すぎなみ民営化反対通信

東京・杉並発。「一人が万人のために、万人がひとりのために」をモットーに本当のことを伝え、共に歩んでいきたいと思います

田中良杉並区長(民主党)の所信表明を批判する(その2)

2010年09月13日 | 杉並田中区政批判

田中(民主党)区政は「最小コストで最大効果」を掲げて自治体民営化-公務員制度解体、職員の総非正規職化をめざしています 

※9月12日の前回記事(その1)からの続きです。

(3)「新しい公共」とは?・・・「最小の経費で最大の効果」「多様な質の高いサービス」「民間団体、民間企業の活力を積極的に活用」

 

 田中区長の実際の所信表明(演説、印刷物)では、この小見出しで紹介している通り、職員削減・民営化・非正規職化で「公共サービス」を行うという基本線でハッキリした表現をとっています。

 田中区長が「区政の重点課題の第一」として「時代の変化に即して新たな基本構想と総合計画を策定します」と言っていること、その中身については、「今後10年後の近未来を見据えた基本構想」と言ってはいますが、さしたる意味がありません。施策課題が並んだだけで、いかにしての問題はすべていまの公務員制度と区役所のあり方等も含めた「行政」の組織的実現手段をぬきにしてはあり得ないからです。

 そこで最大の重点課題としているのが、「第二に、『新しい公共』の発想で区政経営を刷新し、区民との協働を推進します」という点です。

 広報すぎなみ掲載の「概要」では「新たな基本構想と総合計画の策定の中で今後の協働の取組を推進する計画と行財政改革・経営刷新の基本方針を策定し、区民・団体・事業者の皆さまとともに、豊かな協働による地域社会づくりを進めていきます」となっています。

 新自由主義は、公共部門の行革・民営化を「参加と協働」「民間でできることは民間で」といういかにも聞こえのよいキャッチフレーズで説明し強行してきました。ここで「協働」と田中区長が言っている具体的中身は何か?それが本項の小見出しで引用した実際の所信表明演説での「民間団体(NPO法人等)と民間企業の活力の積極的活用」です。すなわち民営化です。

 民営化の動機とは、コスト削減=低コスト化と「住民の福祉」のサービス市場化です。田中区長の実際の所信表明演説では「最小経費で最大効果、多様な質の高いサービス」と言っています。

 「新しい公共」とは、これまで役所が「官」としてになってきた仕事を官民を超えて民間企業や民間団体(NPO法人等)に全面的に開放し、「社会全体」で担うというものです(民主党マニフェスト)。

 役所・制度が主語だとそういうことですが、仕事を実際に担うのは労働者です。「新しい公共」とは、公務員=職員を削減し、民営化・民間委託する、非正規職に入れ替えるということです。ここに田中区政の最大の階級的役割、その本体、核心があります。

 財界や民主党政権、諸野党はこぞって「公務員総人件費2割削減」、そのための2012年度公務員制度改革実施を叫びたてています。公務員のいったん解雇、総非正規職化が狙いです。

 田中区長(民主党)所信表明演説はその先頭に杉並区が立つと言っているということです。民主党が掲げる「公務員総人件費2割(以上)削減」は国家公務員に限っているものではありません。2011年通常国会での国家公務員法改正は自動的に地方公務員法改正に連動します。この公務員制度改革後は、公務員の仕事(「公務」)は「新しい公共」概念のもとに「公共サービスの提供」にとってかわり、民間(民間企業、NPO法人等の民間団体)の事業となり、正規職員の三分の一や二分の一の低賃金の不安定雇用で年金も医療保険もない非正規職とボランティアが担うものとなります。田中区長が所信表明で言っている「『新しい公共』の発想に基づく区政経営の刷新と区民との協働」とは、この自治体=区役所の解体・民営化と経営中枢を除く総非正規職化の攻撃にほかなりません。

(4)杉並版「事業仕分け」の実施、山田前区長が強行してきた外部評価制度の積極的踏襲

 所信表明があげる区政の重点課題の第三点が「杉並版事業仕分け」です。 

 広報すぎなみ掲載の所信表明・概要では「これまでの区政を検証する一環として、行政評価の実績に踏まえ、外部評価の仕組みを一層充実させた区独自の「事業仕分け」を公開で実施し、事業の評価・検証を行っていきます。2010年度は試行実施とし結果を2011年度予算に反映させます」としています。

 

 実際の所信表明演説では「(行政刷新会議の)劇場型仕分けとは一線を画し、既存の行政評価システムの実効性を高める」ということを強調しています。 

 これはどういうことか?前山田区政のもとで行われてきた民間事業化提案制度や行政審査モニタリング委員会等での外部評価システムを強化・拡充し、実効性を高めるとしているのではないでしょうか?田中良が区長選公約以来ィ掲げている「区長直属の特命チーム」に既存外部評価システムがまるごと横滑りする可能性があります。

 事業仕分けとは、①自治体の財政で存続させる必要性が事業に認められるかどうか→認められない場合は民営化、②継続する場合は現在の事業への財政支出そのものを圧縮することが可能かどうか→圧縮はいかなる方法で可能か、給与削減か非常勤化か業務の民間委託化か・・・等々の仕分けが核心となります。

 さしあたって、所信表明ではこれまでの区政の検証と言っており、「区の世論を二分しかねない減税基金条例に基づく基金への積立は差し控える」ことを言明していますが、核心はそこにはありません。

 実際に区の各事業各部署では何が今起きているか?

 「業務の外部委託は可能ではないか。職員の削減はもっとできるのではないか」という職員削減・民営化指針が政策経営部や管理職の系列を通して現場に打診され始めています。田中区政が「管理職、幹部の意見を聴いて進める」という「区政経営の刷新」とは、低コスト化優先の正規職員の削減、民営化・外部委託化にほかなりません。

 それを効率的に進めるために「外部評価システムを充実させ、杉並版事業仕分けを実施していく」と田中区長は言っているのです。当サイトでは行政刷新会議主催の国の「事業仕分け」の実際の仕分人を育成・養成しそのエキスパートやオーソリティになっているのは、南学をはじめとした杉並行政審査モニタリング委員会のメンバーであると繰り返し指摘してきました。田中区長の念頭にある「区長直属の特命チーム」とは、そういう人格を想定していると言ってほぼ間違いないでしょう。

団結して田中良(民主党)区政に絶対反対で闘おう

 

 田中良(民主党)区政との攻防は、「新しい公共」の名のもとに政財界が強行しようとしている自治体の解体・民営化、公務員制度改革=公務員制度解体の大攻撃との激突点となりました。田中区長が「地域の見守りを強化‐医療・介護・福祉‐」「安心して出産できる環境づくり‐子育て支援‐」「全小中学校にエアコン設置」等を「区民が健康で安心して心豊かに暮らすことができる施策」として掲げながら、実際に実施しようとしている最大の「重点課題」「経営刷新」とは杉並区職場に働く職員に対する職員削減、民営化、総非正規職化、区職場に働く全労働者に対する超低賃金化です。

 先日全国都道府県の最低賃金(時給)が発表されました。

 東京都の最低賃金はこれまでで最大の引き上げ額で30円上がっても時給821円です。因みにこの杉並の図書館に指定管理者制度が導入されてそこで働く非正規職の時給はその最低賃金(時給)そこそこのものです。司書であってもそれにプラス10円といったものです。山田区政のもとで決定した指定管理者制度の図書館全館移行ですが、田中区長がこれをそのまま実施し2010年度6館実施に続き残りの6館にも拡大するのは目に見えています。12図書館まるごと民営化という大規模で区民・利用者に甚大な影響が出てくる区政運営上の大問題でありながら、減税自治体構想の場合のように見直しいったん実施を差し控えると言わないのは田中区長がこれを積極的に評価・継承しようとしているからです。 

 田中区政は区職の民営化・非正規化で労働者を際限なく超低賃金にすることを「最小経費で最大効果」と言って目標にしています。「新しい公共」のもとでもたらされる事態とはそういうことなのです。区でこの攻撃の矢面に立たされている区職(正規・非正規)8000名の労働者が声をあげ団結してたちあがるべき闘いのときが来ました。この闘いは区職労働者の闘いにとどまりません。全住民の闘いです。自治体に働く労働者が暮らしていけないような賃金等の労働条件を強いられるとき、そこに「住民の福祉」があろうはずもありません。

次回= 田中良(民主党)区長の所信表明を批判する(その3)に続く。

 ★次回からは、この秋、残る6館の指定管理が強行されようとしている図書館の問題を中心に具体的にお伝えしていきます。所信表明で田中区長が施策面で重視して掲げている杉並版の幼保一体化施設「子ども園」の問題や見直しに言及している学童クラブ・児童館の問題についてもお伝えしていきたいと思います。区の職場で働く労働者にとっても、地域の労働者住民にとっても、区職場=現場こそが田中区政との攻防となるからです。

 

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