明るいときに見えないものが暗闇では見える。

映画を消費モノにさせないための咀嚼用ブログ。自己満足風。
それと苦手な文章の練習用。

【0:34(レイジ34フン)】 ジャーマンなゴア

2009年02月10日 | 映画


0:34の終電を乗り過ごし駅に取り残された女性が、謎の殺人鬼に追い立てられるというスラッシャー映画。

最初はビデオ屋でパッケージだけ観て、心理サスペンスものだったり、イケてる心霊ものだったりを期待。でもただのC級ホラーでがっかり。

ゆるい脚本、意味不明な不気味描写。監督だけが上手にまとめた気になっていそうなエンディング。

良いところはと言えば舞台設定か。地下鉄/駅を中心としたホラーなだけに圧倒的な閉塞感を漂わせているところ。イギリスの地下鉄駅構内はモダンでありながら、人気(ひとけ)がなくなると一転して冷徹な空間に変貌する。真っ白なタイルに真っ赤な血。これがなかなかの美しさ。

イギリス映画のくせに、R15の相当しつこいゴア描写のテイストがいかにもドイツ・ホラーっぽいと思ったら、エンドロールで「UK/German」合作になってました。そんなところに気づく自分がステキw

主演のフランカ・ポテンテ、気づかなかったが実は彼女もジャーマンらしい。
『ボーンスプレマシー』『ラン・ローラ・ラン』『アナトミー』とか、実は結構観てるのに観るたびに顔が違う気がする。しかもまったく好みでないと来てるところがまたこの映画を自分の中で下げてます(^_^;;



評価:★★☆☆☆

古き良きB級映画テイストはかろうじてあります。


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【ゆれる】 あやふやで正直な人の心

2009年02月10日 | 映画


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都会で自由に生きる弟。田舎で親と同居しながら家業のガソリンスタンドで働く弟想いの兄。そして二人が好意を寄せていた幼なじみの女。女は都会に疲れて一時的に戻ってきた弟に身を委ねるが、これまで良くしてくれていた兄には強い拒否を示す。その瞬間、兄の感情は激しく揺れ動き…
***


「気持ち」とはゆれるもの。嫉妬、ねたみ、劣等感、優越感。そんなもので人のモラルはもろくも崩れ去る。そして昨日までの「関係」も簡単にゆれてしまうのだ。たとえそれが血を分け合った兄弟であっても。

一度噴出した感情はもう止められない。それがすべてを壊してしまうまで。。。

そんなせつない映画。

数年前、ミニシアター系上映ながら、ロングランとなった本作。
当初はもっと救いのない、「どうしようもない」ラストを期待していました。例えばオダジョーが罪にさいなまれて精神崩壊しまうような。ところが思ったよりサラッとしたラストに、アレ?
しかし観終わってしばらく経った後、あのラストの兄の微笑みが弟への「許し」でないのであれば、それ以上に「どうしようもない」ラストはないと思い、ゾゾッと震えました。

香川照之の完璧な演技と、オダギリジョーの存在感、空気管。最近の監督達がこぞって彼ら二人を使いたがる理由が分かります。若手と中堅の中で今最高のキャスティングと言っていいでしょう。面会室での二人の演技のぶつかり合い、すごい。。。


TVドラマも映画も原作モノばかりで辟易する中、オリジナル脚本で、ここまで勝負できるこの監督はもっとすごいです。


重たくて、せつなくて、そして最高にいい映画です。間違いなく邦画史に残る一本だと思います。



評価:★★★★★



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