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テロ撲滅の国際サミットが開催されるスペインのサラマンカ。大観衆の広場では米大統領によるスピーチが行なわれようとしていた。演説が始まったその瞬間、多数の警備を嘲笑うかのように大統領は一発の銃弾に倒れる。多数の群集とTVカメラの前でいったい誰が大統領を撃ったのか。物語はここから23分さかのぼる…
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【ネタバレあり】
大統領狙撃という同じ場面を複数の視点から何度も見せる。TV局の撮影スタッフの視点、シークレットサービスの視点、地元警察の視点。アメリカ人観光客の視点、大統領自身の視点など。この「視点」が「バンテージ・ポイント」である。
このような手法は、かの黒澤明『羅生門』や最近では宮部みゆき『理由』などが思い出される。ただしこれらは個々の視点から見た事件の証言の食い違いなどが話のポイントになる場合が多いのに対し、本作では全く同じひとつの事象を登場人物まさにその"目線"から見た事実を紡ぎあげることで立体的にピースを組み上げる。一人目の視点が終わると、時間が巻き戻り二人目、三人目と非常に斬新的な表現手法で大統領暗殺の真相に迫っていく。そのため最初はかなり興味を持って観る事ができたが、4人目からは「オヒオヒ、まだ続くの?」という感じでちょっとクドい。横で観ていた老夫婦も「またぁ?」とコボしていた。観ているほうの集中力がもたなくなりそうだ。
とはいえそこは作り手側も承知の上か、上映時間が90分と短尺としてあることや、カーチェイスやアクションを交えて飽きさせない工夫もある。また最後に複数の視点が組み合わさる様もなかなかのモノではあると言える。ところができあがったストーリー自体が何の変哲もないお粗末なものであるため腰砕け。斬新なピースの形をしたジグソーパズルを解いてみたら、現れた絵がへたくそな子供の絵だったようなものである。テロリストの目的も判らなければ、人物描写もあらゆる面で薄い。最後に至ってってはたまたま大統領救出となる。
個人的には
・大好きなデニス・クエイド。痩せたな、病気?
・シガニー・ウィーバーの顔怖すぎだって!
・黒い鶴瓶フォレスト・ウィテカーがいつも通り気の弱そうなおやじを好演し満足。
・うちの愛車 プジョー206 があちこちに出ていたのでウレシイ
と本筋に関係ないところに興味あり。
評価:★★☆☆☆
豪華出演人ももったいないテクニックだけの映画に思えました。
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