ルン・ファン (風が吹く)

気ままに・・
思い付きを!!

引きこもりと食生活の関係

2010-06-18 23:21:17 | 食生活
食事によって、性格が作られると思われます。
食事の内容で「うつ病」が作られると言うのも解かります。
その人の、気質も食事の嗜好で、作られていると思われます。
最近「食育」という言葉を、聞くようになりました。
子供の頃からの、食生活は大事ですね。



不規則な食事が「心の闇」を生む?
引きこもりと食生活に秘められた関係性
      
今回は、「食生活の影響」と「引きこもり」との関係について、心理栄養学を唱える専門家の観点から、取り上げてみたい。

      
「エネルギー不足」と「引きこもり」には深い関連性がある?

「朝、起きられない。家を出られない。やる気が起きない、といった引きこもりの症状は、身体を動かすエネルギーの素が、十分に摂れていないからではないか」

 こう指摘するのは、「引きこもり」現象と食生活との関係について関心をもっている、岩手大学名誉教授の大沢博氏。『心の病と低血糖症』(第三文明社)など数多くの著書で知られる、心と栄養の関係の研究者だ。

 大沢氏が、心の問題と食事との因果関係について着目したきっかけは、校内暴力が増えた80年代のことである。

「なぜ少年たちは荒れるのか?」「すぐにキレる彼らは、どんな食事をしていたのか?」

 そんな疑問を抱き始め、ある少年院で調査した。すると、暴力行為に走る少年たちには、食生活の面で、ある一定の共通傾向があることがわかったのだ。

 大沢氏は、「引きこもり」については、食生活との観点から、次のような仮説を立てた。

 厳しい雇用環境の中、働き過ぎなどによる職場でのストレスは、ピークに達している。一方で、ネットなどにハマって、昼夜逆転生活を送るようになり、朝食を摂らず、コンビニ弁当やカップラーメン、炭酸飲料などの摂取が増加。連日、食事を安易に済ませるようになると、ストレスはさらに過剰して、悪循環に陥っていく。食はお腹を満たすだけで、ビタミンやミネラルが不足しがちだ。

 そんな環境の中で、「引きこもりやうつ、不可解な事件の背景には、低血糖症の人が、かなりの割合で存在しているのではないか」と、大沢氏は推測する。

「生理学的にも、医学的にみても、人間の脳のエネルギー源である血糖中のブドウ糖(血糖)は、正常であることが非常に重要です。低血糖症は、その血糖の異常で起こる症状。血糖が低下すると、脳の機能を低下させ、疲労や不眠、イライラ、感情コントロールができない、集中力の低下、手指の震え、けいれんなど、さまざまな症状を引き起こすのです」

 これまで見てきたように、合理化が進み、余裕のない職場の中で休職し、引きこもっていった会社員たちの「うつ」の症状にもよく似ている。「もう疲れた」といって会社を休み始めるのも、大抵は、極度の疲労感のためではないかという。

 彼らは医師に診てもらっても、なかなか異常が見当たらない。その理由は、ほとんどの医師が、食原性の低血糖症について知らないからだと、大沢氏はみる。

「エネルギーがなければ、当たり前の行動もできません。エネルギー源の糖をもっとも使うのは脳です。だから、血糖の異常は、脳に響くんですね」

 脳エネルギーは、ほとんど血糖でしか補給することができない。脳は、糖を蓄えることができず、絶えず補給を必要とするという。

「血糖が低くなると、生命維持機能を優先するため、脳はお休みして、血糖の消耗を防ぐ。何時間も脳細胞に血糖が来なければ、その脳細胞は死んでしまうこともある。そのためには、エネルギーの基になる食事をしっかり朝、昼、晩と摂っているかどうかが重要なんです」

 つまり、「心の問題は、栄養素の不足と深い関連性がある」というのである。

 引きこもる原因は、血糖値が低下すると、体は血糖値を上げるホルモン、アドレナリンとノルアドレナリンを放出して、回復させようとする。アドレナリンは、“攻撃ホルモン”ともいわれるし、ノルアドレナリンは、不安・恐怖を起こす神経伝達物質である。

 エネルギー低下、何となく不安や恐怖で外に出られない。時には攻撃的になることもある。まさに「ひきこもり」といわれる人たちの状態と同じではないか

砂糖の取り過ぎには要注意!

暴力や眠気を誘う恐れも
 ある30代の女性は、職場内でのストレスから、勤務していた会社を退職。以来、彼女は10年くらいにわたって、現れた症状によって、パーソナリティー障害などの診断名をいくつか付けられていた。はっきりした原因がわからないまま、たらい回し状態で薬物治療を受け続けていた。

 大沢氏が、この女性との面談で、食事を話題にしたところ、チョコレート好きで、毎日必ず、かなりの量のチョコレートを食べていたことがわかった。

 その女性は、意識の低下、全身の硬直、手足の震え、心臓がドキドキする、夜中に怖くなるなど、低血糖症の症状を示していた。

 大沢氏によれば、低血糖症は、米などの穀物不足や、砂糖の摂り過ぎなどから起きるという。

 しかし、砂糖は脳の働きにいいといわれてきた。ちょっと脳が疲れたときなどは、甘いものが欲しくなるので、脳を活性化させるためにも、チョコレートを口にすることはよくある。

 ところが、大沢氏はこう注意を呼びかける。

「砂糖を摂り過ぎると、急激に血糖を上げるため、インスリンというホルモンが出て、血糖を急激に下げてしまうんです。すると、再び回復しようとして、攻撃ホルモンであるアドレナリンが出る。これで、家庭内での暴力に走ったり、意識が朦朧として眠気を催したりするんです」

 日本では、80年代に入ると、1世帯あたりの米類と菓子類の購入金額は逆転した。以後、米類は減り続け、菓子類は増加した後、ほぼ変化のない状況にあるという。

 大沢氏は、JR福知山線で起きた脱線事故の運転士も、調査報告書や新聞報道を見る限り、食事に問題がなかったのかどうかを疑っている。

 たとえば、事故前日の昼夕の弁当は、おにぎり2個とカップラーメン2個。深夜11時過ぎに宿泊所に帰宅してジュースを飲んだ。事故当日の朝は、6時半から勤務。はたして、朝食はとれたのか。運転し始めてまもなく、自動停止させられていた。

 以前にも、勤務中に帽子を目深に被り、目がトロンとしていたとこころを乗客が見つけたこともあったという。低血糖症には、目が眩しいという症状もあるからだ。

 大沢氏は、こう危惧する。

「動機不明の犯罪、とくに大事件が起こるたびに、日本の社会は、被疑者の『心の闇』だといって、さらにその奥にある食の崩れなどには目を向けない」

 心の問題だけで解決しようとする傾向が強い。しかし、背景には、こうした食の重要性が軽視されている現状もある。

大人の引きこもりを
「心の問題」だけで片付けてはいけない
 では、ふだん、どんな食生活を心がけるとよいのだろう。

「食事は、ご飯やパン、味噌汁、魚、野菜、大豆などを摂る。ただ、甘い菓子パンや菓子類の過剰な摂取は、よくありません。甘いものが欲しければ、急激に血糖値を上げないバナナがお勧めです。朝食はきちんと食べ、睡眠を十分に取ることも重要です。また、ジュースや炭酸飲料、コーヒーなど、糖分を多量に含んだ飲料水は、取り過ぎないことです」

 日頃、食の問題に目を背けてきたツケが、多くの「大人の引きこもり」を生み出してきた一因なのかもしれない。

「低血糖症」については、5時間糖負荷試験による診断方法とともに、最近、ようやく注目されるようになってきた。

 4月17日に起きた愛知県豊川市の一家殺傷事件で、凶行に及んだ長男(30歳)は、一旦働いていたものの、人付き合いが苦手なため、15年ほど前から自宅に引きこもっていたという。

「国は、このような事件が起きた場合、被疑者がどのような食生活をしてきたのか、可能なかぎり調査すべきではないか。そのような記録が蓄積され、分析されていけば、再発の予防に役立つのではないか。米国の犯罪研究者シャウスは、『栄養と犯罪行動』(大沢訳)を著した。重要な参考資料になると思います」

と、大沢氏は説明する。

 その因果関係がきちんと解明できるとすれば、今後、豊川で起こったような悲劇を防ぐうえでも、何かしらの教訓を得られるかもしれない。

引きこもりする大人たち