。
5.全員東医体にエントリーしているわけではない
  各大学東医体の参加率は6~7割程度であり、東医体に参加していない医学生も少なくない。東医体不参加の群との比較の考察ができていない。
6.天はニ物を与えてしまっているだけかも問題
  成績優秀な医学生は運動もでき、東医体で入賞するような人は欠点のない人だらけ、そして大抵こういう人はイケメンというのが本質であれば世の中の不公平さを恨むしかない。
7.「東医体を頑張っちゃうと」の言葉の意味
  6年生にもなって東医体に参加するなんて、という意味だという話もあるがその点は今回は考慮していない。

CONCLUSION
東医体参加が国試不合格のリスクファクターであるとは言い切れなさそう
ただし結局は国試も部活も個人の問題な気もするので、全国の医学生の皆様におかれましては勉強に部活にバイトに恋に、より充実した大学生活を送られることを祈念いたします。





(運動部に入っていないのでガチ運動部の方々を尊敬している人)

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