ルン・ファン (風が吹く)

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記憶がなくなるまで飲んでも、身体は元気?

2010-08-09 12:27:06 | タバコ・酒




『記憶がなくなるまで飲んでも、なぜ家にたどり着けるのか?』
脳科学者が明かす酒と脳のアブナイ関係

川島隆太/泰羅雅登 著 1300円(税別)
 
 暑さのため、お酒を飲む機会もさらに増えることでしょう。


 ところで、ついついお酒を飲みすぎて、気がつくと玄関で寝ていたなんて経験ありませんか? お酒が好きな方なら、1度や2度くらいあるのではないでしょうか?

 どうやって帰ってきたのかは覚えていない。電車だったのか、タクシーだったのか。それとも、誰かに送ってもらったのか?

 ふと見回すと、カバンもあるし、サイフもある。携帯電話も失くしていない。ホッとしたのもつかの間……。

「あれーっ!」

 なぜか、ズボンに土が……。痛む頭で、どこまで覚えているのかを辿ってみるのですが……。いったい、なにがあったのでしょう。まるでサスペンスドラマのようです。

 このように酔って記憶がないのにもかかわらず、なぜ家に帰ることができたのでしょうか?

 そもそも、なぜ人はお酒を飲むのでしょうか?

お酒を飲むと、人の頭の中でなにが起こるのでしょうか?

 少しお酒を飲んでいたほうが、議論が活発になったり、アイデアが湧いてきたりするような気がするのはなぜでしょうか?

 また、飲みすぎると、どうして記憶がなくなるのでしょうか?

 こんな疑問が、本書を企画するきっかけでした。

飲めない代表×底なし代表
 では、著者の2人をご紹介しましょう。

“飲めない”川島隆太氏は、東北大学加齢医学研究所・教授。ご存じ「脳トレ」といえば、この人。お酒はほとんど飲みませんが、飲み会にはウーロン茶で深夜まで付き合うことも。「人間はどういうわけか、酒に出合ってしまったのです。酒は毒性の強いアルコールが含まれているのに、たまたまそれは脳にほどよく働きかけるものでした。そして浮かれたり、楽しんだりする。不思議な生き物ですね」と、“飲めない”立場から辛口のコメントを展開します。

 かたや受けて立つのは、“底なし”泰羅雅登氏。日本大学大学院総合科学研究科教授です。先生のグループが「ナビゲーションニューロン」という神経細胞を特定し、頭頂連合野の機能の基礎研究として世界的に高い評価を受けました。大のお酒好きで、お昼前から明け方まで飲み続けることも……。若い時には、実験用アルコールを飲んだこともあるという伝説の持ち主です。「人の脳はいつも抑制されていて、自由に活動しているわけではありません。新しい発想、これまでにない考えを思いつくには、こうした抑制を外すことが手っ取り早いのです。飲酒は、ほとんど同時にみんながこの抑制を外せる手軽な方法です」と、酒飲みの立場を代表します。

お酒の魅力
 お酒を飲む目的は、いうまでもなく「酔うこと」です。

 アルコールは、脳の機能を麻痺させるのですが、その麻痺のさせ方が実に絶妙なのです。通常の飲酒なら、麻酔薬のように意識が失われるのでもなく、麻薬類のように幻覚を生じさせるわけでもありません。まして神経毒のように脳の重要な機能をすばやく停止させて、呼吸などを停止させるような過激さもありません。

 じんわりと大脳皮質に染み込む。すると、普段は厳しく自分を見張っている前頭前野の機能が緩んできます。そして、日ごろの抑制から解放してくれ、楽しい気分にさせてくれるのです。場を和ませてくれ、人々が円滑にコミュニケーションをし、楽しく生きていくために大きな役割を果たしています。まさに社会の円滑油といわれる所以でしょう。

 また、意外にも「ほろ酔い」状態の時、脳がいちばん活性化するという実験結果もあるようです。

 酔うにつれ、見知らぬ同士がすっかり意気投合したり、不思議な一体感が得られたり、妙なことで盛り上がったり、何度も同じ話を繰り返しては、そのたびに大爆笑。飲まない人から見ると、実に不思議な世界のようです。

 そして、二日酔いで十分に苦しい思いをしたにもかかわらず、また飲むというのも考えてみれば不思議な話ですよね。それだけ、お酒には魅力があるということなのでしょうか。

酒を飲むと脳が萎縮する

 もちろん、いいことばかりではありません。著者たちの最近の研究で、アルコールが脳にもたらす非常に怖い事実が明らかになっています。お酒を飲む量に比例して、脳が萎縮することがわかったのです。その人が生涯に飲むアルコール量が多ければ多いほど、脳は飲まない人より急速に萎縮していきます。それも、人間らしさの源である前頭前野の細胞から顕著に消えていきます。脳の細胞も再生はしますが、とてもゆっくりで、消えていくほうがずっと速くまったく追いつかないそうです。

酒脳対談
 某月某日、東京・築地の酒と魚のうまい店で行なわれた「酒脳対談」を巻末に収録。脳にとって、酒は百薬の長なのか? それとも……。お酒と脳のアブナイ関係を“飲めない”川島隆太と“底なし”泰羅雅登の2人の脳科学者が、オモシロまじめに大討論します。

 人類が長~く友としてきたお酒と脳の関係を通じて、人の脳について考えます。

「記憶がなくなるまで飲んでも、なぜ家にたどり着けるのか」ですか?

 それは、読んでいただいてのお楽しみということで……。








過剰なアルコール摂取で脳が萎縮する恐怖


「最近もの忘れが多いなぁ」
「手が少し震えるような気がする」


 あなたはそう感じながらも、「気のせいだろう」と毎日をやり過ごしていないだろうか。実はこの症状、近年話題にもなっているアルツハイマー病をはじめとした『若年認知症』など、脳に異常を引き起こすサインであることも否定できない。特に、若い頃浴びるように飲酒をしていたならば要注意だ。たとえ今は「1日ビール2缶」であっても、だ。

脳の萎縮は過去の飲酒習慣から
今は「1日ビール2缶」でも要注意
会社の健康診断をきっかけに脳ドックを受診
年齢より進んだ脳の萎縮がみつかったAさん
(40歳メーカー管理職)

会社指定の人間ドックのクリニックに、1年に1回の健康診断にやってきた大手メーカー管理職のAさん(40歳)。検査前の問診表に、飲酒の習慣を「1日ビール2缶」と書き込んだ。ここ数年、健康診断ではアルコール性の肝臓の状態を示すγ-GTPの数値も安定していたので何も心配していなかった。

 一通り人間ドックを受診後、脳の萎縮もわかるということで、認知症も心配になり、生まれてはじめての「脳ドック」を受診することにした。

 MRIは横たわっているだけで、15分で終了。痛くもかゆくもないので思ったよりも簡単だ。工事現場にいるような音がするだけで、全く苦痛はない。

 人間ドックが終わった後、医師から説明を受けた。血液検査や血圧、メタボ系はすべて基準値。むしろ20代の頃より改善したくらいだ。以前注意を受けたことのある中性脂肪もコレステロールも血糖値も安定していた。

 しかし、最後に医師から衝撃の事実が告げられた。

「Aさん、年齢の割に“脳の萎縮”が気になります。もしかして今までにアルコールをたくさん飲まれていませんでしたか?」

「はい。若い時は毎日、仕事が終わったあとに社内の先輩や上司と飲みに行くのが当たり前でした。実はうちの会社は、先輩からつがれた酒は飲み干すという伝統があり、新入社員の時代から30代後半まで、20年近く浴びるほど飲んでいました。休日もついクセで昼間から飲んでしまい休肝日なんてありませんでした。多い時で日本酒なら1升。ウイスキーならボトル1本と今では信じられない量を飲んでいた気がします。泥酔することも多く、量が把握できないくらいでした。

 ですが、数年前の健康診断で肝臓の数値を指摘されたのと、飲んだ翌日は疲れが残り仕事の効率が下がったことを実感したのでお酒の量を減らしました。

 今は家では飲まず、同僚とも最初の乾杯でビールを飲む程度にしたところ、体調は戻りました。にもかかわらず、当時の酒が脳にでるなんて…」

 Aさんは脳が萎縮している画像をみて絶句。画像を説明している医師から、脳の中に白い斑点状の軽い動脈硬化も指摘された。血液検査ではわからない生活習慣がMRIによって露呈した。

 Aさんは自分の脳の萎縮を自分で確認できたことにより、若い時のような無謀なアルコールの摂取習慣を繰り返さないと誓った。健康診断後のAさんは、健康的な毎日を送っている。土日のうち、1日は家でゆっくりと過ごし、1日は近所の公園で読書をすることにした。もちろんお酒は飲まない。

「俺は酒もたばこもやって太く短く生きるんだ」が口癖だったが、いざ脳の委縮を見せられるとやはり将来の認知症は怖くなる。そして妻や子供に迷惑をかける人生は送りたくないと思った。これをきっかけに自分の生活を見直すことができたのだ。

「脳の萎縮」が認知症の危険因子に
 東京クリニックで人間ドックを担当する笹沼仁一医師は語る。

「アルコール摂取が毎日1合程度までの方でしたら有意差はありませんが、毎日2合以上飲み続ける方は脳萎縮が起きている可能性があります。ですので、アルコール摂取量には注意が必要です。

 以前の脳ドックは動脈硬化や動脈瘤などをみつける手段だったのですが、今やサラリーマンの方はもの忘れがきっかけで受けにこられける方が多くおられます。萎縮が早期にみつかる画像解析ソフトを導入することで医師の画像診断だけでなく、定量的に萎縮の場所が特定できるようになりました。日本脳ドック学会でも認知症の早期発見の手段として脳ドック受診を推奨しています。

 Aさんの場合は、数年前にアルコールを減らして体調が良くなっていたのでこのような結果はショックだったと思います。

 1番大切なことは、画像を自分でみられて自分の意思でアルコールを減らされることだと思います。老化による生理的な脳の萎縮ももちろんありますが、若い方でも毎日アルコールを飲む習慣のある方は一度受診をおすすめしています。

 最近こられた50代のビジネスマンは多忙な毎日のストレスから、若い頃からのお酒がやめられない。最近職場でもの忘れが気になると受診をされてきました。結果、多量なお酒の影響で脳の萎縮がみられました。萎縮が直接認知症につながるわけではないのですが、ひとつの危険因子になります。萎縮を進行させないためにはアルコールの量を見直すこと。また飲まない日を作ることも大切だと思います。

 現在アルコールを飲まれる方だけでなく、かつて大量に飲んでいた方も1度脳ドックの受診をおすすめします。」





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