「野党共闘」でジレンマ=派遣法、社民との協議難航-民主
労働者派遣法の改正をめぐり、民主、社民両党の調整が難航している。民主党は衆院選を控えて野党共闘を重視するが、党内では規制強化への異論も根強い。これに対し、登録型派遣の原則禁止を求める社民党は、共産、国民新との3党での法案提出もちらつかせ、民主党をけん制している。
「今年は政治決戦の時だ。社民党は5月に、派遣法の抜本改正案を必ず国会に提出する」。社民党の福島瑞穂党首は1日、都内のメーデー集会でこう語気を強めた。
登録型派遣は、労働者が派遣元に登録し、派遣先が見つかった場合にその都度労働契約を結ぶ方式。労働者が派遣元に常時雇用される常用型派遣に比べて、労働者の身分が不安定になると指摘されている。
このため、社民党は登録型派遣全般を禁止すべきだと主張。福島氏は4月22日に民主党の菅直人代表代行と会談し、一定の猶予期間を設けた上で通訳など専門業種を除いて登録型派遣を禁じ、常用型派遣だけを認める案を示し、実現を迫った。
一方の民主党は、小沢一郎代表が「野党共闘優先」を指示。登録型、常用型を問わず製造業への派遣を禁止する方向で社民党との調整を進めてきた。 ただ、党内では、規制強化で派遣労働者の賃金が上昇すれば、正社員の賃金や雇用に影響が及び、支持団体の労組の不満が高まるとの懸念がある。製造業派遣の禁止に限ったとしても「企業の海外移転が進む」と慎重論を唱える向きもあり、登録型派遣の原則禁止への抵抗は強い。
「民主党との協議はなかなかまとまらないが、労働者の力で政治を変える」(福島氏)。社民党は、共産、国民新両党と連携し、民主党抜きでの法案提出の構えも見せて譲歩を促しているが、着地点は見えていない。(2009/05/05-15:49)