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仏教思想:中国華厳思想概要(その9)

2021-03-31 08:36:26 | 仏教思想
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 中国華厳思想概要の9回目です。3回目までの序に続いて、4回目から本論に入り、まずは『華厳経』について、その意味と構成・主要な章(品名、「十地品」「入法界品」「性起品」)を取り上げその内容をみてきました。
 前回からはいよいよ中国華厳思想のそのものについて、その初めとして中国思想と他思想・他宗派との関係についてみることとしました。そして、前回は「荘子と中国華厳との関係」をみてみました。(過去記事はカテゴリー「仏教思想」から遡及できます。)
 本日は「華厳と天台の関係」をみてみます。


3.2.天台と華厳 -一乗思想の完成-
3.2.1一乗と三乗
①華厳思想の位置づけと一乗思想
 多くの法門のあるなかで、華厳思想はインドの『華厳経』に立脚し、教理組織としては、空観や唯識説(詳細後述)を取入れて、それを組織化したものといえます。
 華厳思想の位置づけはその大成者である法蔵が「一乗思想」を完成させたことにあるといえます。
・一乗思想とは
 一乗思想とは、三乗思想(*)で起った対立を止揚するために説かれた思想で、三乗の区分は一乗(一仏乗)によって融合すべきであるという思想をいいます。
*三乗思想:「声聞乗(しょうもんじょう)」、「縁覚乗(えんがくじょう)」「菩薩乗」の三つで、「声聞乗」とは直接ブッダの教えを説く声を聞き、忠実にその教えに従って解脱すること、「縁覚乗」は十二縁起を観ずることで悟りを開くことで、ともに自利のみで他利がない小乗、これにたいして「菩薩乗」は衆生の救済(他利)をしようとする理想に燃える大乗とする考え方

②中国における一乗思想の成立
 一乗思想は、天台智顗により中国においてまず説かれます。しかし、三乗と一乗の対立のみが強く意識され、両者を融合する立場ではなかった。これに対して、法蔵が三乗の対立を止揚して、完全に絶対的な一乗思想を明確にしたのです。
 天台:遮三(しゃさん)の一乗→三乗を排除して一乗を唱えた
 華厳:直顕(じきけん)の一乗→三乗を包含しつつその上に一乗を主張した
 華厳の一乗思想は、まさしく「無尽縁起」「法界縁起」(後述)にほかならないのです。

③相対の一乗と絶対の一乗
 以上において、一乗思想の完成には、どうして三乗の根源としての一乗が成り立つのか、また一乗はどのようにして三乗を統一するのか、という課題が起こります。それを解決するのが「同教・別教」という考え方です。(下表19参照)
 

3.2.2.天台宗と華厳宗の違い
 既述の系譜図でも示したように、中国華厳は中国天台の思想的影響も受けて成立します。華厳宗の立場でいえば、天台思想を発展させたものが華厳宗だという主張になるわけですが、一般的、広義的には両者の思想は同じとも言われており、根本的な違いはありません。
 ただし、前述の一乗・三乗思想にみられるように、両者の特徴による違いをみることができます。(下表20参照)
 
 天台は低い段階からだんだん上がっていく(段階説)であるのに対して、華厳も一応それも説くが、低い段階のものもやはり最後に振り返ってみれば大きな意味があるんだ、根本的な立場からみれば全部同じ(仏の境地である)と説いています。


 本日はここまでです。次回は唯識と華厳の関係をみてみます。しばらくお待ちください。




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