滝川薫の未来日記

スイスより、持続可能な未来づくりに関わる出来事を、興味がおもむくままにお伝えしていきます

CO2オフセットに積極的な旅行業界~NPO MyClimateの旅行業界賞

2010-11-18 19:45:38 | 交通

昨月の日本帰国の際に、いつものようにNPOのCO2オフセット団体MyClimateに、フライトにより生じるCO2をオフセット(相殺)してもらいました。価格は1人あたり東京とチューリッヒの往復で150フラン程度。CO2排出量は4t強です。オフセットしたとはいえ、4t排出したことには変わりません。WWFのCO2計算機で計算すると、私の生活から出るCO2排出量のうち、飛行機がダントツに大きく、その次に暖房(灯油)と消費行動が来ます。


旅行業界は大きなCO2排出に関わっているため、スイスの旅行業界には顧客にオフセットを提供する会社が増えています。MyClimateでは、11月3日に同団体のパートナーの中で特に積極的にオフセットを行っている団体を表彰しました。

オフセット込みの「ベストな解決策」として表彰を受けたのが、スイスのユースホステル連盟。2008年より宿泊客は宿泊により生じるCO2排出量を一泊50ラッペン(45円)という手軽な上乗せ価格でオフセットできます。そして、なんと半分以上の宿泊客がこの機会を利用しているというから驚きです!

Sunstar Hotelsは、世界で初のカーボンニュートラルのホテルチェーンとして表彰されました。2008年に同社は、全てのCO2排出量をオフセットすることを決定。宿泊客が何も考えなくても自動的にCO2がオフセットされる上、オフセットのために宿泊費が上がることはなかったそうです。さらにこのホテルでは、宿泊客の到着・出発の旅路をオフセットするサービスも提供しているということ。

また初のカーボンニュートラルの観光局であるチューリッヒ観光局や、旅行会社のクオー二も表彰されています。クオー二社では、今年の秋から新しい広告キャンペーン「Save the Beauty」を実施、飛行機によるCO2のオフセットを積極的に消費者に売り込んでいます。また社内の出張フライトもオフセットしています。

スイスではほとんどの大手旅行会社や数百の小規模な旅行会社で、CO2オフセットが提供されるようになった今日。MyClimateの経営者ルネ・エスターマンさんはプレスリリースの中でこう語っています。
「旅行業界が温暖化問題を本当に真剣に考えるなら、旅行商品へのCO2オフセットの統合を大幅に改善していく必要があります。今日の顧客は気候保全込みの旅行を期待するようになってきています。」

私は、スイスに環境視察に訪れる方々に、フライトのCO2オフセットをお勧めしていますが、なかなか真に受けてもらえません。日本の旅行会社さんにも、お客様にフライトや宿泊をオフセットするオプションを積極的に与えて、説明して欲しいなと思います。


参照:
http://www.myclimate.org/


短信
●スイス国鉄の路線検索でCO2排出量が比較できる新機能
路線検索といえば、スイスではスイス国鉄のサイト
www.sbb.ch。鉄道だけでなく、トラム・バス・船まで通しで調べられて便利だ。そのサイトに先日、新しい「環境機能」が付けられたので、早速試してみた。
選択した路線の詳細をクリックすると、時刻表の下に「環境」ボタンが出てくる。
そこをクリックすると、自動車で移動した場合と、鉄道で移動した場合のエネルギー消費量、CO2排出量、所要時間が棒グラフと表で表示される。
比較の中で面白いのが所要時間の部分。所要時間が使える時間と使えない時間に分けられており、電車に乗っている時間の大半は使える時間として計算されている。
首都ベルンと大都市チューリヒの間も調べてみる。エネルギー消費量は鉄道が2.1ℓなのに対して、自動車は12.3ℓ。CO2排出量は0.75kgなのに対して、車は24.6kg。移動時間は電車が59分でそのうち49分が「使える時間」。対して、車の移動時間は1時間18分で「使える時間」は7分だ。
出てくるコメントは「あなたの移動は自動車よりも32分1のCO2排出量で、ガソリン消費量は車より10.2リットル少ないです」。計算の条件は個別設定することもできる。
http://fahrplan.sbb.ch/bin/query.exe/dn?seqnr=1&ident=3w.019158221.1290028160&#connection_C0-0

 


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