会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

会津八一 335

2014-05-15 00:28:41 | Weblog
万福寺仏殿の用材は故国より筏(いかだ)に編みて曳き来りしとて
柱に貝殻の着きし跡あり 開山の鴻図(こうと)を憶(おも)はしむ   解説

 ひむがし の うみ に うかびて いくひ に か 
          この しきしま に よ は しらみ けむ

      (ひむがしの海に浮かびていく日にかこの敷島に夜は白みけむ)  


会津八一 334

2014-05-13 20:12:17 | Weblog
二十四日奈良を出て宇治平等院黄檗山万福寺を礼す(第3首) 解説

 しやかむに を めぐる 十はちだいらかん 
         おのも おのもに あき しずか なり

      (釈迦牟尼をめぐる十八大羅漢おのもおのもに秋静かなり)  

会津八一 333

2014-05-12 20:08:14 | Weblog
二十四日奈良を出て宇治平等院黄檗山万福寺を礼す(第2首) 解説

 みそら より みなぎる たき の しらたま の 
        とどめ も あへぬ ふで の あと かな 

       (み空よりみなぎる滝の白玉のとどめもあへぬ筆の跡かな)  


会津八一 332

2014-05-11 20:04:38 | Weblog
二十四日奈良を出て宇治平等院黄檗山万福寺を礼す(第1首) 解説

 わうばく に のぼり いたれば まづ うれし 
         もくあん の れん いんげん の がく 

          (黄檗に登り至ればまづうれし木庵の聯隠元の額)  


会津八一 331

2014-05-10 22:07:35 | Weblog
二十二日唐招提寺薬師寺を巡りて赤膚山(あかはだやま)正柏が窯(かま)
に立ちよりて息(いこ)ふ(第4首)   解説

 さきだちて さら や くだけむ もの かきし 
        われ や くだけむ よ の なか の みち 

       (先立ちて皿や砕けむ物書きし我や砕けむ世の中の道)  


会津八一 330

2014-05-09 21:00:19 | Weblog
二十二日唐招提寺薬師寺を巡りて赤膚山(あかはだやま)正柏が窯(かま)
に立ちよりて息(いこ)ふ(第3首)   解説

 もの かきし すやき の をざら くれなゐ の 
           かま の ほむら に たきて はやみむ 

        (物書きし素焼きの小皿くれなゐの窯の炎に焚きてはや見む)  


会津八一 329

2014-05-08 20:27:34 | Weblog
二十二日唐招提寺薬師寺を巡りて赤膚山(あかはだやま)正柏が窯(かま)
に立ちよりて息(いこ)ふ(第2首)    解説

 もの かきて すやき の さら を ならべたる 
          ゆか の いたま に とぶ いなご かな 

         (物書きて素焼きの皿を並べたる床の板間に飛ぶ蝗かな)  


会津八一 328

2014-05-07 20:02:54 | Weblog
二十二日唐招提寺薬師寺を巡りて赤膚山(あかはだやま)正柏が窯(かま)に
立ちよりて息(いこ)ふ    解説

 あかはだ の かま の すやき に もの かく と 
            いむかふ まど に ちかき たふ かな 

          (赤膚の窯の素焼きに物書くとい向かふ窓に近き塔かな)  


会津八一 327

2014-05-06 21:11:37 | Weblog
この日奈良坂を過ぎ佐保山の蔚々(うつうつ)たるを望む
聖武天皇の南陵あり 傍(かたわら)に光明皇后を葬りて東陵といふ   解説

 さほやま の こ の した がくり よごもり に 
             もの うちかたれ わがせ わぎもこ 

         (佐保山の木の下がくり夜ごもりにものうち語れ我背吾妹子)  


会津八一 323

2014-05-02 20:00:52 | Weblog
浄瑠璃寺(第1首)    解説

 二十日奈良より歩して山城国浄瑠璃寺にいたる。寺僧はあたかも奈良に買ひものに行きしとて在らず 赤きジャケツを着たる少女一人留守をまもりてたまたま来るハイキングの人々に裏庭の柿をもぎて売り我等がためには九体阿弥陀堂の扉を開けり 予ひとり堂後の縁をめぐれば一基の廃機ありこれを見て詠じて懐を抒(の)ぶ。

 やまでら の みだう の ゆか に かげろひて 
                ふりたる はた よ おる ひと なし に

              (山寺のみ堂の床にかげろひて古りたる機よ織る人なしに)  


会津八一 322

2014-05-02 00:46:33 | Weblog
十九日室生にいたらむとて先づ桜井の聖林寺に十一面観音の端厳を
拝す 旧知の老僧老いてなほ在り     解説

 さく はな の とわ に にほへる みほとけ を 
           まもりて ひと の おい に けらし も

       (咲く花の永遠ににほへるみ仏を守りて人の老いにけらしも)