今回の九州旅行に持っていって読んだ本、「横溝正史著・悪魔の手毬唄」です。
読み返すのは中学生以来となりまして、当然詳細は覚えていないと言いたいところが、
この前BSプレミアム放映の「深読み読書会」で根掘り葉掘り取り上げてくれたので、
どういう内容だったかはほぼ思い出せていました。
詳細は忘れてはいても、何度も映像化されているし、犯人はかなり知れ渡っていて、
それは記憶から消し去られることはないでしょう。なので、犯人、あるいはトリックなどが
事前にわかっている小説を再読することって何か意味があるのかと考えてしまい、
これまで読み直すことにはためらいがありました。しかし、読み進めるとハマってしまい、
どんどん世界観に引きずり込まれてしまうのは、横溝氏の筆力のなせる仕業でしょうか。
また、真犯人をいかにして周囲(読者)の嫌疑から遠ざけ、隠すのかに、あの手この手を
駆使している様子がわかるのがとても興味深いことに気がつきました。新しい読み方
とでも申しますかね。犯人探しに躍起になることなく、こちら側も落ち着いて読めるのが
心地よいんですね。
次のレパートリーには、横溝氏の最高傑作とも言われる「獄門島」を加えておきました。
これも同じような理由で、これまで一度も読み返してはいません。
まあでも、本来、写真を撮ったり、山に登ったりが一番の目的とした旅なので、読書は
副産物、あまり出番がないほうがいいに決まっています。しかしながら、たとえば
天気待ちしている登山口の駐車場内の車中で読書に耽り、ふと気がつくと周囲は
押し寄せた登山者で溢れていて、自分だけが別世界に取り残されたような不思議な感覚。
お金は潤沢ではないにしろ、時間だけはほかの人よりも少し贅沢に使えている充実感
とでもいいますかね。
これはささやかな抵抗なのでしょう。ツアーやグループで来ている方々は、下山後宿で
ゆっくりと湯船につかり、郷土料理などに舌鼓を打つのを、指をくわえて見ているだけ
なのですからねえ。
それで自由になったのかい?
心配していたヨトウムシの食害も今のところなく、さといも(里芋)がここまでまずまず順調に育っています。
一回目の追肥と土寄せの作業をしておきました。
これが一番出遅れている株です。先っぽだけ土から顔を出したまま、そのあと伸びてくる気配がなく、
どうなるんだろうか案じていたところ、一応葉っぱは出ていました。今後追いついていくのかどうか?
最後プランターに植えつけたさといもも芽を出していました。
オクラもまずまず順調に生育し、最初に植えつけたほうはすでに花も咲き始めています。ただ、
アブラムシが発生し、アリが大量に群がっています。
あとから植えつけたほうです。2本あるうちのもう片方の生育状況がいまひとつで、こちらもアブラムシの
影響があるのかもしれません。
よく咲いているペチュニア。
【山上に広がるミヤマキリシマ群落~扇ヶ鼻にて/2018.06.04撮影】
陽が昇った後、扇ヶ鼻山頂部方面を写した2枚の写真。三脚や自分の影が写り込むので、
本来一番撮りたい角度で構図を決められないのがもどかしい。
全般花付がさほどでもないこの年の状況下、その中で花の密度が濃い株を手前に配置できた
下の写真は、扇ヶ鼻山上部のキリシマが広がる様子をとらえられたほうだと思う。
昨夜和歌山市の自宅に帰り着きました。
帰宅すればたまっている用事を片付けるのにてんてこ舞いで、旅の荷物の後片付け、
写真の現像処理、畑仕事、就職活動、失業保険認定日の出頭、録りためたテレビ番組の視聴、
読み損ねている新聞小説などの記事に目を通し、次の旅の準備を進める等々作業に追われます。
尻切れトンボとなっているほぼリアルタイム旅の記録は、例のごとく仕上げるつもりではおりますが、
更新まで時間がかかるかもしれません。気が向いたらまた読んでやってくださいませ。
6月13日(水) 晴れ時々くもり
帰宅する朝、予想通りかなり安定した晴天となり山もくっきりと見えていて、未練がましく、やっぱり
もう一度登ろうかなどと迷いが出たのも事実だが、体力的にはもう限界、清く東へ向かう。
撤退は決めたものの、その方法が定まらなかったのも、もう少し滞在しようか迷った原因だ。
この時期、瀬戸内を結ぶ航路各社は、順番に船の定期点検に入るらしく、阪九フェリーにその番が
まわり、隔日運行となっていてこの日の出航がないようで、さてどうするか迷っていたのだ。
別府発のさんふらわあを利用すれば、今日ほぼ丸一日まだ日程に余裕が生まれ、たとえば佐伯に
遊びに行くことも可能だ。ただ、このところさんふらわの料金はかなりお高くて、阪九と比べると見劣りし、
利用しにくいのが実情だ。
それで、ドック入り期間が終了し、本日から定期運行ダイヤに戻った南海フェリーを使って、四国経由で
帰宅することに決めた。平日で高速道路の割引がなく、下道を走る案も浮かんだが、疲れきっている
体に無理もさせられず、素直に上を走ることとした。宇和島運輸がやはり点検に入り間引きダイヤだが、
幸い並行して走っているオレンジフェリーは通常運航なので、八幡浜への航路はほぼ心配いらずだった。
写真は朝日を浴びるオレンジフェリーの船。
このルートを使うと土産品を選びにくいのが欠点だ。船内でのみ販売されている「ざびえる」をなんとかゲット。
八幡浜の道の駅・みなっとで「八幡浜ちゃんぽん・600円」をいただく。丸福のと比べると、こちらのほうが
スープにパンチ効いていて、私としては好みだ。
道の駅自体飲食店が充実していて魚を食べさせる店などもあり、今回案内所で市内のちゃんぽんのおススメの
店を聞いておいたので、次回機会あれば、ここに宿泊するようなプランでゆっくりできたらとも思った。
高速道路は順調に流れて、余裕を持って徳島に到着した。ここで就職活動先から連絡があり、急きょ明日の
面接が決まった。実はこの前12日に面接に来るように言われていたのをキャンセルしたので、続けざまは
まずいと思っていて、何か嫌な予感がしていたので帰宅を早めたいきさつもあった。結果オーライである。
平日でもあり南海フェリー内は空いていて、ゆっくり足を延ばすことができた。
このルートのメリットは、寄港後、もうあまり走らなくてもいいことだ。帰ったら帰ったで、諸々用事に追われ
それなりに忙しくなるので、できるだけ体力回復に努めたいと思った。
丸福のチャンポンが気になっていて、しかしごはんお代わりの魅力に勝てず、これまでは定食類ばかり
注文してきた。この日はお昼に食べ込み、夕食は軽めで十分だったので、初めて「チャンポン・720円」を
試してみた。
具沢山でおいしかったが、スープはもう少しパンチの利いた味でもいいのにと思った。意外と淡白なお味
だったのだ。定食とほぼ変わらない価格でもあり、やはり普段のお昼にはそちらを優先して選ぶことになるだろう。
道の駅すごうの売店で、自分用の土産として「いきいきくん炭」を買ってみた。410円とリーズナブルな価格で、
試してみたいと前から気になっていたのだ。ただしかさばるので、早くから買っておくことができず、今まで
タイミングが合わなかったものだ。
今度菜園の土の整備をする際に、土壌改良剤として混ぜて使用してみたい。
一日雲が多めであったが夕方前にはすっきりと晴れ渡り、空が赤く染まり始めた。遠景の山は、道の駅から
見える九重連山である。午後以降は撮影機会があったであろうし、明日はさらに安定した天候となることが
容易に想像できた。
しかしながら前に述べたような理由で、自ら撮影チャンスを放棄するような形となることに、この時点でもまだ
かなり迷いがあった。結果はともかく、せっかくここまで粘ったのだから、最後まで付き合えよということだ。
朽綱山(くたみやま) 夕居る雲の 薄れ行かば われは恋ひむな 君が目を欲り
これは朝日新聞の「ナカニシ先生の万葉こども塾」という連載記事で、中西進さんが紹介されていた和歌。
朽綱山の夕べにかかる雲が薄れていったら、私は恋しいだろうなあ、あなたに逢いたくて
という意味だそうで、朽綱山とは九重連山の旧名らしく、今もその名残で、「朽綱分れ(くたみわかれ)」という
地名が見受けられる。またこの時代には、「会いたい」ことを「目がほしい」ともいったそうな。
古代人は、まさしくこうした夕暮れ時に、このようなロマンチックな歌を詠んだのかしら。
この時期の九州で、ここまで赤くなった夕映えはあまり記憶にない。もうちょっとゆっくりしていけよという
お誘いなのか? それともひとり打ち上げをしている私へのご褒美なのか?
まあ、この時点ではすっかり酔っぱらっていて、あとは寝るしかなかった私なのだが。
登山後の栄養補給に、三度目の健康レストラン・日之出食堂を訪れた。
本日のおすすめ(日替わり)は「焼きカレー・648円」で、これをベースに選ぶ。私は焼きカレーなるものを
食すのはたぶんこれが初めてで、ほかと比べたりできないのだが、おそらくこの内容で648円という価格は、
このメニュー単体でも、かかりレベルが高いと思われた。
おばんざい一回目。本日は日替わりがカレーなので、ラッキョウが試食販売されていて、これもセットに
加えてみた。これがなかなかおいしくて、お土産に購入しようか迷ったが、この前母が土ラッキョウを買ってきて
漬けていたのを思い出し、断念した。
2回目、葉物の生野菜、カボチャの煮つけなど加える。
ゆで卵など二度目の召集。かき揚げも加えてみる。さらに、先日から気になっていたものの、そこまで
手の回らなかったキムチを初めてゲットした。
この日はたぶん過去最大級の品揃えで、ひじき、野菜の和え物などの副菜を、手当たり次第によそって
お皿に盛り付けた。キムチ、予想通り気に入ったので、再召集している。
さらにデザートに、ケーキ(最初バナナケーキだと思ったが間違い、あのフルーツなんなのだろう?)、
ヨーグルト(いちごジャムのソースがけ)までいただいた。もちろん満足、満腹である。
駐車場でおのればえしていたちょっと毒々しい色合いの花。外来種で、たぶんハーブ系?
公共の駐車場に車を止め休憩していたら、目の前の畑でキャベツの収穫作業が始まった。
ずいぶな人出で、大掛かりに仕事をしていて、まあでものどかだなあとぼんやり眺めていたら、
しばらくして大声でののしりあい(口げんか)が始まり、携わっている多くが外国人(アジア系、
馴染みのない言葉、おそらくベトナム人か?)だということが初めてわかった。
先日もスーパーの駐車場で、バンからたくさんのアジア系外国人女性(正式には不明だがたぶん
ベトナム人だと思われる)が降りてくるのを目撃していた。こうした地方都市(田舎)にも多くの外国人が
入り込んで、労働力として当てにされているのだろう。農家の場合、高齢化や担い手不足などで、
彼らの力を借りなければ立ち行かない状況だと思われる。
この前阿蘇に行った際、ファミリーレストラン前に「急募!アルバイト募集、時給1000円~」の
張り紙がしてあるのに気づき、驚いた。私の時給よりもはるかに高い金額だからだ。ここまで
条件を良くしないと、求人に応えてくれる人材が集まらないのだろう。
何かバランスが崩れているのは間違いない。
下山後の立ち寄り湯を、この日は長湯温泉の御前湯とした。スタンプカードをつくってから10回目の
利用で、料金無料は大助かり。本日男性は一階であった(三階と日替わりで男女入れ替わり)。
料金の安さ(モンベル会員は200円引き)と泉質などで利用頻度が高くなるこの施設だが、川沿いに
設けられた開放的な大広間(休憩室)も魅力のひとつだ。
川を渡って吹き抜けてくる涼風が、湯上りの火照った体にとても心地よい。川向の大きな栗の木が、
白い房状の花をたわわに咲かせていた。
6月12日(水) 曇りのち時々晴れ
本当なら11日(火)の午後からでも、下見として一度登っておくのが正しいのだろうが、雲が多くなり、
すっきりしない天候となったのを幸いにして、サボってしまった。体の疲れがたまり、抜けず、残念ながら
自分としての限界が近づきつつあり無理できないのを悟っていたのだ。
なので、今期の扇ヶ鼻はぶっつけ本番の朝駆けとなり、これまで何度も訪れているので暗がりでも
登山道はなんとか問題ないとして、花の状況は年々違うのに、今期の状態をまったく把握できないまま
撮影に臨むこととなった。
今年の花の咲き具合は、遅れ気味だと聞いてはいたものの、正確な状況はこの段階までつかみきれて
いなかった。昨日スガモリ避難小屋で小耳にはさんだのは、見頃まであと4,5日はかかるのではないかと
いうもので、さすがに日程が押してきており、そこまで待って滞在するのは難しそうだ。
一方同日夕方、牧ノ戸峠で聞いた話によると、花数は少ないものの今がピークでよく咲いていて、
今年はいいですよというものであった。こちらの意見を尊重し、信じたいところではあるが、実際
自分の目で見てみるまではわからない。天気予報も悪くなく、行くしかないのだ。
昨夕から夜にかけ、牧ノ戸峠付近もガスに覆われていて、おそらく朝までにはガスは晴れる(下がる)で
あろうという私の予想通り、深夜には昨夜同様満天の星空となっていた。2:00頃トイレに向かうと、
女性二人組みがすでに出発するところで、星生山でご来光を拝むのだそうな。私も負けじと身支度し、
軽く食事して出発準備を整えた。
ところが車を出たらうっすら周囲がガスっていて、嫌な予感がした。昨秋も同じようなシュチエーションが
あったのを思い出したからだ。さらに登山道に差し掛かかると、またもうっすらとガスが漂う時があり、
ますます不吉な兆しを感じながら、ガスが上がってこないことを念じ歩き続けた。本日も連山周辺は
雲海に囲まれているようで、花の状況次第では、面白い写真が撮れそうに思っただけに余計だ。
今朝は皆の出だしが鋭く、私としては早めに出発したつもりが先行するヘッドランプが数多くいて、
私が到着した時には、すでに5人以上(あるいは10名近くか?)扇ヶ鼻山頂部周辺に陣取り、
撮影体制を整えていた。
稜線風が強く、カッパの上下をウィンドブレーカー代わりに着込み、撮影地点を探った。ところがそれが
なかなか見つからない。というのも、今年の扇ヶ鼻のミヤマキリシマは、花数が少ない上に咲き具合に
ばらつきが大きく、先行して咲いたものにはすでに枯れたものが目立っていたからだ。見頃としては
ほぼピークと言ってよく、虫害もないので悪いわけでは決してなくて、特に初めてここを訪れたような方々は
十分に楽しめる状況ではあったが、何度か来たことがある人には、やはり少々物足らないものがあった。
それでもどうにかして、その枯れた部分をできるだけ目立たせないようにしながら撮影を試みた。
風が強く、その上まだ薄暗いので、相当シャッタースピードを上げてはみたが押さえきれず、かなり
ブレブレの写真ばかりとなったような気がする。
その強風に乗ってガスが上昇、周囲の山々が見えなくなり、扇ヶ鼻も霧に包まれた。最初のうちは
時々ガスが晴れて、その隙をついてシャッターを切ってみたが、そのうち徐々にガスの濃度が高まり、
やがて一向に晴れなくなってしまった。
上の写真は、雲海の向こうに阿蘇が見えていたので写そうとして、流れてきたガスで見えていないもの。
山上近辺で一時間ほど粘ってみたが、ついに晴れる気配なく、あきらめ下山した。
日が昇る前後から周囲があまりよく見えなくなってしまったので観察が行き届いておらず、100%
断言するのは難しいのだが、今年の扇ヶ鼻は決して万全でなく、それを自分の目で確認できたので一応
納得はした。しかしながらこの朝は雲海が周囲に広がり、花の状態はともかくとして、うまくいけば
これまでなかった写真が撮れたかもしれず、早々にガスに巻かれたのは残念であった。
繰り返しになるが、好条件と撃沈とは紙一重なのである。
霧で撮影機材など濡らしてしまったので、久住高原の駐車場で店開きして、それらを乾かせた。
案の定下界は、やや雲が多いもののいいお天気であった。
この時間、九重連山には、まだべっとりと雲(ガス帯)がへばりついている。これではどうしようもない。
気になるので観察していると、ガスは徐々に薄まり、雲が多いながら昼過ぎにはそこそこいい天気に
なっていたようで、夕方には雲がほとんどなくなっていた。
本来ミヤマキリシマの状態が万全ならば、この夕方、それにさらに天気が安定しそうな明日早朝と
あと二回は撮影チャンスをつくるべきではあった。自分の体調、それと帰宅後の用事の多さ、
キリシマの状況などを考慮すると、ここらへんが潮時と判断し、撤収を決めた。
三俣山登山の前後の昼食を、道の駅すごうの丸福でいただいた。気軽に利用できるのと、ごはんのお代わり
OKでお腹満腹にできるので、この方、今一番のお気に入りのお店らしい。
10日(月)に食べたのが「トンカツ定食・760円」。この日の夕食のスーパー弁当が「鶏鳥弁当」に決まっていたので、
鶏が続くのを避ける狙いで豚をチョイスしたようだ。
次の日11日(火)は、「メンチカツ&とり天定食・650円」をいただいた。これまで食べたことのなかった
メンチカツを選択し、少しでも目先を変え、飽きないようにした結果がこれだ。ハート型のメンチカツが真っ二つ。
このおっさんまた来たな、早よ帰れや! という店のおねえさんの意思表示だと私は受け取った。
入浴は白丹温泉へ。本日も途中から貸切状態となり、のんびりさせていただいた。
これで準備万端、牧ノ戸峠へ移動して、明日の登山に備える。