明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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フェイクドキュメンタリー/P.O.V. という手法

2009年08月17日 | 映画
今回の「夏のひとりホラーまつりw」では【フェイクドキュメンタリーを観よう】という一つの主題を設けてます。最近また流行りはじめたこの手の映画。古くは『食人族』から、一世を風靡した『ブレアウィッチプロジェクト』、日本で一部物議をかもした『ノロイ』、最近では『クローバーフィールド/HAKAISHA』など、あたかも"たまたま撮れてしまった本物の映像を利用して作ったという建前のドキュメンタリ風映画"のことです。最近ではカメラ映像のみを中心に据えたものはP.O.V. [Point Of View:主観映像] 映画とも言われます。

なぜこんな主題を選んだかといいますと、今回ロメロ御大のデッドシリーズ5作目wである『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』を観るにあたり、本作がフェイク/P.O.V.映画であるとのことから、最近の同手法作品を見比べ、また過去のものとも比較してみたいと思い立ったからなんです。本当はもともとこの手の映像が好きなだけなんですけどw

で、今回見たフェイク/P.O.V.モノ。

①ダイアリー・オブ・ザ・デッド
 (アメリカ / 劇場公開 R-15:2008/11)

②REC
 (スペイン / 劇場公開 R-15:2008/06)

③ビハインド・ザ・マスク
 (アメリカ / 劇場未公開:2006)

④オカルト
 (日本 / 劇場公開:2009/03)

⑤放送禁止2~ある呪われた大家族~
 (日本 / TV:2003)
  ←『劇場版2 ニッポンの大家族』 ではありません。その前日談の方。


全体として感じられたのが「CG多用による作品のドキュメント性の低下」という点。デジタル技術の劇的な向上で"手ブレ映像"にさえもリアルな合成が可能となり映像的にはなんでもアリになりました。その逆、どの作品にもそれを見せたいがためのカットが頻繁に差し込まれることで、フェイクドキュメンタリーが持つ"ほんものさ(ドキュメンタリー性)"が大きく犠牲になってしまっています。これならCGなんか使わない方がいい。『ほんとうにあった怖いビデオ』的作品やYoutubeの恐怖フェイク映像ならそれでいい(というかそれが目的)んですが、ストーリー映画としてはそこは犠牲にしてはいかんと思うのですよ。まだまだこれらのデジタル技術利用には実験的な部分も多いと思います。さらなる向上を期待したいと思いますね。

次に「P.O.V.であるがゆえの功罪」も感じました。これは私の"慣れ"なのでしょうか、カメラを通した主観映像として観てしまったとたんどうしても第三者目線で作品を観てしまいリアルさを感じられない自分がいました。本来まさにその現場にいるという臨場感を生み出すべきものがP.O.V.の手法なのですが、それが逆に裏目に出てしまっている感じ。劇場でなくDVDで観てしまっていることも大きな原因の一つだと思います。しかしこれもデジタル多様によるフェイク作品として観始めてしまうという前提が、作品事態を「ただの見世物」として捉えてしまった結果だと思われます。それが目的の作品だと言われればそれまでなのですが、やはりアナログで安価な制作費の過去作(『食人族』『ブレアウィッチ』など)の方が、いかにそのものを見せないことで恐怖を演出するかに長けており面白かったと感じます。そういう意味では心霊やゾンビという架空のものを扱う必要のなかった『⑤放送禁止』は非常に興味深かったです。やはりバーチャルではなくリアルをどれだけ見せられるかが作品の面白さにつながっています。


各作品については気が向いたらレビューを書いていきます。
今回の5作品の順位は以下。おお、ロメロ御大が最下位に (;_;)。ただ全作品それぞれの面白さがあります。全作品新たなチャレンジがあり、また新たな面白さを創出できています。フェイクドキュメンタリーを観たことがない方にはすべてオススメです。

【1位】オカルト

【2位】放送禁止2~ある呪われた大家族~

【3位】ビハインド・ザ・マスク

【4位】REC

【5位】ダイアリー・オブ・ザ・デッド


ではでは。

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