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「30年」先行くオランダ 毎日新聞を読む

2013年01月06日 | Weblog

イマジン:第1部 はたらく/6 「30年」先行くオランダ

毎日新聞 2013年01月06日 東京朝刊

「休日」の水曜日に、自宅で娘に勉強を教えるランズドルプさん=ハーグ市内で2012年12月19日、坂井隆之撮影
「休日」の水曜日に、自宅で娘に勉強を教えるランズドルプさん=ハーグ市内で2012年12月19日、坂井隆之撮影

 ◇パートに正規と同一権利を保障 女性の労働参加率、日本と逆転

 この先、日本人の働き方はどう変わっていくのか。正規、非正規、終身、短期雇用、男と女、学歴、社歴主義−−にとらわれない平等が生まれるだろうか。働き方を変え成功してきたオランダを訪ねるとこう言われた。

 「まるで30年前の私たちのようね」

 女性の社会進出を支援するNGO「オランダ女性評議会」のスシファーファスラウス代表の言葉だ。日本の労働実態を知る彼女の目から見れば、私たちは「途方に暮れる過去の自分たち」を見ているようなものなのだ。

 30年前、80年代初頭のオランダはまだ「男は仕事、女は家事と育児」という古い観念にとらわれていた。85年当時の女性の労働参加率は35%にすぎず、当時53%だった日本よりも低かった。ところがこの数字は2011年、70%まで跳ね上がった。

 日本の約8分の1、人口1700万人ほどの小国ながら、欧州連合(EU)加盟国で6位の経済規模があり、最高の投資格付け「AAA」を保持するオランダで何が起きたのか。

 80年代、天然ガス輸出に依存する産業構造が、資源価格の下落で行き詰まり、長期不況で失業率が10%を超えた。賃金抑制を目指したい経営者側と、雇用維持を図る労組が激しく対立、政府の仲介で話し合いを重ね、1人当たりの労働時間を減らす「ワークシェアリング」を取り入れることで合意した。「痛み分け」という苦肉の策だった。

 その後、パートタイムへの失業給付(90年)、ボーナス支給や職業訓練(96年)など新制度を創設。さらに、00年には従業員が労働時間を自分で変更できる「労働時間調整法」を取り入れたことで、働き方も、人々の意識も変わった。

 クリスマス前、ハーグに暮らす女性会社員、ランズドルプさん(42)のマンションを訪ねた。「ママ、この問題の解き方がよくわからない」「これはね……」。夕食前のひととき、インタビューの合間もランズドルプさんは一人娘のルシアさん(12)の勉強をみる。毎週水曜日は、勤めている貿易会社を午後0時半に退社する。買い物や家事を済ませた後、学校から戻った娘と夜まで居間でくつろぐ。

 ランズドルプさんは9年前、「仕事ばかりで家族を全く顧みない」夫と別れ、シングルマザーとなった。水曜以外の日は会社の仕事を午後3時に終え、家でドイツ語と英語の翻訳も手がけている。「会社勤めは安定収入を得るためには大事。でも、娘や病気がちの母親の面倒をみる時間が私には必要。今の仕事と暮らしのバランスが自分にとってベストです」と穏やかに語る。

 彼女のように、勤務時間や勤務日を短縮して働くパートタイム労働は、オランダでは珍しくない。

 経済協力開発機構(OECD)の調べでは、オランダで働く人の37%が週30時間未満の勤務だ。これは日本の21%、欧州平均の17%よりも随分多い。短時間労働で十分な収入が得られるのか。

 80年代から労働改革を続けてきたオランダでは96年、パート、フルタイムで時給や待遇に差をつけるのを法律で禁じた。同一労働に同一賃金が支払われ、手当や昇進、福利厚生も長時間働く正規労働者と同じ権利が保障された。これを機に、働き方の選択肢が一気に広がった。日本では、パート労働者のほとんどが非正規職員で、正社員と同じ仕事をしても、有期雇用や安易な解雇、厚生年金への未加入など歴然とした差別があるが、オランダにこれはない。

 アムステルダムの病院事務、ホーヘさん(27)も1日8時間、週4日のパートだ。病院では医師や看護師など専門スタッフの75%がパート。「仕事は分け合うのが当たり前。定時に帰ることには何ら抵抗はない」とホーヘさん。患者の担当医を複数置くなど、1人に負担をかけない仕組みが徹底されている。

 パートタイム労働は弁護士業にも広がる。ユトレヒトの「ウェイン&スタレル法律事務所」では、35人の所属弁護士のうちほぼ半数がパートだ。4歳と5歳の男児の母、クレインさんは、水曜を休日に充て、金曜が休日の鉄道会社勤務の夫と家事や子育てを分担する。

 事務所には独身でも週4日勤務を選ぶ弁護士も多い。「若い世代は生活の質を高めるためパートを選ぶ。『収入が2割減っても、ゆとりをもって過ごせる方が良い』と考える人が増えている」と、クレインさんは言う。

 ユトレヒト大のスキッパー教授(労働経済学)は「同一労働、同一賃金」の最大の効果は「高学歴の女性が労働市場に供給され、国の生産性が大幅に高まった点」と言う。オランダの労働時間1時間あたりの国内総生産(GDP)は、日本の約1・5倍。「だらだら長時間働いても、多くは同僚と雑談したり、私用に時間を割かれている」との分析には、思い当たる日本の正社員も多いのではないだろうか。

 公的な育児支援が不十分な点や、依然、パートの役職者比率が低く、男性役員が多い点など、決して完全な形ではない。それでも、30年かけて変わったオランダの今に、私たちの未来の一つの姿がほの見える。=つづく


「原発推進回帰」 安倍内閣を批判   東京新聞を読む

2013年01月06日 | Weblog

「原発推進回帰」 安倍内閣を批判 テント村市民が会見

脱原発テント前で記者会見する淵上太郎さん(中央)ら=4日、東京・霞が関で

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 経済産業省の敷地内でテントを張り、脱原発を訴える市民グループが四日、記者会見し、原発新設や再稼働を容認する姿勢を見せる安倍内閣を「原発推進の道に舞い戻ろうとしている」と批判。一方で、政権が代わったことで、テント村が撤去されるのではと危惧しているともいい、「民主的な手続きで対抗し、今後も抗議活動を続けたい」と述べた。

 代表の淵上太郎さん(70)は「東京電力福島第一原発事故は、原発が非常に危険で、人間がコントロールできない根本的な問題を抱えていることを証明した」と指摘。「安全ではない原発は動かさないでほしい。科学的に安全が保障できない原発は再稼働しないでほしい。私たちは、脱原発とわが国の民主主義をかけて、ここに存在している」と訴えた。

 原発事故で警戒区域に指定された福島県富岡町に自宅があり、水戸市内で避難生活をする主婦木田節子さん(58)は「福島原発の事故が収束していないことは、安倍さんや原発に関わる人たちは分かっているはず。一人の人間として大事なことは何かを考えてほしい」と話していた。