活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

スペースシャトル 補助ブースター オンボード映像 下向き

2010-04-10 09:15:16 | 映像の海
昇っていく。

ただ、ひたすらに。


噴射炎をたなびかせて、
あっという間に費消される、500トンもの燃料。


その推力は。
最高で、1400トンもの重量をリフトアップするに至る。


大地が。
みるみるうちに、見慣れたコンクリートから海の藍に。
そして、地球の蒼へと変わっていく。

そのグラディエーションは、なんと美しいものなのだろう。


そして、それは。
僕達の住む、この大地が。

確実に宇宙へと繋がっていることの、明白な証明。

否。
繋がっているのではない。

今僕達が存在している、この大地そのものが宇宙の一部なのと。

そう、実感させてくれる、この映像の。

なんという美しさ。
なんという力強さ。

そして。
なんという優しさなのだろう。



やがて。
高度約40Kmの高みに達したときに、君はシャトルと袂を分かつ。

シャトルを引き上げ、押し上げ、送り出した、その後も。

なおも、その無事を見守るかのように、硬度60Km過ぎまで
君はシャトルと並走。


やがて、力尽きた君は。
なおも上昇を続けるシャトルに一瞥をくれた後で、
静かに重力の井戸の底へと墜ち始める。



再び、先ほどと逆のグラディエーションが展開される。


迫り来る海の藍は。

まるで、両手を広げて迎えいれようとする腕(かいな)のよう。



そして、着水。

一瞬にして沸騰する海水に包まれながら、
君は何を思うのだろう?


無事に、シャトルを送り出せた達成感?
自分が到達し得ない宙の高みへの憧憬?
還って来ることのできた安堵感?
地球と言う重力の井戸の頚城から逃れられない虚無感?


いや。
それは、無意味な詮索というものだろう。


もっと、ピュアに。
もっと、直向(ひたむき)に。

ただ、ひたすら。

君は、空を目指してきたのだろうから。



10分にも満たない、束の間の飛行。

それでも、その情景は。
賞賛を通り越して憧れとなり、

自分も。
この宇宙に、繋がっているんだ。
そして、高みを目指していくんだ。

という勇気を、観るものに与えてくれる。



ありがとう。


(この稿、了)

スペースシャトル 補助ブースター オンボード映像 下向き



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