毎日、猛暑日の熊本。せっかくの土日なのに、自主研を入れてしまったため、今日は朝から東海大学まで行ってきました。づかれた~。他にも知り合いはいるかなーと思っていたら、別の地区の知り合いを発見して、久しぶりに世間話を…。懐かしかったです。
さて、タイトルのことを少し書きます。
実は先日、私の仕事とは直接関係ない研修会に動員のようにして、参加していたら…。会場からの発言で、とても気になったのがあって…。(その方は別に医療ミスを言いたかったわけではなく、両親とはどんなに疎遠でも、嫌いでも、憎くても、絶対に切れない絆だから、どこかで許してあげなくては自分がずっと後悔すると、いう趣旨を言いたかったようです)
・ずっと疎遠だった父親を先日、食道ガンで亡くしたが、亡くなった当日、面会に行ったときは、主治医から「状態が良くなってきています」と言われて、ほっとして帰宅した夕方、危篤と連絡が入り、再度、病院へ行った。
・父親はまだ人工呼吸器では息をしている(心電図モニターなども動いている)のに、医者に死亡したと言われて納得できなかった。だから、頼んでも蘇生術をしてくれない医師を無視して、自分と母親で一緒に30分間ほど心肺蘇生(胸骨圧迫)を行った。でも、人工呼吸器のチューブに血液が混じってきたので、あきらめた。
というようなものでした。具体的にはどこが医療ミスだったのか、私にははっきりと分かりませんでした。たぶん、話されなかったと思うのですが…。(私の意識が理解できなかったのかもしれませんが…)
これは脳死の判定でも、困ることのようですが。機械が強制的に肺に空気を送って、呼吸させていても「心電図上、心静止」だったりしたら、もう死亡しているのと同じ。人工呼吸器は死んだ人にだって装着すれば、機械ですから仕事をしてくれます(たぶん…)。もちろん、その場合もモニター下では呼吸数は維持されます。しかも、呼吸で心電図モニターが動くこともあり得ると思います。心電図モニターに僅かでも反応があると、生きていると思う人がいるようですが、心電図モニターでは正常な波形以外は死の一歩手前と思っていいのではないでしょうか?
だから、心電図モニターのST波の上昇など、心筋梗塞の予兆があれば、救命救急センターは大騒ぎになるんです。だって、ほっとけば、確実に心臓止まりますから。
でもって、どこで蘇生を止めるか。これは各病院で決めてあると思いますが、Dr.林の「Step Beyond Resident 1」から引用すると、
①誰も見ていないところで、心肺停止をして、②最初のリズムが心室細動や心室頻拍でなく、③ACLS(心臓二次救命処置)を10分しても循環動態の改善を見ないときは、蘇生の可能性はほぼないと考える。
また、ACLSを20分施行して、End-tidal CO2が10mmHg以下では、蘇生の見込みがなく、蘇生中止を考慮してもよいとされる。
だそうです。これは救命救急センターでの基本なので、一般の入院患者さんには当てはまらない点もありますが、人工呼吸器を装着していたりすると、難しいと思います。
そして、医者の説明が理解したくない? 納得したくない?家族だったら…、上記のようなことはあり得るだろうなぁ。と思いました。この場合、やっぱり医療側に、もう少し家族への配慮が必要だっのではと。
ほらっ、「ジェネラル・ルージュの凱旋」のドラマでも、心肺停止になった目黒さんをずっと長谷川先生が心臓マッサージをしていたのを、奥さんは見ていたから、長谷川先生の心電図モニター波形の見落とし?に対して、追求しなかったでしょう。
先ほどのDr.林の続きを引用すると、
蘇生現場を家族に見せる利点は、患者家族にとって、
・蘇生のためにできる限りのことをしたという現実を目の当たりにできる。
・医療スタッフの努力を見ることで、感謝の念が生まれる。
・患者の最後に立ち会い、けじめがつけられる。
・患者と最後の別れを言う機会がある。
欠点は、
・その場にいるのがプレッシャーになる人がいる。
・すべての患者家族が見たいわけではないというのを、医療スタッフが理解していないと、家族にとってはトラウマになる。
・蘇生そのものが非日常的であり、自分の予想を超えて怖い場合には、トラウマになる。
・家族がいることで、医療スタッフが無用に蘇生を長引かせているのではないかと不安に思う。
だそうです。
医療者の方は、正しいことをしても、結果が悲惨な場合に訴えられるのではないかと不安になる。らしいが、蘇生処置を包み隠さず見せられた場合は、家族は処置の適切さに対していちいち疑問を持つことは少ないと報告されている。
日本に比べれば、訴訟天国の米国での調査のようなので、なるほどと思いました。他にも、この調査では11%の家族が蘇生処置が長すぎるとコメントしている。というのも、ありました。
ということは、やっぱり先ほどの方の場合、蘇生処置に不満があったのでしょう。せっかく、院外心肺停止じゃないのに、家族から不審に思われてしまう医療スタッフって…。
本来の趣旨とは全く関係ないところで、考えさせられた一日でした。