高木陽介「奔馳不息(ほんちふそく)」

衆議院議員 高木陽介のブログ

議事録問題は『隠蔽』ではなく『能力不足』

2012-02-07 13:16:51 | 活動徒然
 「結果的に議事概要が残っていない部分があったことは、大変申し訳なく思っております」

 枝野経済産業相が陳謝した。今月2日の衆院予算委員会での私の質問を受けての答弁。

 東日本大震災の対応で、後手後手にまわっていた民主党政権だが、また、いいかげんな対応が明らかになった。

 今回の震災直後から政府が設置した15会議のうち、10会議で議事録を作成していなかった。

 そのうち原子力災害対策本部と緊急災害対策本部、被災者生活支援チームの3つの会議では、議事録だけでなく、議論の要点をまとめた議事概要も作っていなかった。

 福島県双葉町の井戸川町長は「議事録がないとうことは、国民に対する背信行為だ。隠蔽とねつ造には厳正な態度で究明してほしい」と厳しく批判。

 国会の原発事故調査委員会の黒川委員長も「全く信じられない。理解不能だ」とあきれ顔。

 さらに「復元した記録ではなく、あるものをすべて出してほしい」と、出席者のメモなど加工しないで提出することを政府に求めた。

 これから検証しようとするのに、その素材がなければ検証しようがない。

 震災の発生直後は政府中枢も混乱していたと思う。

 しかし、問題なのはその後だ。震災から3週間後の4月1日に公文書管理法が施行された。

 その日の閣議で公文書管理の担当である蓮舫国務相(当時)が同法が施行されたことを紹介し、「東北地方太平洋沖地震への対応をいただいている中での施行となるが、政府一体となって適切な文書管理の徹底を図るため、各官僚におかれても、今後とも所属の職員のご指導をお願いしたい」と言及した。

 当時、官房長官だった枝野経産相に、この時の閣議の認識を予算委で質問した。すると枝野経産相は「よく覚えている」と答弁し、冒頭の陳謝につながった。

 民主党は野党時代から情報公開について熱心だった。しかも公文書管理法は民主党が主導して修正案まで出して成立した。

 ところが、政権交代すると、マニフェストも含め、これまで主張していたことを平気で覆すようになった。

 野党の中には議事録問題を民主党の隠蔽体質という人もいるが、私はそう思わない。震災後の混乱が収まっても議事録にまで考えが及ばない。

 余力がないわけだ。つまり政権担当能力がないということにつながる。

 マニフェストが総崩れする中、消費税増税を主張する前に、自らの能力を総点検することが、今の民主党には必要だ。

野田首相の自らの言葉に責任もて

2012-01-24 13:13:14 | 活動徒然
 民主党のブーメランがまた明らかになった。

 今度は野田首相だ。2009年の衆院選。大阪の選挙区の応援に入った野田首相の街頭演説の模様がユーチューブで流され話題になっている。

 「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールなんです」

 「消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人がぶら下がっている。シロアリがたかっているんです。(中略)シロアリを退治して、天下り法人なくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです」

 少し引用が長くなってしまったが、読者も開いた口が塞がらないだろう。野田内閣は通常国会で、消費税増税の法案を出そうとしている。そのために今年初め、「社会保障と税の一体改革」と称して、政府・民主党としてその素案をまとめた。

 だが、政権交代から2年半。有権者の前で訴えた言葉はどうなってしまったのか。当時の自公政権に対する批判とはいえ、野田首相の言葉がブーメランのように戻ってきている。

 民主党はこれまでも党幹部のブーメラン発言が話題となってきた。

 有名なのは04年。小泉内閣の3閣僚の年金未納問題に対して、「未納3兄弟って言うんですよ」と発言した菅前首相。その後、自分も未納疑惑が発覚し、党代表を辞任した。

 鳩山元首相も03年、「秘書が犯した罪は政治家が罪を受けるべきなのです」と、メールマガジンで書いている。ところが、政治資金規正法違反で自らの秘書が有罪判決を受けても、秘書のやったこととして「罰」を受けることはなかった。

 今回の野田発言は、国民生活に直結する消費税問題に絡むことなので、さらに深刻だ。

 マニフェストについてもそうである。民主党のマニフェストに書いてあったことはどれだけ達成されたのか。消費税増税はマニフェストに書いてなかったはずだ。

 今回の消費税増税は野田首相の言った「ルール」を自ら破っていることにならないのか。

 国民は政治家の言葉を信用しなくなっている。これは民主主義にとっては大変な危機だ。

 今日から始まった通常国会。首相は自らの言葉にどう責任をもつのか。あいまいなのは言い訳で終始すれば、国民は野田内閣を見放すだろう。

国政の「五十肩」は許されない

2012-01-11 15:16:26 | 活動徒然
 「いっ痛!」

 右肩に鈍痛を感じた。少しでも腕を動かそうとすると、ビリビリッと痛みが走る。昨年12月30日の朝のことだった。

 痛みは次第に鋭くなり、その日の夜は寝返りをうつこともできず、何もしなくてもズキッ、ズキッ、と激痛が襲ってきた。

 いよいよ「五十肩」がやってきたのだ。実際の年齢も52歳だから、別におかしな話ではない。と、冷静に書いているが、その時はそんなものではなかった。

 しばらくは湿布を張ってしのいでいたが、痛みを抱えたまま新年を迎えた。

 2日午前には新宿駅西口で、恒例の公明党・新春街頭演説会。山口代表、太田・党全国代表者会議議長(前代表)らと共にマイクを握るのだが、何しろ右手が動かない。仕方なく左手でマイクを持ち何とか話した。毎年、寒さで凍えるが今年は痛みの方に気をとられて、この日は寒さをあまり感じなかった。

 公明新聞に演説会の写真を載せることから、山口代表の演説の時、街宣車の上に乗っている議員は手を振ってもらいたいとの要請。私は左手しか上がらない。隣にいた同僚議員2人も私に合わせて左手を振ってくれた。

 演説会が終わって、「五十肩」の先輩である太田議長が「陽ちゃん、肩を温めることだよ」とアドバイス。でも、「自然に治るのを待つしかないよ」とも。

 困ったのは食事。左手に箸を持つが、茶わんを持てない。服を着るときも妻に手伝ってもらう。「何か要介護者みたいね」と妻。「近い将来、こんな感じで世話されるのかな」と私。

 1週間ほどして、痛みもおさまり、腕もだいぶ上がるようになってホッとした。「五十肩」の原因はよく分からない。ただ肩関節は人体の中でも可動域が最も広い関節だけに構造は複雑なようだ。

 年が明けて、いよいよ通常国会がスタートするが、国政の方も課題が複雑になって、硬直化している。社会保障と税の一体改革の素案を政府・民主党は一応まとめたが、与野党協議の見通しは不透明だ。

 「五十肩」は自然に治すしかないが、国政はそうはいかない。ただ、野田首相は消費税増税に「不退転の決意」で臨んでいる。

 「五十肩」も無理して動かすと悪化してしまうが、国政も力技だけでは動かない。ツボを押さえないと政治は固まったままになってしまう。

増税の前に公費削減が筋

2011-12-20 13:13:28 | 活動徒然
 年末にかけて野田首相が消費税増税に前のめりになっている。

 野田政権は「社会保障と税の一体改革」と称して、来年3月末までに消費税増税の法案を出そうとしている。

 そのために、政府・民主党内では、年金・介護・医療などの社会保障の改革案とともに、消費税をいつから、どれくらい上げるのかという素案をまとめようと、七転八倒している。

 急速に進む少子高齢社会。年金・介護・医療などの社会保障は、セーフティーネットとして持続可能な制度にしなければならない。

 一方で、日本の財政は赤字が積み重なり、来年度の予算案の編成でも、三年連続で収入より借金の方が多くなりそうだ。

 各マスコミの世論調査でも、消費税増税について半数近くがイエスの回答となっている。

 多くの国民は少子高齢社会の中で、社会保障の拡充のためなら、消費税のアップもやむをえないと思っている。

 だが、政府与党の「社会保障と税の一体改革」の議論の報道が増すにつれ、増税について、国民の目は厳しくなっているような気がする。

 それは、国民に負担を求める前に、政治家や公務員が、自ら身を切ることを、やるかどうかを見ているからだ。

 国会議員の定数削減や公務員の人件費削減が進んでいない中、国民に負担増を受け入れてもらうのは無理筋だ。

 また、これまでの政府・民主党の社会保障改革の議論も、国民を納得させるものではない。

 民主党は09年衆院選のマニフェストで、年金について、国民・厚生・共済の各年金一元化と、すべての国民に最低保障年金として月額7万円を支給し、その財源を消費税とするとした。

 ところが、政権交代して既に2年。年金はいくら払って、いくら支給されるかということが根本。民主党はその骨格さえ示していない。

 苦し紛れに、年金抜本改革(民主党のいう一元化)の法案は再来年の通常国会に提出するといいはじめる始末。

 ちょっと待ってもらいたい。

 そうすると再来年になってはじめて、年金の財源がいくら必要になるかが分かるわけだ。

 では来年春の消費税法案の増税分の根拠はどうなるのか。

 また会社員の厚生年金と公務員の共済年金も、不公平感がある中、2つの年金の一元化も先送りにしてしまった。

 実は2009年に当時の自公政権が、厚生・共済の一元化法案を出した。

 ところが民主党は「全ての年金の一元化」を主張し廃案に。

 今回の先送りも含めて、民主党政権は公務員の優遇を続けさせてしまっている。

 消費税増税については、足元の民主党内からも反対署名を集める動きがある。

 国民や野党を納得させる前に、まず身内を理解させるのが先ではないか。

 だが、根拠のはっきりしない増税では、国民の理解を得ることはできない。

一川防衛相は即辞任が当然

2011-12-06 13:15:32 | 活動徒然
 沖縄が怒っている。いや沖縄ばかりではない。多くの国民があきれている。

 防衛省の田中・前沖縄防衛局長の発言をめぐって、一川防衛相さらには野田内閣の対応についてだ。

 那覇市内で行われた地元記者とのオフレコ懇談の席で飛び出した前局長の驚くべき発言。普天間飛行場の辺野古移設で政府が提出する環境影響評価書をいつ出すのかという話を「犯す前に『やらせろ』といわない」などと言った。

 オフレコでの発言を報道するべきかとの問題は残るものの、そこには沖縄に対する現政権の姿勢が表れているのではないか。前局長は更迭されたものの

 一川防衛相の責任については、曖昧のままだ。
 
 一川防衛相は就任直後の会見で「安全保障に関して素人」と発言。ブータン国王の晩さん会を欠席し、民主党議員のパーティーに出て、「こちらの方が大事」と話すなど、大臣としての資質が問われていた。前局長の更迭後、参議院の委員会で、1995年の米兵による少女暴行事件について質問を受けた一川防衛相は「詳細には知らない」。この答弁にもびっくりした。

 政権交代して2年。沖縄は民主党政権に翻弄され続けた。鳩山元首相が強弁した「最低でも県外」。辺野古移設を否定しながら、結局、辺野古に戻ってしまった。この普天間問題の大きなきっかけとなったのが95年の暴行事件。沖縄県民には大変なショックだったが、県外の多くの国民も衝撃を受けた事件だ。

 今、防衛省にとって最も重要な課題の一つが普天間問題だ。にもかかわらず、そのトップがきっかけとなった事件について「知らない」という。開いた口がふさがらない。

 沖縄県知事にお詫びに防衛相が行ったものの、わずか8分間の会談で終わってしまった。

 県会議長は涙ながらに抗議文を防衛相に手渡した。防衛相は知事や議長をはじめとする沖縄県民の気持ちをどうとらえたのだろう。

 5日に行われた衆院予算委員会の集中審議。野田首相は「適材適所」として防衛相を擁護してきたが、予算委では「これまで以上に襟を正し職責を果たしてほしい」と罷免要求を拒否した。当事者の防衛相も自らの辞任を否定した。

 会期末には防衛相の問責決議案が自民・公明から出される方向だ。いずれにしても将棋で言えば防衛相はもう詰んでいる状態。辞めるのが一日延びれば延びるほど、沖縄の怒りが増幅される。

 戦後66年の沖縄の人々の痛み苦しみを少しでも感じるならば、即辞任が当然だ。