これは昨年の春頃の話題ですが…今頃ご紹介。
新聞の書評欄?で紹介されていたのが上の写真『琵琶法師~異界を語る人びと』と
いう新書の出版でした。本来私には縁のない分野の記事だったんですが、この本で
「最後の琵琶法師」として紹介されている山鹿良之さんの演奏を間近に見たことの
ある私は、演奏を収録した映像DVD付きにも魅力を感じて、この本を購入しました。
琵琶法師の事をほとんど知らない私にも、琵琶法師の誕生から盛衰、そしてやがて
消えゆく運命の歴史を詳細につづられた本自体も興味深く読めましたが、やはり
私にとって一番の収穫は山鹿さんの演奏を再び目にすることができたことでした。
なぜ私が山鹿さんの演奏を聞く機会を得たのか? 古い話で記憶が不明瞭なのと、
詳細に記すとかなり長くなるのでできるだけ簡潔にご紹介すると…
1991年2月、無職だった私は九州を旅行中、瀬高町のルノアルYHに宿泊、そこで
人間国宝の琵琶法師・山鹿良之さんのご自宅で演奏が聞けるというオプショナル・
ツアー?があり、たまたま同泊の男女4,5人で参加することになりました。
山鹿さんの都合によっては希望がかなわないことも多いようでしたが、運よく実現、
翌日1時間くらい?乗合バスに揺られ、熊本県の山あいに住む山鹿さんを
訊ねました。演奏費用はいくらだったのか全く記憶にありませんが、山鹿さんの好む
銘柄のお酒(一升瓶)とお豆腐を瀬高で購入して持参したのは覚えています。
アルバムの写真をデジタル撮影したものです。
テーブル(こたつ)の上、左が熱燗機、右にお豆腐が写っています。私たちも
ご相伴にあずかったのでほろ酔い、ストーブ、こたつの熱気もあり、いい気持になり、
途中ちょっと寝てしまったのを告白します。(ただし私だけではなく他のメンバーも…
皆それぞれ旅の疲れも出ていたからねえ) こたつひとつ隔てただけで聞く生琵琶!
激しく打ち鳴らされる琵琶と演唱の迫力に圧倒されました。すでに人間国宝に
なっておられることは聞いていましたが、「最後~」をその時意識していたかどうか…
こんなすごい方の自宅に上がり込んで、見ず知らずの私たちに気さくに接してくれ、
おそらく私にとっては最初で最後の琵琶の生演奏に触れたことが本当にあったこと
なのかどうか…夢うつつ…すべてが幻だったような…
演題は記憶違いでなければ「小栗判官」だったと思います。目は不自由でしたが、
当時すでに90歳とは思えぬお元気さ、熱演はサービスたっぷり長時間に
及びました。ただし、長時間すぎて演奏が終わると(あるいは中座してもらった
可能性も?)あいさつ、お礼もそこそこに走ってバス停へ、あわてて飛び乗った
記憶があります。山間部でバス便が少ない上、皆それぞれ次の旅程があったん
ですね。ちなみに私はそのまま移動、久留米のお寺で梅林を鑑賞後、次の宿泊地、
虹の松原YHへ行ったようです。残念だったのは最後バタバタしたので、山鹿さん
を交えての記念写真が写せなかったこと。当時私の写真と言えばスナップや
記念写真ばかりでしたが、今見返してみると、忘れかけている当時の出来事を
思い出させてくれる唯一の貴重な資料なんですね。一緒に行ったメンバーとも
写していないので、顔を思い出せないなあ、残念。演奏中の山鹿さんを写したこの
二枚が、人間国宝の演奏を実際間近にしたという貴重な証拠となってしまいました。
付録のDVDは貴重な映像ですが、残念なのは音がよくありません。たぶん、
ポータブルビデオの内蔵マイクで音を拾っているからでしょう、琵琶の腹の底に
響き渡るような迫力ある低音は再現できてはいませんが、当時実際体験し聞いた
音を思い出し補いながら、映像を楽しませてもらいましょう。89年3月収録、
私がお会いした2年前、88歳のお姿です。
さらに、この新聞の切り抜きがアルバムに挟んでありました。スクラップした経緯は
全く記憶にありませんが、山鹿さんの事が出ていたので興味を持ったのでしょう。
山鹿さんを題材にしたドキュメンタリー映画『最後の琵琶法師』の紹介記事です。
93年の記事ですが、現在でも見られるようならば、映画を見てみたいものですね。
山鹿さんは長寿を全うされ、1996年、95歳でお亡くなりになったようです。
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