社民党を大きく オムライス党を応援

力のない、組織のない、お金もない ないない尽くしの社民党を、何も持たないものが勝手に応援するブログ

レイバーネットを読む

2013年09月28日 | Weblog

福知山線脱線事故、JR歴代3社長に無罪判決/安全問題研究会

 

2005年、乗客・運転士あわせて107名が死亡したJR福知山線脱線事故について、神戸地検が不起訴とした後、神戸第1検察審査会による2度の「起訴相当」判決を受けて強制起訴されていたJR西日本の井手正敬、南谷昌二郎、垣内剛の3被告(いずれもJR西日本の元社長)に対する裁判で、9月27日神戸地裁(第101号法廷、宮崎英一裁判長)は「事故を予見できなかった」として、3人全員を無罪とする判決を言い渡した(当研究会速報のとおり)。遺族は「全く納得できない」「故人に報告できない」と判決を強く批判しており、控訴する見込み。JR史上最悪の列車事故の刑事責任を問うJR歴代3社長の裁判は、今後、大阪高裁に移ることになる。

当研究会は、昨夜から休暇を取って神戸入りしており、傍聴券抽選に並んだが、45人の傍聴席に対し690人が並んだ。倍率15倍を超える狭き門であり、当研究会は残念ながら傍聴席の確保はできなかった。

判決言い渡しは午前10時から行われ、10時3分頃、詰めかけていたメディア各社が「全員無罪」と叫びながら飛び出してきた。判決理由の朗読は1時間半にわたり、午前11時半頃閉廷した。

閉廷後、直ちに神戸地裁正門前で遺族らの会見が行われた。以下、遺族の声をお伝えする。

●奥村恒夫さん(写真左)

ひとことで言えば不当判決。私たちが予想していた中で最も悪いもの。指定弁護士の主張はすべて退けられ、弁護側の主張のみが丸ごと聞き入れられた。「ATSを設置すべき」と公判で誰も主張しなかったが、裁判の段階で供述調書を覆すこともできる。

(企業犯罪に対して)組織罰を問うことができる法律がないまま個人の責任だけを問うとこうなる。組織罰(を裁ける新たな法律)を制定してもらいたい。それがなければ、これから先も企業犯罪が起きるたびに、同じ苦しみを味わう人がどんどん出てくる。明治40(1907)年制定の古い刑法が、基本的な枠組みは変わらないまま現在まで来ていることそのものがおかしい。裁判長も、判決言い渡しの最後に「今の法ではこのような結果にしかならない」と言った。ねぎらいの言葉もかけてはくれたが、もっと遺族の気持ちに寄り添い、自分の考え方をきちんと打ち出す裁判長であってほしかった。判決はあまりに腹立たしく、このままでは娘に報告できない。

井手被告は、法廷でもニヤニヤ笑い、上を向いていた。ナイフでも手元にあったら投げつけてやりたい気持ちだ。控訴して、長く(闘いを)続けることが大切だと思っている。そうすることによって、世論が高まり、組織罰を裁く新法がなければダメだという気運が盛り上がってくる可能性がある。

●上田弘志さん(写真中央)

山崎元社長の判決よりもずっと酷い。JR側の主張をすべて鵜呑みにし、指定弁護士の主張はすべて退けられた。判決を全く理解できない。どう気持ちを整理すべきかわからず、頭の中がぐちゃぐちゃだ。

●大森重美さん(写真右)

これでも誰も責任を取らない。法の限界は明らかだ。(組織罰を設ける方向に)根本的に考え方を変える時期に来ている。

●藤崎光子さん(写真左)

これほどの不当判決はない。JRの主張を鵜呑みにしているだけ。これではJR西日本は何も変わらない。事故当時、常に列車が遅れる状態で、当日も遅れていたにもかかわらず判決はそれには何も触れなかった。判決は容認できず、直ちに控訴する方向で指定弁護士と協議する。

私が井手元社長を(テレビでなく)生で見たのは、事故から8年も経っているのに今日が初めて。「衷心からお詫びしたい」とのペーパーで謝罪こそしているが、裁判所の心証をよくするためだけの謝罪にしか見えず、遺族は誰も信じていない。井手被告は国鉄分割民営化最大の功労者と言われているが、もう少し遺族の気持ちを考えてもらいたかった。

遺族の声を聞いて思うことは、経営者、関係者を含むそれぞれに少しずつ責任が分散し、それゆえに誰も責任を問うことができない、個人には職務権限や組織上の責任がなく、法人は責任主体になれない現行法では、もはや企業犯罪には全く対処できないことが明らかにされたことである。会見に応じた遺族全員が、組織を処罰することができる新たな立法措置の必要性に言及したことがそのことを象徴している。

少し前に話になるが、山崎元社長の判決を前にした2012年1月に、毎日新聞が遺族を対象に行ったアンケート調査によれば、「法人も刑事罰の対象にすべきだ」と答えた人の割合は裁判に参加・傍聴した被害者の8割以上にのぼっている。英国では、経済界の強い抵抗を退け、2007年、労働党政権が「法人故殺法」を制定した。人を死亡させた法人に対し、裁判所が「無制限の罰金」を科することができるものである。日本でもこのような新法の制定が強く求められているといえよう。

赤レンガ造りの神戸地裁は、職員によれば明治時代に建てられた歴史ある建物だという。歴史ある建物を保存することはすばらしいことだが、明治時代の古い建物の中で、明治時代に作られた古い法律を基に出された古色蒼然とした判決。少しは時代の流れに合わせて進歩することも覚えないと、司法はいよいよ国民意識から乖離し、社会から取り残されるだろう。

(報告・黒鉄好/安全問題研究会)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。