旅にしあれば

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伝説巨神イデオン~慈しみふと分け合って傷を舐めあう道化芝居篇

2018-04-30 19:33:00 | NHKに捧げる歌




ではなぜ、第六文明人は滅びたのでしょうか?…を論じるのではなく、ではなぜ、イデオンはガンダムほど
知名度が高くなく、世代を超えた共通項とまではならなかったのでしょうか?  富野喜幸(現・富野由悠季)
監督作品中、ガンダムと並び称される、あるいは人によっては、ガンダム以上の出来栄えとまで賞賛される
ほどの作品としては、世間での認知度が低すぎるように思えてなりません。

様々取りざたされる理由はあれど、今回はメカニック・デザインとキャラクター・デザインが、ガンダムと比べ
あまりにやぼったいのが一般受けしなかったのが要因のひとつではないかという私の推論を中心にお話を
進めてみます。

まず、メカニック・デザインのお話から。先の篇で紹介したDVDパッケージ写真、このイラストを描かれたのが
キャラ・デザインの湖川さんですからある程度は仕方ないとはいえ、本来ロボットアニメの主役たるべき
「イデオン」がまったく登場していない点からも、主役メカをはじめ、本編に登場するメカの不人気ぶりが
うかがい知れると言えます。

まあこの点は、最初から助け舟を出すと、本来ロボットアニメの範疇であろうイデオンは、実のところは究極の
人間ドラマであり、ロボットなど数々登場するメカは「ついで」か「お飾り」程度の扱いだからと言い訳できるのです。
なので、イデオンとかソロシップ、バッフクラン(敵側)の重機動メカなどのメカニックな部分は、人間ドラマを
展開する上のアイテムの一部に過ぎず、それ自体の魅力とか人気はさほど重要視されていなかったような
気がします。ただし、玩具を売らなければならないスポンサーサイドとの兼ね合いもありますから、まったく
なおざりにするわけにもいかず、必要最低限の布陣を整えたってところではないでしょうか?

でもこれ、もちろんあとづけの理屈で、放映当時は一般受け(主に子供がターゲットなのでしょうが)するような
メカを考えた結果がこれだったはずです。3機のメカ(戦闘機)が合体して(ゲッターロボみたいに)、巨神
(巨大なロボット)に変形するシステムは、物語の進行上必要だったことよりも、子供受けを狙っての演出効果を
優先したからなのでしょう。変形せず、最初から巨大なロボットの姿で登場しても問題なかった気がしますよ。
現に物語の最終盤、劇場版の発動篇では、たしか一度も合体シーンは描かれず(出だしのTV版のダイジェスト
部分以外は)、イデオンはずっと巨大ロボットの姿のままだったと思います。ストーリーのスピーディな展開上、
その演出になったこともあるのでしょうが、変形シーンはそもそも不必要だったとさえ思えるです。



    

DVDにはまったくイデオンのイラストがなかったので、LD(レーザーディスク)のジャケットを引っ張り出して
きました。このパッケージでは主役・イデオンがそれなりに目立っていますね。ご覧のように、正直、イデオン
そのものにはデザイン上の魅力があまりなく、さらに加えて、敵役の重機動メカにもこれといった惚れ惚れする
ような(のちのち語り継がれるような)デザインの機体は見当たりません。

反してガンダムでは、主役ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクをはじめ、敵のメカにも、ザク、グフ、ジオング
などなどカッコいいメカをずらっと思い浮かべることができますよね。メカ好きのアニメファンからすると、
ガンダムに軍配が上がるのは致し方ないところです。






   

LDのパッケージの裏には、登場人物(地球サイドのみですが)がほぼ勢ぞろいしていました。
DVDのパッケージでは、キャラデザインの湖川さんがデフォルメ(というか劇画調タッチといいますか)
されて描かれていまして、こちらが実際のアニメ中に登場するフォルムとなります。

この登場人物たち、かなりの個性派と言えまして、なにせ主役の少年(ユウキ・コスモ)はアフロヘア
ですからね! おそらくアニメの主役がアフロって、それまでも、そしてこれからもまずないんじゃあ
ないですかね。インタビューでデザインを担当したご本人が述べられているように、当時の湖川さんは、
とにかく新しいこと、これまで他人がやったことないようなデザインすることを優先されていたようで、
それがこの個性的なキャラクターたちなのです。

このパッケージのイラストではわかりにくいかもしれませんが、各々かなりクセの強いデザインで、
正直なじむまで少々時間が必要です。たとえるなら、アメリカ製のアニメ作品を見ているような印象を
受けると言えばいいでしょうか、当初かなり違和感を覚えることは事実です。可愛げに欠けていると
も言えるかなあ。この点も、ガンダムに登場する安彦良和さん描く、愛くるしく、親しみやすい
キャラクターたちとは真逆だと言えます。

そしたら湖川さんはそうしたキャラクターは描けないかと言うとそうではなく、次の聖戦士ダンバインでは、
少女マンガの世界から抜け出てきたみたいな、現在のアニメでも多々見かける萌えキャラの元祖と
呼べるようなお姫様を登場させるなど、カワイイ路線にも行けないわけではないのです。その意味でも
このイデオンと言う作品はかなり実験的だった、冒険したとも言えるでしょう。

しかし残念ながら、結果的にはそれが裏目に出て、キャラクターの人気という点でも、ガンダムに
大きな差をつけられてしまいました。個性が強い分、正直皆とっつきにくいキャラが多いですからねえ。
まあでもそれは当初だけで、物語が進んでのめり込むと、各登場人物に感情移入して、最終局面まで
一直線なんですよ。


長々述べてきたとおり、メカとキャラクター・デザインにおいては、圧倒的にガンダム有利な状況で、
広く一般大衆にまで受け入れられたガンダムに比べて、イデオンが幅広い分野から支持を得られなかった
ひとつの要因となっていると考えられます。それを踏まえた上で、それでもガンダムより上回っているとの
熱狂的な信者がいるのは、物語の圧倒的なスケールの大きさに尽きると言い切れるかもしれません。
多少無理強いしている部分があるとはいえ、よくぞこんな天文学的なストーリを展開させ、プロットの
大きな破綻もなく、最終局面まで描き切ったと感心するばかりなのです。

あと、ガンダムでは神懸り的な(いわゆるニュータイプですね)能力を備えた一部の人々が突出した
力を見せつけるのですが、一方イデオンでは市井の人々が神のような存在にもてあそばれ、運命を
左右されていくような展開で、これをどう捉えるのかで好き嫌いが分かれるのでしょう。もちろん
ガンダム派、イデオン派と明確にする必要性はまったくなくて、ガンダムしか知らない方々には、
ぜひ見比べて確かめてほしいのです。


ついでと言っては何なんですが、このLD、当時58000円!もしたんですね。たぶん買ったのは
就職したての頃で、その頃はまだ消費税なんてなかったんだなあ、新鮮な驚き。薄給でしたが一応
正社員、大人買いできる喜びに溢れていたんですかね。アニメのビデオテープ(VHSなど)はいっさい
持っていなくて、でもLDなら半永久だと考え、清水の舞台から飛び降りる心境で購入したんでしょう。

確かにLDのソフトは非接触で半永久的でしたが、まさか再生機が完全に生産中止されるとは、
当時考えもしませんでしたねえ。イデオンはDVD化された際に買い直したのでいいとして、
現行の機種が壊れたら、LDソフトはまったく無用の長物ですからねえ、たまりません。
ある意味このLDソフトは「お宝」ではあっても、今更買い求める方はまずいないでしょう。

このイデオンのLDパッケージは、「イデオン・オリジナル・LDシングルアダプター」!!が付属
している程度で、あまり豪勢な付録はついていません。でもソフトによっては、原作者のイラストが
添付されているなど、かなり貴重なおまけが付いているものもあって、なかなか捨てにくいのも
事実です。

この断捨離できない思い切りのなさが、部屋をより狭くしている原因なのはわかっているのです。   


次回、いよいよ怒涛の最終篇に続きます、スペース・ランナウェイ!



   


   



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