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すぎなみ民営化反対通信

東京・杉並発。「一人が万人のために、万人がひとりのために」をモットーに本当のことを伝え、共に歩んでいきたいと思います

杉並・田中新区政との闘い、公務員攻撃めぐる激突の階級的意義(1)

2010年08月12日 | 杉並区政と区職労働運動

「財政危機」は公務員のせいか?

・・・「財政再建」デマ掲げた公務員攻撃打ち破ろう

 杉並・田中新区政「10年ビジョン」「杉並版・新しい公共」「事業仕分け」の三つの政策を掲げ、そのために区長直属の「特設専門チーム」を設けその実施施策を策定・執行しようとしています。田中が都議会議長を辞して「民主党のエース」として杉並区長に菅民主党から抜擢されたこと、菅民主党政権「新しい公共」「戦後行政の大掃除」「税金のムダ遣いの根絶」「公務員総人件費2割削減」等を政策の柱として公務員攻撃に最大の力を注いでいることは参院選から臨時国会所信表明の過程でご存じの通りです。杉並区長として田中良が「杉並版・新しい公共」というとき、この民主党政権の公務員攻撃の先頭に新区政を位置付けていることは明らかです。

 そこで菅民主党がそれを全政策の突破口とし基軸としようとしている公務員攻撃からまず見ていきたいと思います。結論的に言って、菅首相がしばしば強調している「このままではギリシャのようになる」という政財界の危機感は、「財政破たんか財政再建か」という以上に、国家統治の危機の中で燃え上がっていく労働運動を主力とした反政府闘争の永続的発展、その阻止に照準があります。

 昨年8・30衆院選以降の政治過程がまざまざと示している統治の危機とは何に核心があるのでしょうか?強固な政府と権力政党を持ち合わせないままに、世界恐慌の拡大の中で二進も三進もいかない経済危機と空前の財政危機に悶々とする日本の支配階級にとっての最大の脅威は、労働者階級の生きんがための反乱がギリシャのように燃え上がっていくという一点にあります。

  (ギリシャの場合もそうですが)「財政危機」を公務員制度と公務員労働者のせいにして槍玉に挙げ、「財政再建」を掲げて公務員制度改革と公務員労働者への大量人員削減、全面給与カットの公務員攻撃を強行しようとしていることに対して、このデマゴギッシュな扇動と攻撃の構造を全面的に暴露し批判しつくして打ち破る必要があります。公務員攻撃の核心は労働運動の一掃です。民主党政権が連合指導部を使い、全政党が翼賛的に束になって強行してくる公務員攻撃(国と地方自治体にわたる公務員削減・公務員給与カット、公務員制度改革)に対して反対していく場合にこの視点と認識が重要になります。

 今回はまずこの点を中心に見ていきます。

 財政危機と財政再建の議論をめぐって

 確かに、日本の財政危機は未曾有の深刻なものです。これは言を待ちません。

 対GDP比200%になんなんとする政府債務残高は世界最悪。税収をついに国債発行額が大きく上回った。企業であればとっくに破たん・倒産している。

 ギリシャ危機の打開、ギリシャ危機の波及・世界化の阻止のための首脳会談で全参加国に財政再建の数値目標や政策目標が「取り決め」されたが、日本だけ例外として国際的目標から外された。それは、日本国債を購入しているのは9割方国内投資家であり投機にさらされるリスクが低いからというようなものではまったくなく、日本の財政危機の深刻さが、解決・再建への数値目標を立てようにも立てようがないほど絶望的に出口がないものだからだ。

 日本国債のバブルとその炎上・崩壊についていえば、120兆円規模の投資ファンドを保有・運用し、ギリシャをターゲットにぼろ儲けに売り抜けた何とかいうファンドには、「SPIIGs(※スペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ)が《炎の環》の中にあるだけではない。アメリカも日本もその《炎の環》の中にある」「次はどこか?日本は狙い目」とあからさまに言われている(テレビ東京「ガイアの夜明け」)。

 長期金利(10年国債)もつい先日1%を割ったばかり。為替は1ドル84円台の円高に振れ、いっそうの円高に進む可能性が高い。ギリシャ・欧州危機、アメリカの景気減速のもとで、《消去法》で円と日本国債に市場のマネーの流入が強まっている。この「日本買い」は言うまでもなく「日本(経済・財政)の強さ」の表れではまったくない。株価の下落が示している。格付け機関は日本国債の格下げの方向で検討している。別にここでファンドや格付け会社の肩を持っているわけではない。要は日本の財政危機はすさまじいということ。現実味を帯びている国債バブルとその崩壊から国債暴落の道行きは国家としての日本の文字通りの沈没。日本の「国際的信用」は崩れ去る。日本政府に対する国民の「信頼の最後のひとカケラ」も砕け散る。

 むろん、政財界は、だからこそ「このままではあと2年ももたない」とわめき散らして「財政再建」に躍起になっています。だがそもそも問題となっているのは果たして「黒字化」や「再建」が可能なような規模の債務残高なのでしょうか?

 既に堤防は決壊し、日本の財政は破たんしている。この財政危機は、1000兆円を超える債務残高をみても明らかなように、消費税の大増税や公務員の人員削減や給与カットなどでとうてい解決されるようなものではない。逆立ちしても「正常化」や「再建」など不可能な天文学的な借金財政(財政出動=国債発行)を国家の基本政策として繰り広げてきたということです。

ぜんぶ資本家のせいだ!公務員のせいにして労働者を犠牲にするな。政府と資本家こそ退陣しろ。

 ハッキリさせなければならないことは、この財政破たんの危機は公務員労働者のせいか、ということです。とんでもないデマです。

 政府も政党も公務員の数が多すぎる」「公務員の人件費が高すぎる」というが、国の年間予算の10倍を超え、国のGDPの2倍にも達するような桁外れの債務残高が、たかだかの公務員人件費で積みあがったとでもいうのでしょうか?

 「税金のムダ遣い」というが財政赤字にしても債務残高拡大にしても、公務員人件費に税金を回し過ぎたために生じたとでもいうのでしょうか?

 冗談じゃありません!財政赤字も債務残高の拡大も、借金(国債発行)の野放図な拡大によって銀行や大企業の救済・支援のために湯水のように公的資金の注入を繰り返した結果もたらされたものではないですか。 

 実際この10年間、20年間というもの、クビきり・リストラと非正規化で大失業と貧富格差を極限まで拡大して得た利潤を元手に、企業と銀行は金融バブルで巨利を貪ってきた。それが行き詰るたびに国家の名において資本家支援の借金(国債)を乱発・増発してきたのが政府だ。あげく国家として政府として財政破たんに行き着いた。これが財政破たんにかかわるすべてです。

 財政危機、財政破たんでをめぐる議論でつきだされるべき問題とは何か。全部、政財界=支配階級のせいだということです公務員のせいではない!労働者に責任をなすりつけて労働者を犠牲にするな!ほかでもない、このことにほかなりません。

 財政破たんは私たちのあずかり知らぬことです。私たちにはこれっぽっちも財政破たんや財政危機の責任はありません。政府が破たんしようが私たち労働者人民がその破たんした政府と資本家の道連れにならねばならぬいわれはありません。

 政府と資本家こそ、この社会の支配、経営、運営から退場しろ、ということです。政府の緊縮財政策と公務員攻撃に対して官民2大労組を先頭にゼネストと反政府闘争に立ち上がっているギリシャの労働者が切り開いている闘いこそ、私たちが「財政再建」を掲げた公務員制度改革・公務員攻撃に対して進むべき闘いを示しています。

 ※次回に続く。数回にわたります。公務員攻撃をめぐる攻防が労働運動の岐路となっているという主題に入っていきます。▲いま公務員攻撃がもっている位置、▲民主党政権の公務員制度改革、▲公務員攻撃の先兵=杉並・田中区政との闘い等々についてお伝えしていきます。

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田中新区政の労働組合政策と杉並区職労の一体的翼賛化

2010年08月08日 | 杉並区政と区職労働運動

 杉並・田中新区政を考える場合、議会(会派)の翼賛化とともに、それ以上に大きな意味を持っているのが、首長権力の足下の区職の労働組合=杉並区職労に対する政策であり、これに敏感に対応しようとしている区職労指導部とりわけ区職共産党の動向です。田中良が新区長になった杉並区長選に先立って行われた6月24日の杉並区職員労働組合の組合大会は、そこでの出来事が特徴的なだけに、公務員攻撃の最先兵として登場している田中新区政との関係で非常に重要な意味を持っています。

杉並区職労6月組合大会での特徴的出来事とは?

  「特徴的」と申しましたが、区職労の翼賛化、区職共産党が牛耳っている区職労指導部が田中新区政に対して今後どういう関係性を路線的にとっていこうとしているのか、という方向性を予知させるような特徴的な出来事が、この杉並区職労の組合大会をめぐって起きているということです。

 

(1)田中良との政策協定

 杉並区職労の6・24組合大会では、東京清掃、清掃労組が発言し、「田中良との政策協定」を公表し「次は杉並区職労の番だ」という趣旨の発言をしています。

 東京清掃がクビはきらないと約束した」という田中良「確約」は、清掃労組が田中区政となった場合に田中新区長の施策には抵抗・反対したりは決してしないという「労使一体化」の「誓約」と表裏の関係、その片方を現しているにすぎない。

 「清掃に続き、次は杉並区職労として政策協定を実現すべき」という趣旨の清掃労組の発言に区職労執行委員会は「沈黙」しているが、判断停止や留保ということではない。このような「政策協定」発言を予め知りながら行わせたということは黙して「了解」し、「支持」しているということ。組合大会での「清掃労組の田中良との政策協定」発言を介して、実は杉並区職労としての田中良へのサインを送っているということにほかならない。

 本質は、杉並区職労と田中新区長との労使間政策協定、区職労指導部(主流派・区職共産党)が完全にそういう考え方をもっていることにあります。

(2)「4・9国鉄1047名問題和解案」受け入れの国労からの報告

 杉並区職労の6・24組合大会では国労が「4・9国鉄1047名問題和解案」の受け入れについて報告しています。

 単に国労から報告があったということではもちろんない。政府の「和解案」を4者4団体と国労が全面的に受け入れたことを正当化し意義付ける発言、杉並区職労に対して路線的支持・積極的賛同を求める発言だ。組合大会で国労に報告させたということ自体、杉並区職労指導部は組合として国労中央と4者4団体の4・9政府・公明党「和解案」受け入れを支持し賛成したということだ。

  「いっさいの訴訟の取り下げ」「今後二度と不当労働行為、雇用の存在を争わない」「今後いっさいの経済的支援援助を行わない」「JR採用については保証できない」「これらすべてを正規に機関決定すること」という条件をすべて認めて国鉄1047名解雇撤回闘争を解体・終焉させようとしたのが政府「和解案」。謝罪もなければ解雇撤回もなしに、この「和解」条件をのんで「和解案」を受け入れたのが国労。この国労報告を区職労が組合大会で認めた。

 杉並区職労指導部として今後国鉄1047名闘争のようなことは絶対にやらない、前掲下線部のような労働争議や労働運動のありかたを「労働運動の未来を指し示す」ものとした4・28都労連コメントの立場に立ったということです。

 ※ 当サイトでは、杉並区職労6月組合大会を前にして10回のシリーズで課題と問題点について特集でお伝えしています。その⑨に「杉並区職労が都労連コメントの立場をとることは絶対に許されない」があります。詳しくは以下をクリックしてごらんください。

     http://blog.goo.ne.jp/suginami-no-2/d/20100611

(3)区職共産党は組合大会を前に「犠牲者救援基金の廃止」を考えていた

 区職執行部段階で政治判断で撤回されたために表面化していませんが、この6月組合大会に向けて区職労執行委「主流派」(区職共産党)は犠牲者救援基金の廃止、その組合予算の削減を考えていました。

 組合大会を前にして区職共産党が「もう要らないだろう」と犠牲者救援基金の廃止を執行委員会で言いだしたのは決して思い付きや軽はずみということではない。批判され粉砕され断念したとはいえ、絶対反対の批判を浴びても「継続討議」にしたのであり、後に政治判断から引っ込めたに過ぎない。批判を浴びなかったら組合大会に執行委員会の議案として出して実際に犠牲者救援基金を廃止するつもりだったということだ。意味は明瞭、処分がでるような闘争はしない、その組合方針に反して行われた闘争で処分等犠牲者が出ても組合としては救援しない、つまり闘わない組合にするということと一体だ。これが「もう要らないだろう」と区職共産党が言いだした犠牲者救援基金の廃止の基本内容だ。、

  前記の(1)「田中良との政策協定」と(2)「4・7国鉄1047名解雇問題・和解案受け入れの国労報告」と合わせて、この(3)「犠牲者救援基金の廃止」の意味を考えてみれば、区職共産党がどういうことを考えているか、区職共産党が区職労全体、区職場の正規・非正規8000労働者をどのような道にひきこもうとしているかは明白ではないでしょうか。

 これは労働組合が、労働者にとって生きんがための団結と闘いの武器である労働組合の意義と使命を自ら否定し、完全に投げ捨て、労働組合を労働組合ではないもの、労使協調機関に変質させてしまうことにほかなりません。

《翼賛化》は田中新区政の「強み」ではなく弱点と危機。私たちの怒りがすべてを決する!

 杉並区職労の6月組合大会をめぐってのこのような出来事は、田中新区政を主語にして言えばどうなるか。田中良新区長は、議会を牛耳るとともに、行政の足もとであり担い手である区職の労働者支配のために労働組合を完全に支配し、労働者がどこからも抵抗も反乱も起こしえないような権力的支配関係を区職場に形成しようとしている、それが何としても必要だと考えているということではないでしょうか。田中良新区長が重視して行おうとしている「職員(と区民)からの意見聴取」と「政策調整」「政策協定」はその一点のための政治手法にほかなりません。

  田中良は、「税金のムダ遣いの根絶」「財政の健全化」「新しい公共」「公務員制度改革」「公務員給与2割削減」等々をマニフェストとして掲げる菅民主党から杉並区長候補に東京都議会議長の地位を返上するまでして抜擢されて「民主党のエース」として杉並区長になった。最初から公務員攻撃のぶちぬきのために据えられたのが民主党・田中区長。前山田区長が東京のみならず全国でも例がないやりかたで「10年間で1000名の職員定数削減、6割の民営化、区債残高ゼロ」の杉並行財政改革を先行させているだけに、民主党擁立の区長が当選したという選挙結果だけではすまされない、「東京・全国の決戦的な焦点」としての公務員攻撃の質量が田中新区政に求められることとなっています。これは田中新区政にとっても生半可なことではないはずです。 

 そしてもう一つ。民主党が頼みとする連合の指導部・組織には昨年8・30衆院選で示したような「力」は今ありません。ハッキリ言って、昨年衆院選での集票・得票率に比べて、7月参院選では集票・得票率が激減しているように連合は瓦解寸前であり、とりわけ東京自治労はガタガタです。そういう連合による労働者支配の危機の進行の中で、田中新区政が強行しようとしている「東京・全国の決戦の焦点」=杉並における公務員攻撃にとって絶対にクリアしなければならない関門として、労働組合・杉並区職労を公務員攻撃の全面的協力者にするという問題が死活問題になっているということです。

 田中新区政が「盤石」で「万能」だから議会(会派)の翼賛化・与党化が進行し、区職労の指導部(区職共産党)の田中新区政との翼賛的一体化が起きているのではないということです。私たちは「政策協定」や「職場・職員からの意見聴取」、「組合指導部との合意」によって現場の労働者がコントロールされ田中新区政による職場支配が円滑に行われるなどとはまったく思いません。前掲(1)(2)(3)のように新区長になった田中良という首長権力に自覚的意識的に一体化すべく労働組合の指導部の側(杉並区職共産党)が労使協調化志向、翼賛化志向を募らせているという点は、田中新区政の「強さ」を意味するものではなく、まったく反対に、田中新区政の弱点、脆さ、危機を構成するものとなってくるということです。

  そもそも労働者の怒り、労働者の闘いというものは、組合の指導部が敵の側に回ったからといっておさまるようなものではない、おさめることができるようなものではまったくないからです。公務員攻撃をめぐる攻防で血が流される修羅場は翼賛議会の議場や労使政策協定の密室の交渉や会議ではない。修羅場は労働者が働く職場、現場です。そこで生活と将来、労働者=人間としての誇りをめぐって血が流されるからです。

 この点で、▲組合大会で、区職労執行部の図書館全館指定管理=2011年度6館指定管理移行に対する組合方針(「10月をメドに検討委員会をつくって検証を行う」)に対して代議員から「それでは間に合わない」「遅すぎる」という意見が出されたことや、▲田中新区長の「職場意見聴取」に対して「民間委託には反対する」という職場意見が出されはじめていることは、きわめて重要です。口火は現場から、職場から切られつつあります。これは田中新区政に対する闘いが始まっているということです。

 田中新区政がめざす「杉並版・大政翼賛会」は私たちの怒りの噴火をおさえこむための防圧体制を狙いとするものではあっても、そもそも火山の噴火というものは何人にも阻むことができません。前山田区政のもとで積もりに積もった正規・非正規8,000名の労働者の怒り、私たちの怒りと、田中新区政が強行しようとしている公務員攻撃は全く相いれるところがないからです。

※ 次回に続く。

  次回から、何回かに分けて杉並・田中新区政=公務員攻撃との闘いの意義》、労働運動、労働組合の岐路ということについてお伝えします。公務員攻撃が、空前の財政破たんの危機から必然化しているという面とともに、根本に労働運動・労働組合の潰滅・一掃なしには国家統治が成り立たず資本主義として崩壊するという点から必然化し決戦化しているという面が重要と考えています。公務員攻撃とは労働組合潰滅・労働運動一掃攻撃だということ、これをめぐって必ず闘う労働組合の再生と労働運動の復権の闘いが燃え上がるのだということです。

 

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図書館指定管理で「第三者機関設置」労使交渉妥結のウソが組合大会でも明らかに

2010年07月25日 | 杉並区政と区職労働運動

公務員攻撃の最先兵・田中区政との激突へ!

昨秋6館に続く今秋図書館6館指定管理制度導入を阻もう!

  6月24日の杉並区職労の組合大会における議論に意義あるものがあったとすれば、それは百数十名の代議員の中から、杉並区の図書館全館指定管理を「第三者機関の設置」で区職労が丸のみした昨秋10・22労使交渉妥結にストレートに疑問を投げかける発言があり、質疑応答が交わされたということではないでしょうか? 

 今秋9月には区は高円寺・西荻・柿木・今川・下井草・南荻窪の6地域図書館の指定管理者を公募します。昨秋の6館の場合には9月公募、10月第一次業者選定、11月第二次(最終)選定、11月議会決議で指定管理者が決められ、今春4月1日から指定管理館として民間企業による管理・運営が始まっています。区は既定方針として昨秋に続いて残る6館(上記)の指定管理を強行してきます。田中新区政は、一年間を山田前区政の検証と位置付けていますが、今秋6館指定管理者制度導入をめぐる闘いは、その田中新区政との最初の重大な対決課題となります。

 その意味でも6月組合大会の場で、昨秋10・22労使交渉妥結に基づいて「10月をメドに検討委員会をつくる」という組合の図書館指定管理に臨む「方針」に対して代議員から「そんなことでは間に合わないのではないか」とする発言があった事実は重要です。

≪そもそも昨秋10・22交渉妥結とは?≫

 ①区は昨年6月、一方的に区の地域図書館12館全館の指定管理者制度導入を2010年度・2011年度に実施すると決定し、9月4日には、そのうち阿佐谷・成田・高井戸・宮前・方南・永福の6館を2010年度実施分としてその指定管理者を公募しました。

 ②9月17日、24日、10月1日、8日、15日と労使交渉がもたれていましたが、10月21日に区は上記6館の指定管理者の第一次業者選定を行い、12館全館指定管理者制度導入の既定方針の強行に踏み切りました。

 ③この10月21日の指定管理者第一次選定の翌日の10月22日に労使交渉は妥結しました。区職労の10・22交渉妥結に関する経過説明は『図書館行革提案について妥結する』(組合機関紙・杉並区職労2009年10月29日(木)第10号)として組合員・職員に対して報告されました。それによれば「妥結」の核心は「区から第三者機関の設置と運営の実態の検証という考えが示された」という一点にあり、「この回答を受け、組合は地域図書館全館に指定管理者制度導入により運営していくことについて納得できるものではないが、『第三者機関の設置』『中央図書館の機能の充実と現場意見の尊重』という点で区の考えが示されたことを踏まえ、次の点(※)を確認したうえで『妥結』した」というものです。【※「確認事項」については、組合大会での代議員の質疑と執行部の応答に関係してくるので後で引用します。】

 ④この「10・22交渉妥結」については、上記組合機関紙でどのように説明されていようと、図書館分会ダラ幹指導部や区職労執行委員会「主流派」(区職共産党)がその説明をどのように粉飾しようと(10・21業者選定と10・22妥結の経過が示すように)、区による図書館指定管理制度導入を無条件に全面的に受け入れ屈服したという事実以外の何ものでもありませんでした。区職労執行委の会議の場でも絶対反対・白紙撤回の意見が出され紛糾し続けており、図書館現場でも反対意見があり職場討論が尽くされておらず、住民の反対運動がまきおこりつつありました。議会でも反対・見直しの議論で紛糾していました。この渦中で「10・22交渉妥結」が行われました。明確な反対闘争の収拾であり、屈服であり裏切りでした。

 ⑤区職労執行委「主流派」(区職共産党)は、この「10・22交渉妥結」について、「第三者機関が設置され、導入後の運営の実態が検証されることによって、指定管理者制度での運営の継続を見直させ、次の2011年度の6館に指定管理者制度を導入するかどうかということも見直させることができる。これで阻止の展望が見えてきた。来年は阻止だ」とあたかも「第三者機関設置」が対区交渉の成果であり、2011年度残6館導入阻止の土台を作ったものであるかのようにデマで大粉飾して吹聴していました。

 ⑤はこの区職労が言っている「第三者機関設置による妥結」に関しては、議会答弁等で「交渉で第三者機関についての議論はあったが、組合との交渉での合意とか妥結によるものではまったくない。そもそも第三者機関を設置するかどうかも区が決定することである」と言いきっています。経過としては、図書館分会の側から10月1日の労使交渉で「今後の図書館のありかたを検討する協議の場」(検討委員会)を要求したが区からはその場で一蹴されるという経過はありました。そして区と対立することを恐れて指定管理者制度導入に絶対反対・白紙撤回とは口が裂けても言えず、「今後の図書館のありかたを検討する協議」の要求しかできない組合側の足元を区は完全に見透かして、組合をタイムテーブル通りに指定管理者制度導入の協力者として引きずり込むために「第三者機関の設置の打診」を行ったのです。高まり始めた反対闘争と執行部会議での絶対反対派の追及に追いつめられ、グラグラになり窮地に立っていた区職労執行委「主流派」(区職共産党)は、この「第三者機関の設置」に飛びつき、反対闘争収拾のために「交渉妥結」をはかった・・・・・これが真実でした。

区職労「主流派」(共産党)も図書館分会ダラ幹も「第三者機関による指定管理者制度実施の見直し」など考えてもいない!

・・・・組合大会での質疑応答が示すもの

 6月24日の杉並区職労の組合大会での図書館指定管理をめぐっての質疑応答は、大旨以下の通りです。

 代議員:2011年度の6館の指定管理者制度導入の問題がある。図書館全館指定管理に対して組合としてどうするつもりか。

 執行部10月をメドに検討委員会をつくって、検討委員会で検証を行う。

 代議員:それでは遅すぎるのではないか。(10月には指定管理者の事業者選定に入っている。)10月では間に合わないのではないか?

 執行部事項によっては間に合う

 「事項によっては間に合う」?!「事項によっては間に合う(事項もある)」とは「事項によっては間に合わない事項がある」ということではないか。

 (1) ここでは「10月」という時期をめぐって「間に合う」「間に合わない」という議論が行われています。「10月」とは昨秋10・22妥結に際しての確認事項として前掲の組合機関紙・『杉並区職労』が明記している②項第三者機関による評価は一定期間経過後(6月程度経過後)に行う」に基づく時期であり、4月1日指定管理実施後6カ月経過後としての10月です。同時に10月とは昨年の経過を見れば明らかなように、指定管理者の業者選定の時期です。

 (2) 「事項によっては間に合う」という執行部発言は、昨秋同様の10月の指定管理者企業の選定、すなわち2011年度の残6館の指定管理者制度導入を前提にそれを受け入れ容認することを前提としているということです。「運営の実態を検証することによって指定管理の継続を見直す」「次年度の6館の指定管理者制度導入を見直させる」ことなどもともと毛頭考えていないということを自己暴露したものです。

 (3) 前掲の組合機関紙・『杉並区職労』が明記している③項は「図書館の2011年度実施の扱いについては、第三者機関の報告後、柔軟に対応する」というものです。「事項によっては間に合う」すなわち「事項によっては間に合わない事項もある」という執行部の見解は、この③項に関係してきます。

 執行部が組合大会で示した見解は「10月をメドに検討委員会をつくって、検証をはじめてもその報告が出る頃には(2011年4月1日指定管理移行の)6館は既に指定管理館として稼働してしまっているので、見直しには間に合わない」ことを自認したということ、そのことを開き直って明らかにしたということです。「事項によっては間に合わない事項もある」ということの核心はここにあります。

 (4) 執行部が組合大会で示した見解で、執行部は注意深く「第三者機関の設置」という表現を用いず、「検討委員会をつくる」という表現をとっています。「10月をメドに検討委員会をつくり検証する」と表現としては組合機関紙・『杉並区職労』で報告した「妥結」の際の確認事項②をなぞった表現をしていますが

「(区による)第三者機関の設置と運営の実態の検証」(組合機関紙『杉並区職労』)

「(組合として)検討委員会をつくって検証する」(組合大会での執行部見解)

 両者はまったく違います。執行部見解でこのように言い変えたということは、昨秋の労使交渉で「第三者機関設置」で区と組合が妥結したという事実もなかったということにほかなりません。「検討委員会による検証」を方針とすることは、昨秋10・22交渉妥結の「条件」である「第三者機関の設置」が図書館分会ダラ幹と区職労執行部「主流派」(区職共産党)が作出した政治的デマであることを自認したに等しいものです。そして想起する必要があります。そもそも「検討委員会による検証」とは、昨秋、図書館分会が区に対して要求し歯牙にもかけられず一蹴された事項(「今後の図書館のありかたに関して検討する協議の場」の要求)だということです。

 (5) ここから浮かび上がってくる明瞭な結論は何でしょうか?図書館分会と区職労執行委「主流派」(区職共産党)には、今秋強行されようとしている6館指定管理者制度導入に反対する気などさらさらない、それを見直させるような交渉を行うつもりなどまったくないということです。昨秋の労使交渉の時点でもそうだったということです。

 (6) 『図書館行革提案について妥結する』(組合機関紙・『杉並区職労』)や区職共産党の「第三者機関の設置と運営の検証で2011年度導入を阻止できる」の吹聴は、ことごとくデマであった、ただただ反対闘争を収拾するためにのみ、その一点で作出されたデマだったということ、このことが確定しました。

 (7) 区職労執行委「主流派」(区職共産党)と図書館分会ダラ幹の裏切りを弾劾し、今秋6館指定管理者制度導入阻止へ、図書館全館指定管理に絶対反対の闘いを図書館職場、区職現場からつくりだそう。

杉並区職8000労働者の怒りの総反乱を

 この図書館全館指定管理の攻撃は、菅民主党政権が強行しようとしている公務員攻撃と一体の攻撃です。指定管理者制度=まるごと民営化を通して、区職に働く労働者をことごとく時給800円台の超低賃金と不安定雇用の非正規職にする攻撃であり、正規・非正規、常勤・非常勤、公務員・民間の区別なく労働者をおしなべてワーキングプアに叩きこみ、無権利化する攻撃にほかなりません。区職労執行委「主流派」(区職共産党)と図書館分会ダラ幹指導部がこの攻撃の先兵になっています。労働組合も職場も労働者のものです。私たちは声をあげ、絶対反対で団結することで組合と職場をつくりかえることができます。

 6・24杉並区職労組合大会における前掲代議員発言は現場の職員、現場の労働者の怒りと反撃の闘いをおさえこむ区職労執行部への区職8000労働者の批判と反乱のささやかな、しかし大きな口火にほかなりません。裏切り者をのりこえ、闘う労働組合の再生をかちとろう。杉並区職は公務員攻撃との最激突のメッカになろうとしています。4・9「国鉄1047名解雇問題・和解案」を拒否し、国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回・職場復帰の闘いを闘う動労千葉争議団、闘争団労働者と連帯し、新たな労働運動をめざして闘おう。

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杉並区職労6月組合大会(⑩)共産党は「普天間基地の無条件撤去」論でごまかすな。

2010年06月20日 | 杉並区政と区職労働運動

名護市辺野古新基地阻止、「基地撤去、日米安保体制をつぶせ」の闘いこそ私たちの菅民主党政権への回答、「普天間」問題の核心

  米軍の銃剣とブルトーザーで土地と農地を奪われ基地支配に組み敷かれて65年。米兵犯罪と事故の恐怖と不安にさらされ続けて65年。1972年5・15以来38年。「施政権返還」とは名ばかり、核と基地が居座り続ける沖縄の現実に対する沖縄県民の怒りが、この現実をさらに今後50年も恒久的に継続するという米軍再編と安保・沖縄政策に対して基地撤去の闘いとして押しとどめようもなく燃え上がるのは当然です。

  沖縄県民の基地撤去の要求を選挙めあてで利用し「米軍普天間基地の国外移設・県内移設」を昨年衆院選の公約として掲げて自民党にかわり政権に就いたのが民主党鳩山政権でした。しかし沖縄米軍基地の安全保障上の戦略的位置・機能と日米同盟関係の維持を理由に、鳩山政権は公約を完全に反古とし、沖縄の「絶対反対」「基地をなくせ」の声と闘いを踏みにじって名護市辺野古新基地建設で日米合意を強行しました。鳩山首相が沖縄を先頭とする労働者人民の怒りで辞任に追い込まれ政権が崩壊したのは当然です。

  首相が代わり菅政権になったからといって、沖縄県民を先頭とする基地撤去の闘いと日米政府の安保・沖縄政策との非和解的対決構図は何ひとつ変わりません。「日米合意に基づいて、沖縄の負担軽減に全力を尽くす」というのが菅首相の所信表明、民主党の参院選公約です。これほど沖縄県民、労働者人民の怒り、意思を愚弄し、蹂躙するものはない。「普天間」で支持率の急落をあおって鳩山退陣に一役買ったマスメディアが、菅政権に代わった瞬間、「普天間」を封印し菅政権・民主党への支持率のV字回復を演出している茶番も許せない。菅民主党政権をたおせ。6月23日の菅首相の沖縄訪問を迎えるのは沖縄の怒りの爆発です。

社民党が「普天間」問題で果たした「鳩山の共犯者」の役割

  「普天間」問題の非和解的な対決構図がこの上なく明瞭になっている現在、昨年衆院選で民主党があざとく沖縄を利用したように、7・11参院選で「普天間」問題を選挙の票めあてのためにのみ利用する政党があります。その主張はこの非和解的対決を混濁させ闘いを裏切り妨げる以外の何ものでもありません。社民党であり、日本共産党です。

 「最低でも県外移設という公約を破って日米合意する」ことに「反対」で連立政権から離脱した福島瑞穂・社民党。だが社民党が「意地を示した」「筋を通した」などというものではない。福島瑞穂は「辺野古のオジイ、オバア、住民のことを思うと恋々と政権内にとどまることはできない」と「罷免」「政権離脱」を「義挙」にみせかけたが、党内議論で明らかなように「非難ごうごうの鳩山政権の泥船で『普天間県内移設の共犯者』として社民党が消滅してしまうより、離脱して『反対』した方が選挙で票が取れる」という政治判断によるものでしかありません。そもそも民主党の「県外移設・国外移設」論の手先になって「基地の受け入れ」を求めて奔走し、他に犠牲を転嫁し、労働者人民の闘いを分断しようとする最悪の役割を果たしてきたのが社民党です。

「辺野古新基地反対」の一言もない共産党の「普天間」政策。

オバマや米国務省に「撤去要求」を伝えることが基地闘争か?!

 日本共産党はどうか?杉並区職労の組合権力を牛耳っているのが区職・共産党です。

  「普天間基地『無条件撤去』こそ解決の道」「基地あるがゆえの苦しみは日本のどこに移しても同じ」「移設先さがしではなく無条件撤去」と社民党の「県外移設」を意識し、日本共産党こそ“真っ当に反対”を貫いているかのように言っていますが、「普天間基地の無条件撤去」を参院選の同党の(「消費税増税反対」と並ぶ)売りにしているだけです。

 日本共産党の「普天間」政策の正体は、次の二点にあらわされています。

  (1)「普天間基地の無条件撤去」と言いながら、普天間基地の移設として日米政府が合意し強行しようとしている名護市辺野古新基地建設に対し一言の反対・阻止の表明もない。沖縄の労働者住民の闘いは普天間基地の即時閉鎖・撤去であり、辺野古新基地に対する絶対反対・阻止です。沖縄県民が求めているのは基地撤去そのものです。基地など要らない、絶対ノーということです。それは全国そして全世界の労働者人民の願いであり闘いです。1996年日米政府合意に真っ向から対決して現実に血を流して14年間の新基地阻止の闘いを闘いぬいている名護市辺野古の闘いをぬきにしたところで、どこに「無条件基地撤去」があるというのでしょうか。

  日本共産党が6月18日に発表した『参院選公約(“アメリカ・財界のいいなり”から「国民が主人公」の政治への転換を)』では、「名護市辺野古に米海兵隊の新基地をつくるという最悪の案になりました」「沖縄県名護市の辺野古に巨大な米軍新基地を建設」「巨大基地の建設を押し付けておいて『負担軽減』と言ってもむなしいだけです」「沖縄での世論調査でも辺野古移設に反対が84%で普天間基地は『無条件撤去』が38%」と述べているが、日本共産党の態度・方針として「辺野古新基地反対・阻止」は表明されてはいない。志位委員長ら共産党幹部はしばしば名護市辺野古の集会を「激励」と称して訪れているが、にもかかわらず参院選公約や政策集で「辺野古新基地反対・阻止」とは言わない。選挙リーフレットである『しんぶん赤旗』や『東京民報』では「普天間」は書いても「名護市辺野古新基地」についてはいっさい触れていない。労働者人民の決起こそが基地を撤去するという考え方がまったくないということです。

 (2) では日本共産党の言う「基地の無条件撤去」とは何か。「日米合意の白紙撤回、無条件撤去を求めて本腰の対米交渉を始めるしかない」「米国政府に沖縄の声を伝える」「基地のない沖縄、対等・平等・友好の日米関係を願う沖縄県民、日本国民の声を直接、米国政府と議会に伝える活動に取り組む」(前掲『参院選公約』)ということに過ぎません。これが「アメリカにモノを言う」と言っている日本共産党の「普天間」政策であり「安保」政策のすべてです。「モノを言う」とは「抗議」ですらありません。

 日本共産党はアメリカ・民主党オバマ政権を歓迎し、オバマの「核兵器の廃絶」プラハ演説を絶賛してきた。しかし、大国による核支配を正当化し、アフガン増派を強行し、イラン・北朝鮮への侵略戦争を準備しているのがオバマ政権。今後50年以上の日米同盟関係の堅持・深化とそのための沖縄核基地・恒久基地機能の拡大を打ち出し、名護辺野古新基地建設での2006年合意の確実な履行を求めているのがオバマ政権です

 日本共産党の「軍事同盟は時代遅れで全世界で解消の方向にある」という認識と「事実と道理に基づいて(アメリカ政府に)働きかけ意見交換していく」という政策がどれほど無意味で、「帝国主義(者)の理性と良心」に「戦争と平和」の問題のすべてを預ける帝国主義の美化であるかは明白です。

  アメリカのベトナム侵略戦争は外交交渉や対話、アメリカの理性で終焉したのか。米軍を敗勢に追い込むベトナム人民の不屈の闘いとアメリカ国内の反戦闘争、アメリカの侵略戦争をその出撃基地として支えた沖縄・本土の反基地・反戦闘争、すなわち労働者人民の決起が米軍に撤退以外にないところに追い込んだ結果だ。

 私たちは、日本共産党の「基地無条件撤去」=「対米交渉」論が実際にはどんな役割を基地撤去闘争や安保・沖縄闘争で果たすことになるかも、歴史上の実例で既に知っています

 52撤去を掲げた1970年2・4ゼネストに対して、米軍の全軍労全員解雇の恫喝の前に、「交渉過程にある施政権返還を遅延させ復帰を遠のかせる」と、いったん決定したゼネストを中止にした。    1971年11月沖縄国会における沖縄返還協定批准の強行のために国会周辺等首都でいっさいの集会デモが禁止され戒厳体制がとられることに対して社共共闘や総評の集会を自粛し、青年労働者学生を先頭とする決死の決起を「挑発」と非難し、「街頭行動が返還を無にしかねない」と大衆闘争に敵対し禁圧の先頭に立った。日本共産党の学生、青年労働者の内部からこの党中央の「沖縄返還協定批准国会に対する反対闘争放棄」を批判する動きが広がったことに対し「新日和見主義」として大量粛清したほどです。

 辺野古新基地反対闘争は、14年間の新基地阻止の闘いをひきつぎ、三里塚闘争のように不屈の実力闘争、全国闘争として燃え上がります。それを抑え込むために、日本共産党はこの「交渉」「話し合い」路線を使ってくるということです。沖縄では普天間基地撤去・辺野古新基地阻止・民主党政権打倒の中心に「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を支援する」労働者の隊列が立っています。国鉄1047名闘争の解体の先兵である社民党や日本共産党には普天間基地撤去を騙ることは許されません。 

 

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杉並区職労6月組合大会(⑨)都労連「国鉄1047名問題解決」コメントが杉並区職労本部の立場

2010年06月11日 | 杉並区政と区職労働運動

 

 特集の締めくくりとして、▲⑨国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回の新たな大運動と、▲⑩「普天間」問題、すなわち沖縄基地撤去・安保体制つぶせの闘いについて、強調して訴えたいと思います。今回は前者、すなわち「国鉄闘争の火を消してはならない」という点についてお伝えします。

国鉄闘争の火を消してはならない!

-「JR不採用問題解決に向けた都労連コメント」を弾劾する-

 杉並区職労は、労働組合として、政府3党(民主党・国民新党・社民党)・公明党の4月9日「国鉄1047名問題和解案」、4月12日4者4団体受け入れ、4月26日国労臨時大会での国労の「受け入れ決議」に対していかなる態度をとるのか。国鉄分割・民営化との闘い、不当解雇撤回の闘いは終わっていません。動労千葉争議団9名とたたかう国労闘争団員は、国鉄1047名闘争24年間を否定し国鉄分割・民営化を全面的に開き直ったこの「和解」を弾劾し、労働者の誇りと未来をかけて、解雇撤回まで闘うことを宣言し、全労働組合、全労働者の決起を訴えています。この闘いを支援し、国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回の新たな大運動が開始されています。

 街頭・駅頭・職場・地域から新たな大運動への合流・参加がはじまっています。当然です。40万人の国鉄労働者のうち20万人が職場を奪われ、200人を超える自殺者を出したのが国鉄分割・民営化です。不当解雇と闘う1047名闘争は日本の労働運動史上最大の労働争議として24年間にわたって闘いぬかれてきた闘いです。全国の多くの争議組合、多くの組合活動家、多くの労働者の支えとなり、結集軸となってきた闘いです。この1047名解雇をめぐる闘いが、一言の謝罪も解雇撤回もないままに終止符を打とうとする動きは断じて認められません。

 この渦中で、国労臨時大会の翌々日、4月28日に都労連が出したコメントは絶対に認められないものです。都労連コメントは何と言っているか。

 「長期のたたかいの中には大きな困難もあったが、4者4団体として団結して闘ってきたことによって、政府の責任で『政治解決』の扉を開けさせることができた。このことは多くの争議をたたかう仲間に勇気と 激励を与え、日本労働運動の未来を指し示すものだ

 このコメントの一言一言は怒りなしには読めません。

 「政治解決」とは何か 

 政府の謝罪もなければ解雇撤回もない。職場復帰もない。4者4団体自身が言いふらしてきた「雇用・年金・和解金」もそのすべてが紙屑のように反古にされ踏みにじられ、切り刻まれている。前提として動労千葉争議団は予め排除されている。そしてマスコミによって「一人当たり2200万円」と宣伝されているが、内訳はそんなものではない。「和解金」は「一人当たり1563万円」とされており、しかも実体は、高裁判決金550万円プラス遅延金利分の計1189万円という涙金だ。「訴訟費用374万円」は4者4団体の弁護団のフトコロにはいるものだ。そしてこの「政治解決」に伴って、4者4団体には「団体加算金58億円」が支払われるというカラクリだ(※要するに買収だ!)。

 そしてこの金銭和解の解決条件は「すべての訴訟の取り下げ」「今後二度と不当労働行為や雇用の存在を争わない」「今後の経済的支援措置はいっさいない」「希望通りのJR採用は保証しない(※要するに採用はゼロ回答だ!)」、これらすべてについて「正式の機関決定を行うこと」というものだ。

 この「和解案」を受けて国交相・前原は「国鉄改革は大きな成果をもたらした。これから国鉄改革の完遂に全力で邁進する」と言っている。民営化=外注化を極限まで推し進め、第二・第三の尼崎事故をひきおこしても強行するということです。

 この「政治解決」を「労働運動の未来を指し示すもの」と言い切った都労連執行部のコメントは、政府・JRの先兵として国鉄闘争の火を消し、労働運動をつぶすその先頭で彼らが立ち居ふるまうということを意味します。何が「未来を指し示す」か!労働運動と労働者の未来を奪い圧殺するということではありませんか。

  杉並区職労執行部はいかなる立場をとるのでしょうか。すべての闘う労働者、労働者階級を敵に回して、政府権力、支配階級の側に回るのかということです。

  すべての区職の労働者の皆さん、国鉄闘争の火を消してはなりません。ここには私たち労働者の未来がかかっています。新自由主義=民営化・外注化・非正規化、無権利化に絶対反対労働者の闘いは同じ一つのものです。労働者の怒り、労働者の人間としての誇りは同じ一つのものです。労働者として団結し、ともに新自由主義=民営化と闘いましょう。

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杉並区職労6月組合大会(⑧)区職共産党は「犠牲者救援基金」を廃止しようとしていた

2010年06月10日 | 杉並区政と区職労働運動

「犠牲者救援基金はもう要らないだろう」と組合予算減額を言い出した

 杉並区職労でとんでもないことがあったようです。

 杉並区職労執行委員会を牛耳る区職・共産党(以下、「主流派」と記します)が区職労の組合大会を前にして、組合予算案で「犠牲者救援基金を廃止」と言いだしたというものです。「もう要らないだろう」というたった一言の理由で切りだされたといいます。

 「主流派」の「犠牲者救援基金の廃止」方針は当然にも批判を浴び、執行委員会でも継続討議に付され、後日、それを言い出した当の「主流派」自身が引っ込めるに至ったとのことです。「これからもいろいろ起きるだろうから」というのが方針をひっこめる際に「主流派」が言っていた理由のようですが、猛烈な反対に逢ってしまい、「処分が出るような闘いや処分を撤回させるような闘いは組合としてはやらない」という姿勢があまりに露骨になってまずいので引っ込めたというのが真実でしょう。

 もし絶対反対の批判にさらされなかったら、労働組合の最高議決機関である組合大会に、この「犠牲者救援基金の廃止」はそのまま提案されたことでしょう。事は重大だということです。

  「主流派」はそれが組合規約の「犠牲者救援基金」条項の基本精神や労働組合運動における「犠牲者救援」原則に立ち返って考え抜いた時、間違っているから方針を撤回したのではありません。「闘わない」姿勢があまりにも露骨すぎてまずい、つまり「犠牲者救援基金」予算や「犠牲者救援基金」条項は不必要という考え方は間違ってはいないが、やりかたが拙劣だとかえって反発ばかり招いてしまうからいったんひっこめるというものです。

 「もう要らないだろう」とは何だ。不当労働行為やそれをめぐる攻防や処分が起きない情勢だとでもいうのか。見渡す限り、労使関係や労働運動をめぐっては解雇や減給、争議、訴訟の激発情勢ではないか。つまりはこういうことだ-杉並区職労としては今後処分が出るような闘争、処分をめぐる闘争はいっさいやらないから犠牲者救援基金も必要ない・・・と。

 引っ込めるに際して他人事風に「これからもいろいろおきるだろう」という言い草は何だ。労働組合は一人のクビきりも許さない、労働組合の団結で処分をはねかえして闘いぬく、労働組合は必ず仲間を守り抜くーなぜ、ハッキリとこう言えないのか。そんな気概はこれっぽっちもないからだ。私たちは労働者として心から怒りを覚えます。 

 徹底的に批判されるべきです。

犠牲者救援基金は労働組合が労働者の闘いと団結の武器であるための組織原則であり根本理念に関わる条項だ。

  「主流派」が「犠牲者救援基金の廃止」を口にしたことは絶対に看過できません。「闘わない組合」であることを経営・当局側に誓い、その証をたてるために労働組合の規約からの削除・抹消もふくめて「犠牲者救援基金」の廃止まで考えているのが区職・共産党、日本共産党です。私たちは労働組合の闘いの血みどろの歴史と意義を根本から汚し、労働組合の名も汚すこの「犠牲者救援基金の廃止」の「主流派」=区職・共産党の企てについては、それを引っ込めたからと言ってもとうてい許せるものではありません。

  そもそも犠牲者救援基金とは何でしょうか?

 (1)虐げられ苦しめられている者は虐げられ苦しめられている者と力を合わせるしかありません。労働し搾取されることによってしか生きることが許されていない労働者は同じ労働し搾取されることによってしか生きることを許されていない労働者と力を合わせるしかありません。労働組合とは、それが労働法で認められてはおらず非合法だった時代にも、血みどろの闘いを通して法的に団結権を認められて以降の時代にも、労働者にとっては常に、労働者が生きるための武器であり、団結形態そのものでした。労働時間にしても賃金等の労働条件にしてもすべて労働者の団結による血みどろの資本、当局との闘いなしには一歩も改善されることはありませんでした。

 (2)労働者の闘いはそれゆえ絶えず資本や当局の弾圧、処分との闘いの歴史でした。労働組合の歴史、労働運動の歴史は弾圧、処分による犠牲とそれを恐れずはねかえし、のりこえて労働者の団結で労働者の利益を守る血で綴られた闘いの歴史でした。それは過ぎ去った闘いを振り返ってそうであるだけでなく、国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回・職場復帰の国鉄闘争はじめすべて労働争議、労働訴訟が示すように、一歩も譲ることのできない労働運動の現在のたたかいそのものです。

 (3)「犠牲者救援基金」とはこのような労働組合にとって欠かすことができない組織原則の規定にほかなりません。組合活動・組合事業において組合員や組合の専従が犠牲や損害をこうむることに対して、▲懲戒処分には、組合として解雇中の給与全額を職場復帰まで負担し、▲減給処分には、組合として減給期間中の給与との差額を全額負担し、▲活動中の死亡や疾病には、組合として遺族や本人・家族への生活費・医療費等の見舞金を保障し、▲行政・司法処分に対する法廷闘争の裁判費用や保釈金を組合として全額負担する等々の犠牲者救援基金をほとんどの労働組合が組合規約で定めているのは、まさに労働組合が労働者の団結形態であり、労働者が生きんがための唯一の闘いの武器だからにほかなりません。この「犠牲者救援基金」にこそ「一人が万人のために、万人が一人のために」の労働者階級の堅い堅い団結の精神がこめられています。

「闘う労働者を守らない組合」「闘わない組合」であることを当局に誓うものだ

 杉並区職労「主流派」=区職・共産党は、この「犠牲者救援基金」をなくそうとまず組合予算の減額から手をつけようとしたのです。「今後は犠牲者救援基金の支出を必要とするような闘争は組合としてはいっさい行いません、組合員にもさせません、処分撤回闘争もやりません」というのがこの「犠牲者救援基金の廃止」の本質です。

  「今後は、組合として解雇や減給の処分を受けるような闘いは起こさないし、組合員にもさせません」、「今後は不当労働行為や雇用関係も争いません。訴訟を争ったりはしません。解雇されても職場復帰を求める闘いは行いません。減給されても補償を求めるようなことはしません」というものです。

  それだけではない。必然的に「組合としての『処分を受けるような闘いは一切しない』という方針に反して処分を受けるような活動をした組合員を組合はいっさい救援しません」という趣旨をハッキリと含んでいます。

  皆さんは、今年4月9日に政府と与党3党・公明党が出し、国労中央と4者4団体が受け入れた国鉄1047名問題和解案をご存知でしょうか?「今後二度と不当労働行為、雇用の存在を争わない」「すべての訴訟を取り下げる」「職場復帰は保障できない」「以上を正式に機関決定する」という条件での「金銭和解」、解雇撤回も職場復帰もない「和解案」です。杉並区職・共産党がこの「国鉄1047名問題和解案」の順守条件を意識して、さらにこれに輪をかけたような労働組合の自己否定、「闘わない組合」となることの誓いを当局に対して組合の側から示そうとしていることは明らかです。

「われわれは団結しているが、それはまさに敵と闘うため、そして足を踏み外して隣の沼地に落ち込まないためである」(レーニン『なにをなすべきか?』)

 あまりにも露骨すぎることからひっこめられたとはいえ、区職労「主流派」=区職・共産党は区職労をまるごと「区と絶対に闘わない」労使協調主義の沼地に引きこもうとして、労働組合の根幹に関わる「犠牲者救援基金」の廃止(規約からの削除)に道をつけようとしていたのです。

 今や区の経営の一角になり下がり(成り上がり?)、意識まで区と一体に染まりきっている「主流派」はレーニンが『なにをなすべきか?』で「あの沼地に行こう」と叫びはじめた日和見主義の新たな一変種として批判している、まさにその最悪の日和見主義そのものです。レーニンは労働運動を資本と和解し得るものに変えようとする労働運動内部の日和見主義(沼地派)との闘いの労働者にとっての重要性・非和解性を次のように強調しています。

 「いかにも諸君、君たちは他人を誘う自由を持っているだけでなく、自分で沼地であろうとどこであろうと好きなところに行くことも自由である。われわれは、ほかならぬ沼地こそ君たちのほんとうの居場所だと考えているくらいだ。だからわれわれは、君たちがそこに移転するのに喜んで応分のお手伝いをするつもりだ。ただ、そのときにはわれわれの手を放してくれたまえ、われわれにつかまらないでくれたまえ、そして自由という偉大なことばを汚すことはやめてくれたまえ。なぜといって、われわれにもまた同じように、自分の好きな所に行く「自由」、沼地とたたかうだけでなく、沼地の方へ向きをかえようとしている人々ともたたかう自由が、あろうというものではないか!」

  ここで「諸君」「君たち」を「主流派」=区職・共産党に置き換えれば、「主流派」が区職労を「区と絶対に闘わない組合」にするために、「処分が出るような闘争を絶対しない道、処分が出てもそれをめぐって闘争したり被処分者を救援したりは絶対しない道」に組合全体をひきこもうとしていること、その労働組合運動にとっての害毒の役割は明らかではないでしょうか?杉並区職労=労働組合は、区当局と癒着・協調・一体化する一部の日和見主義指導部=「主流派」の保身のためにあるのではない。労働組合は私たち労働者の団結と闘いのためのものだ。組合員、労働者にとっては、「主流派」を沼地派として批判して、労働者が生きんがための団結と闘いの武器として労働組合を復権させる権利があり、それは責務である言っても言い過ぎではありません。

 

※さらに次回以降に続きます。

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杉並区職労6月組合大会(⑦)区職共産党と図書館全館指定管理反対闘争の裏切りの経過

2010年06月08日 | 杉並区政と区職労働運動

区職労の《図書館行革・妥結》報告のごまかしはどこにあるか?

  前回記事でお伝えした通り、10月22日の対区交渉について組合ニュース『杉並区職労10月29日』は、「第三者機関の設置が確認された」ことから、「図書館全館指定管理者制度導入に納得できるものではないが区の考え方が示された」ことで「妥結した」と報告しています。

  「第三者機関の設置」があたかも労使交渉で組合ががんばった成果、その獲得物であるかのようにアナウンスしているだけではありません。その「第三者機関設置」によって、2010年度指定の「実施後の管理・運営の検証」があり、「2010年度の6館実施後6カ月程度経過後の第三者機関の評価」で2011年度指定についても見直させ、中止・阻止できるかのようにふくらまして報告している点です。

 こんなウソが通用するとでも思っているのか?今年4月に実施の指定管理者の募集があったのは2009年9月、第一次選定は10月、第二次(最終)選定は11月。この経過からみれば、2011年度の6館分のロードマップも9月募集、10月第一次選定、11月第二次(最終)選定。今年4月1日実施の2010年度分の6館の管理・運営状況の検証を行うと区職労が説明している「第三者機関」の評価が出る頃(「6カ月経過後」だから最速でも10月以降)には既に2011年度実施分の募集は済み、選定も終えている!

  私たちが地域図書館で職員の方と話してわかったのは、職員の方々は「組合は指定管理者制度実施に反対している」と思っており、昨秋の区職労執行委員会での激論の経過はまったく報告されてはおらず、図書館分会幹部も職員に対しては区の全館指定管理実施を認めた(受け入れた)屈服について都合よく説明している点です。「3月12日のアンサンブル荻窪の図書館集会で図書館分会代表が『熱心に反対しているみなさんからはお叱りをうけるかもしれませんが』と妥結に至った経過を弁解がましく経過報告していた」という話について、ある職員の方は「そんなこと言ってるんですか」「反対してるんじゃないんですか」と驚き、また怒っていました。真実をハッキリさせることは重要です。

   区職労は「第三者機関の審査・評価で2011年度6館指定管理を阻止できる」などとはまったく考えてもいません「第三者機関」についても真剣に考えてはいません。考えていれば、「第三者機関」の構成、設置時期、事務局設置等の具体的交渉が開始されていなければなりません。しかし、そんな気配も議論の提起もいっさいありません。

 真実は、区職労が区の図書館全館指定管理実施の受け入れを決め、区職労・共産党の思惑に反して燃え上がっている反対闘争を収拾するために、①「2010年度6館導入は納得できないが承認せざるを得ない」、しかし②「第三者機関の設置による審査でチェックをかけることで、2011年度の残6館指定管理は阻止し見直しさせることも可能である」、③「この見通しが持てたので対区交渉で妥結した」という何の根拠もない無責任なゴマカシの論理を組み立てて、全面屈服と反対闘争への裏切りを隠し通そうとしているということです。

  区職共産党と図書館分会ダラ幹は、区によく思われたいために区の全館指定管理実施を受け入れ、その屈服をごまかして闘争を収拾するために反対派、現場職員の声、住民の反対運動を「第三者機関設置」でだまし、労使交渉を打ち切りました。そして今では済んだ話として全館指定管理反対も2011年度6館指定管理者制度実施に対する方針をめぐる議論を行うことさえしないで、無視(拒否)し続け、恬として恥じないのです。

経過の示すもの・・・「妥結」の核心は指定管理反対闘争の圧殺

001_2  

 ①区が地域図書館12館全館指定管理者制度実施を決定し発表したのは2009年6月。

 これまでの事前通知の労使慣行すら無視した一方的決定であるにもかかわらず、区職労執行委員会では「反対」方針の提起はいっさいなく、「反対」を組合として態度決定すべきという執行委員会での意見に対しても「当該図書館分会が意見を集約するのが基本」として「区職労としての反対方針」「区職労としての態度決定」の討議を進めることを拒み続けた。

 地域住民や私たち労働者による区役所本庁や中央図書館・地域図書館での「指定管理者制度導入反対」のビラ配布や署名の中で、9月15日区職労図書館分会主催で「第一回地方自治研究集会」が阿佐谷産業商工会館で開催され、図書館職員、区職員を中心に150名が結集し、日本図書館協会・常世田良さんの指定管理者制度批判の講演がもたれた。

 常世田さんの講演の結論は「図書館への指定管理者制度導入は認められない」とするもので会場の集会参加者からの発言も「反対」「区決定の見直し」一色だった。しかし主催者たる区職労図書館分会は「現在意見集約中で、ここではまだ態度を表明できない」というもので、参加者からの「組合は反対しないというのか、組合としての反対を求める」という発言に対しても「意見集約中」という弁解に終始した。

  しかし、この9・15集会はその後の反対闘争の出発点となった。区議会での追及、陳情、白紙撤回を求めるビラ配布と図書館指定管理をめぐって明らかに区への反撃の気運と討論、闘いが燃え広がった。

 9・15集会の気運は区職労執行委員会の会議にももちこまれた。9月17日、9月24日と続く労使交渉に図書館分会は「意見集約中」という理由で区の決定に反対しなかったが交渉を継続。執行委員会の会議では「区職労として組合の態度を決定すべき」と反対決議・白紙撤回要求決議を求める意見が強く出された。これに対して執行委員会を牛耳る区職・共産党(以下「主流派」と表記)は「当該分会が反対を決議していないのだから仕方ない」という点を最後のよりどころにして「反対決議」「白紙撤回要求決議」を拒んだ。  

 10月は区が募集企業の選定を実施するという重要な月でした。10月1日、10月8日、10月15日と労使交渉が続いた。区にとっては全館指定管理は既定方針として区で決定済みのことなのだからその気になればいつでも交渉を打ち切ることができたが、それをしなかったのは円滑に「反対」による波風がたたないように指定管理に移行することが大事だったからであり、そのためには反対闘争がこれ以上燃え上がらないように慎重に事を運ぶ必要があったからだ。

 区がそのような政治判断をした最大の理由は、白紙撤回の決議と対区団交への現場と反対派の参加を求める絶対反対派の意見に対して、執行委員会を牛耳る「主流派」が「そんなことできるか」とわめきちらすことしかできなくなりグラグラになっていたからであり、「主流派」を圧倒する局面が執行委員会の会議でつくりだされるにいたっていたからだ。図書館職場の現場意見と住民の反対運動の拡大がその力関係を支えていた。追いつめられた「主流派」はそれまでは口が裂けても認めようとはしなかった「指定管理者制度導入に反対の組合としての決議」を確認せざるを得なくなり、執行委員会でこの確認が決議となった。

 区は10月1日の労使交渉で、図書館分会が求めた「今後の図書館のありかたを協議する場」の要求を一蹴したうえで、「第三者機関の設置ならば区として検討してもよい」と区職労執行委員会「主流派」と図書館分会に持ちかけた。この区の打診に「主流派」は飛びついた。10月8日、15日の労使交渉で、あるいは別の場でどんな裏取引が行われたかはいまだ闇の中である。しかし、「指定管理者制度導入に区職労として反対する」という執行委員会決議の裏で、絶対反対による白紙撤回ではなく、「第三者機関の設置」を落とし所にして図書館指定管理の妥結=労使交渉打ち切りをはかるという密約があったことは推測に難くない。

  「主流派」=区職・共産党は、「指定管理者制度導入反対」のポーズを「対反対派・対住民運動向け」でポーズとして維持しつつ、労使交渉を打ち切り、闘争を収拾するために、「第三者機関の設置、その審査・評価で2011年度残6館の指定管理実施を阻止できる」という語気だけが勇ましい“確信に満ちた見通し”で、図書館分会と区職労を仕切って、10月22日の対区交渉で、9月17日以来6回を重ねた労使交渉を打ち切る「妥結」をはかった。

 10月21日には2010年度の指定管理実施6館の第一次企業選定が行われた。

  『杉並区職労10月29日』の組合ニュースの「図書館行革提案について妥結(10月22日)」の報告が伝える「10・22妥結」とは区の既定方針のスケジュール通りの実施にとってギリギリのタイムリミットだった。労使交渉での何らかの攻防なり折衝があって10・22交渉で「妥結」したというようなものではまったくない。10月21日に企業選定が行われる全館指定管理のロードマップに傷をつけないために10・22交渉で労使交渉は打ち切る必要があった。区はその道具に「第三者機関設置」を使った。「主流派」はそれを「第三者機関の評価で2011年度の6館は阻止」と飾り立てて闘争の幕引き=収拾のために使った。昨秋闘争はあと一歩で区の図書館全館指定管理のロードマップを突き崩し、区の実施決定が挫折しかねないというところにまで至っていた。区経営側と「主流派」は危ない橋を「妥結」で渡ってヤレヤレの想いだったろうが、私たちが「負けた」のではない。昨秋第一次闘争を《絶対反対》と《現場の労働者の団結》で総括し、昨秋を超える第二次闘争に立ち上がるのみだ。

第二次図書館民営化反対闘争にたちあがろう

 以上が昨秋の図書館指定管理攻防のすべてです。「主流派」=区職・共産党がいかなる役割を果たしたかは誰の目にも明らかではないでしょうか?これは済んでしまったことではありません。

  4月1日から阿佐谷、成田、宮前、高井戸、方南の6館で指定管理制度が実施されています。「主流派」が「2011年度の6館実施阻止」の「見通し」の「根拠」とする「第三者機関による実施6カ月経過後の評価」とは、この10月のことです。そして2011年度6館(高円寺、西荻、柿木、下井草、南荻窪、今川)の指定管理者の募集は9月、選定は10月、11月です。

  「10・22妥結」の屈服・裏切りの正体が暴かれ、組合員と労働者住民をだまして図書館指定管理反対の闘いの圧殺をはかった「主流派」のその責任が厳しく問われるときが来たということです。指定管理者制度導入の手先となった区職・共産党の屈服を突き破って、昨秋の第一次図書館闘争をひきつぎ、第二次図書館闘争にたちあがろう。これは今回の6・24組合大会の最重要の討議事項とされるべきテーマであると言っても過言ではありません。

 ※次回・・・《⑧ 組合大会を前に「闘わない組合」の証しを画策していた区職・共産党》に続きます。これまでの杉並区職労6月組合大会に関する記事は以下の通りです。

5月18日 ①職員削減・民営化と「闘わない」ためのゴマカシはもはや許されない

5月21日 ②指導部が後退を重ねても労働者はのりこえて前進してきたのが闘いの歴史だ

5月29日 ③新たな区職労働運動のためにも11年1カ月の山田区政を徹底弾劾しよう

6月 1日 ④労働組合は労働者の生きんがための団結と闘いの武器。山田行革への屈辱的屈服を突き破る区職の総決起を

6月 3日 ⑤杉並行革・民営化の手先となることで組合権力にしがみつく区職・共産党を批判する

6月 5日 ⑥組合の分会(図書館分会)をつぶし、区経営に協力して時給800円台の超低賃金非正規職に置きかえ

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参考資料・・・・「1047名問題和解案」に対する動労千葉の見解(日刊動労千葉6974号)

2010年06月06日 | 杉並区政と区職労働運動

参考資料

 以下は国鉄千葉動力車労働組合発行の「日刊動労千葉」2010年4月9日6974号です。全文を転載して紹介させていただきます。

国鉄闘争の火を消してはならない
▼国鉄分割・民営化との闘いは終わってない
「1047名問題和解案」に対する動労千葉の見解

(1)

 政府と与党3党・公明党が、国鉄1047名問題の「解決案」について合意し、政府・鉄道運輸機構と4者4団体の間で「和解」が成立しようとしている。これは、当該である動労千葉、動労千葉争議団を排除して進められてきたものであり、われわれには何も提示されてはいない。しかし、報道されているかぎりでは、謝罪も、解雇撤回もなく、いくばくかの金銭によって国家的不当労働行為を正当化し、人生をかけて闘いぬいてきた1047名の思いをふみにじるものだと言わざるをえない。
 政府は、今回の「和解」について、「1047名は万全の雇用対策を講じてきたにもかかわらず結果として解雇された方々」「政府としての責任は全て果たしている」「ただ長くかかっている話でございますし、かなり御高齢になっておられますので、その意味では何らかの政治的解決が必要との考えに同意する」(1月29日・衆院予算委員会での前原国土交通大臣答弁)とし、JR各社は「法的に解決済みの問題」などとして、「200名程度の採用を要請する」という4党案すら拒否している。
 「和解」という姿をとって国鉄分割・民営化が正当化され、1047名の23年に及ぶ苦闘が否定されようとしているのだ。
 この間、「政治解決のため」と称して国労本部が行なってきたことは、国鉄改革法の承認、「JRに法的責任なし」の承認、政府やJRへの「詫び状」の提出、JRとの「包括和解」=全ての不当労働行為事件の取り下げやJRにおけるあらゆる合理化の容認、解雇撤回要求の取り下げ等、闘いの放棄と屈服であった。
 23年間の困難な闘いを継続した闘争団の本来の思いはこうして蹂躙され、孤立させられた。その過程で闘いは、本音と建前が分離し、与野党の国会議員への根回しだけが「解決」の唯一の手段と見なされるようになった。こうした結果の産物が今回の「政治決着」である。

(2)

 国鉄分割・民営化は戦後最大の労働運動解体攻撃であった。第二臨調の設置(1981年)、中曽根内閣の発足(1982年)から約30年、戦後日本の労働運動の歴史の半分に及ぶ歳月が国鉄分割・民営化攻撃との攻防を焦点として火花を散らしてきたと言っても過言ではない。20万人の国鉄労働者が職場を追われ、200人が自殺に追い込まれ、総評・社会党が解体され、日本の労働運動は後退を余儀なくされた。以降、社会をのみ込んだ新自由主義政策の下で、労働者の雇用・賃金・権利・団結は破壊され、全雇用労働者の4割が非正規職に突き落とされたのだ。
 国鉄分割・民営化攻撃の決着を許さず、23年間闘い続けられてきた1047名闘争は、こうした現実への決定的な対抗力であった。それは、労働運動史上前例のない大量首切り攻撃をめぐる争議であると同時に、日本の労働運動の全蓄積がここに凝縮して生み出した画期的な闘いであった。だからこそ全国の無数の労働者がこの闘いに自らの未来を託して支援し続けてくれたのだ。またそれは、「行革でお座敷を綺麗にして立派な憲法を安置する」という中曽根の狙いを許さず、今日まで改憲をおしとどめてきた力でもあった。
 動労千葉は国鉄分割・民営化攻撃に対し、首をかけて二波のストライキに立ち上がり、40名の不当解雇をはじめとした組織根絶攻撃を受けながら、団結を守ってJRにのり込み、今日まで闘いの道を貫いてきた。それは、労働組合の存在価値、労働者の誇りをかけた闘いであった。
 国鉄分割・民営化はまさに分水嶺であった。われわれは、30年に及ぶその攻防の帰すうを問う大きな歴史の転換点に立っている。

(3)

 「和解」の結果起きるであろうことは、国労の瓦解・JR連合への吸収である。実際、国労とJR連合との間では、様々なかたちをとった協議が始まっている。
 23年間の闘いは何のためだったのか。ときの首相が「国労を潰し、総評・社会党を潰すことを明確に意識してやった」と公言してはばからない現実を許しておくことはできないからであった。ここまで突き落とされた労働者の現実、労働運動の現状を打ち破り、労働者が団結と誇りを取り戻すためであった。その結果が国労の「瓦解」では、首をかけ、人生をかけた闘いの意味が失われることになる。
 しかも、自治労や日教組をターゲットにしたいわれなき非難や弾圧が吹き荒れ、この1月には、社会保険庁の解体・民営化をめぐり、国鉄と全く同じやり方で1000名の労働者が解雇され、数千名の労働者が非正規職に突き落とされているのだ。そして、525名の労働者が屈辱的な「自主退職」を拒否し、あえて分限免職の道を選んで闘いに立ち上がろうとしている。道州制導入をめぐっては、公務員労働者360万人を一旦解雇し、選別再雇用するという究極の民営化・労組破壊攻撃がかけられようとしている。
 絶対に国鉄分割・民営化を正当化させてはならない。それは、敵にフリーハンドを与え、労働運動のより一層反動的な再編・解体攻撃に棹さし、日本の労働運動・労働者の将来に大きな禍根を残すことだからだ。このようなかたちで1047名闘争が終わった後に始まるのは、新たな、より大規模な民営化・労組破壊攻撃である。
 今、与党三党をのみならず、公明党や自民党を含むあらゆる勢力が国鉄分割・民営化問題の原点に引き戻され、それに決着をつけるために動きだした背景にあるのは、危機を深める現在の情勢だ。貧困の蔓延や社会の崩壊をもたらした民営化・規制緩和路線への怒りの声が1047名闘争のもとに結集することを恐れているのだ。

(4)

 動労千葉争議団と鉄道運輸機構との裁判では、本州JR不採用者は、「採用する職員」が決定されるわずか数日前までは、採用候補者名簿に登載されていたことが明らかになった。それが、葛西職員局次長(当時)の指示で急遽外されたというのである。
 この時に起きていたのは、あまりに激しい組合破壊攻撃の中で、膨大な労働者が自ら職場を去り、本州では、JR各社の採用者数が「定員割れ」になるという事態であった。国鉄当局は当初は、閣議決定された定員を割り込んでしまった以上全員採用するしかないと判断し、その旨の記者会見まで行なっていた。
 予想外の事態にあわてたのが鉄道労連(現JR総連)であった。民営化の手先になった手前、「全員採用など絶対に認められない」「国鉄改革の妨害者を採用するな」という特別決議まであげて当局に激しく迫った。
 動労千葉9名はこうして名簿から外されたのである。採用差別は、まさに政府・当局とJR総連が結託した不当労働行為であった。その後、1千万人以上の労働者を非正規職に突き落とす突破口となった攻撃がいかに強行されたのか、その構図がついに明らかになったのである。いよいよ反転攻勢に立ち上がるときがきたのだ。

(5)

 国鉄分割・民営化攻撃との闘いは何ひとつ終わっていない。今、JRの職場では、鉄道業務のほとんど全てを丸投げ的に外注化し、JRを数百の子会社・孫会社に分割して労働者を強制出向にかりたて、あるいは非正規職に突き落とす究極の合理化攻撃がかけられている。それがもたらすのは第二の尼崎事故だ。
 「官から民」というだけでなく、この20年余り、あらゆる企業で吹き荒れた外注化(アウトソーシング)攻撃は、新自由主義政策・民営化路線の核心をなす攻撃であった。例えば、1984年に民営化されたNTTは347の会社に分割され、9割以上の労働者が退職を強要されて下請会社・孫請会社に突き落とされている。それは、アメリカでは「外注革命」と呼ばれ、日本では通産省が音頭をとって進められた国家戦略であった。労働者はそうやって「最底辺へと向う泥沼の競争」に駆り立てられたのだ。そして人と人の社会的連帯が断ち切られ、雇用・教育・医療・社会保障をはじめ全てを競争原理の中に叩き込んで社会そのものを破壊したのである。
 われわれはこの闘いを「第二次分割・民営化反対闘争」と位置づけ、反合・運転保安闘争路線の真価をかけ、三河島事故・鶴見事故以来の国鉄労働運動の総括をかけて、数年がかりの大闘争に入ることを宣言した。闘いは、昨年秋から今春にかけ、5波のストライキで外注化4月1日実施を阻止し、東労組等の組合員が動労千葉に結集しはじめる成果を実現している。それは同時に労働運動の再生をめざす闘いでもある。
 労働者が置かれた酷い現実は自然になったものでも、避けがたい必然だったわけでもない。労働組合が後退と変質を深めたことによってもたらされたものだ。労働運動の現状を変えないかぎり何も変わらない。ここに今問われている核心問題がある。
 われわれは、1047名闘争と、外注化阻止・第二の分割・民営化反対闘争をやりぬけば、今はまだ団結する手立てを見いだせていない無数の労働者の怒りの声が堰を切って流れだすことを確信して闘いぬく決意だ。
 今回の「政治決着」は、こうした現実に抗するどころか、「解決のために」と言って、JRにおける業務外注化攻撃等の容認と一体で進められてきた。解雇争議の「和解」の裏で労働組合そのものの変質が進み、何千名もの労働者が強制出向に駆り立てられ、非正規職に置き換えられているのだ。

(6)

 怒りの声は社会の隅々まで満ちている。今こそその怒りの声を団結した力として結集させなければならない。国鉄分割・民営化攻撃の決着を許さず闘い続けられてきた1047名闘争は、その結集軸となる可能性を秘めた闘いであり、日本の労働者と労働組合にとって勝利の展望そのものとして存在してきたのだ。このようなかたちで幕を引いてはいけない。
 国鉄分割・民営化攻撃との闘いは何ひとつ終わっていない。動労千葉と動労千葉争議団9名にとって全てはこれからである。国鉄闘争の火を消してはならない。われわれは、23年間の長きにわたり動労千葉の闘いを支えてくれた支援の力に応えるためにも、1047名解雇撤回、民営化・外注化・労組破壊攻撃と対決し、その勝利の中に労働者と労働組合の未来がかかっていることを確信し、闘い続ける決意である。

 2010年4月9日

  国鉄千葉動力車労働組合

以上、下記の「日刊動労千葉」バックナンバーからの転載で紹介させていただきました。

 http://www.doro-chiba.org/nikkan_dc/nikkan_10.htm          

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杉並区職労6月組合大会(⑥)図書館分会をつぶす区経営に協力

2010年06月05日 | 杉並区政と区職労働運動

鳩山から菅首相に代わっても労働者人民の怒りは押しとどめることはできない。全既成政党・全新党の「救国」の茶番劇=参議院選に見向きもせず、私たちの未来を拓くために「新自由主義に絶対反対」で労働者の団結を拡大しよう

 

  6月4日鳩山政権は総辞職し、民主党は代表選で菅直人を選出し首相に指名しました。こんなことで堰を切った私たち労働者人民の怒りはおさまりません。参議院議員選挙も、国会とそこに議席を持つ(持とうとしている)政党も、この私たちの怒りを押しとどめ、収拾することはできません。一言で言って、国会とか既成政党・新党には人々はうんざりするほど幻滅し、怒り心頭に発しているということです。大規模選挙や内閣の交代が政治不信や政治危機を収拾する安全弁としての役割を果たし得た時期は完全に終わったということです。

 すべての既成政党・新党は、民主党・自民党・みんなの党から社民党・日本共産党、さらには山田宏の日本創新党にいたるまで「危機の突破」「救国」「(新自由主義の、あるいはそれに屈服した)マニフェスト」を掲げて参議院議員選挙にすべてを賭けて躍起になっています。だが、そこには彼らの大きな見間違い、根本的な勘違いがあります。人々の怒りは、いかなる「正義」も消失し、いかなる「権威」も失墜した国会と政府と政党の枠を完全に超え出たところで燃え上がっているということです。

 生きんがための人々の怒りがすべてを決していくという激動情勢のもとで、喫緊の課題はこの怒りの総決起の先頭、中心に労働者の隊列がしっかりと立ちきる、労働者の団結を全力で懸命に拡大することです。労働者人民の怒りに追いつめられ、翻弄されガタガタになっている政財界=支配階級には、①怒りの決起がギリシャのような革命的闘いになることに対して、帰趨を決する労働運動と労働者階級に攻撃・弾圧を加えること、②渦巻き爆発する怒りを《外》にそらす、戦争によって分裂した「国論」を一つに統合すること、行き着くところ、この二つしかありません。クビきり・労組破壊と侵略戦争との激突です。自らの労働で社会を動かしている労働者が労働組合を中心に団結して総決起すること、労働者人民自身の政府をたたかいとること、そのとき社会は変わり、歴史は前に進むということです。

 6月24日の杉並区職労の組合大会はこの歴史の節目でもたれようとしています。以下、前回からの続きとしてお伝えします。

図書館全館指定管理を区職労が認めたということは区職労が組合の分会を自ら一つつぶすということだ

 杉並区職労6月組合大会であいまいにすることができないのは、区職労と図書館分会が、自らの手で組合(図書館分会)をつぶすことになる地域図書館12館全館の2010・2011年度指定管理者制度実施を労使交渉で容認し、妥結した点です。

 12の職場(地域図書館)のすべてで管理・運営を指定管理者に委ねるということ、12の職場から常勤であれ非常勤であれ職員が一人もいなくなるということ、分会をなくすということ(仮に中央図書館の中枢に何人かが職員として残り、「分会」を名乗ろうとも)・・・・これを労働組合が自ら認めてしまったのは階級的な裏切りそのものだ。

 常勤・非常勤から図書館の職場と仕事を奪っただけではない。指定管理者制度導入で数百人規模で時給800円台、給与月額換算数万円~10万円未満の超低賃金、1年契約の明日なき不安定雇用、社会保険もなし、無権利の非正規職がつくりだされる。労働組合の容認のもとで行われるという意味では組合が数百人規模のワーキングプアをつくりだしたと批判されても仕方がないことだ。

 

  これが労働組合(の本部)のすることでしょうか?私たちは、区職労が自らの組合・分会をつぶして区の職場を明け渡し、大量のワーキングプア創出に自ら手を貸した点に怒りをおさえることができません。図書館指定管理については図書館の社会的使命を自治体が放棄し、図書館を図書館でなくすものであるという重要な反対の論拠があります。しかし私たちは杉並区の場合の図書館指定管理・図書館民営化の最大問題はやはり前記の問題にあると考えます。

昨秋10・22労使交渉「図書館行革提案についての妥結」を弾劾し白紙撤回を求めて闘おう

  昨年10月22日の対区交渉で、区職労・同図書館分会は、区職労執行委員会での絶対反対・白紙撤回の意見と激論の経過、図書館職場の現場職員の反対意見と怒り、納得できない不安・危機感の広がり、地域の労働者住民の反対運動の拡大というものがありながら、そのすべてを封印し、密室の「対区交渉」で区による全館指定管理の実施を認め、労使交渉を打ち切り終結させました。

  しかも実体は区の実施をまるごと受け入れたものであるにもかかわらず、「労使交渉」が反対派と現場を排除した密室であることをよいことに、確認・検証しようもない「第三者機関の設置」の「確認」をあたかも何らかの「獲得物」であるかのように言いふらし、区職労による図書館全館指定管理への無条件全面屈服をごまかし続けています。

  『杉並区職労』(2009年10月29日)での「図書館行革提案につ  いて妥結」の報告や今年3月12日のアンサンブル荻窪での「図書館を考える会」での図書館分会幹部の「経過報告」では、いろいろなことが述べられているが、具体的に意味を持っている点は、

 ①分会の「今後の図書館のありかたを検討する協議の場」の要求は区によって一蹴されたこと、

 ②交渉の中で区から「第三者機関の設置」の提案があったこと、

 ③第三者機関の設置と実態の検証を行うという区の考え方が示されたこと、

 ④組合としては、第三者機関による評価を運営開始後6カ月程度経過後行うこと、2011年度の指定管理実施については第三者機関の報告後柔軟に対応することが確認されたので、全館指定管理者制度導入による管理・運営について「妥結」した

と説明している点に尽きる。

 、「妥結」とは互いに譲れない平行線の主張を交わしている双方が「おりあい」をつけて「歩み寄り」「妥協」して「一致」することです。前掲経過で明白なように、「第三者機関の設置」は区の提案であって、区と組合の双方が歩み寄っての妥結点などではありません。現に区は区議会答弁で「第三者機関は区が決めることで労使で合意とか妥結ということではない」と繰り返し明言しています。

  「第三者機関の設置」という合意点・妥結点があったのではない。「全館指定管理者制度導入による管理・運営」で労使が合意・一致したのです。つまり区職労は「妥結」と説明・報告しているが、区の全館指定管理者制度実施の既定方針を区職労が全面的に無条件で受け入れ、区に従うことを表明したということです。

 ※以下、《次回》に続く。次回は《⑦区職・共産党はどうやって図書館全館指定管理に区職労をひきずりこみ、それをどうごまかしているか》

               ●●●●● 集会の案内

6月13日(日)午後1時(正午開場) 文京シビックホール

東京メトロ丸の内線・南北線後楽園駅から徒歩1分、都営地下鉄三田線・大江戸線春日駅から徒歩1分

国鉄闘争の火を消すな

国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回

新たな全国運動スタート 6・13大集会

*この6・13大集会の呼びかけビラは以下をクリックしててごらんになれます。

「6_13bira.pdf」をダウンロード

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杉並区職労6月組合大会(⑤)行革・民営化の手先となって組合権力にしがみつく区職共産党

2010年06月03日 | 杉並区政と区職労働運動

私たちの怒りが鳩山政権をたおした 

 6月2日、鳩山首相が辞任し、小沢民主党幹事長が辞任しました。「普天間」をめぐる沖縄県民の怒り、小沢民主党・鳩山政権への労働者人民の怒りがついに鳩山政権をたおしました。昨年8月30日の衆院選で戦後半世紀を超える自民党支配を打ち倒したこと労働者人民の怒りによって自民党にとってかわった民主党鳩山政権の背信と反動的正体に対して、その鳩山政権をひきずりたおしたことは決定的です。私たち労働者人民には自分たちの怒りをもってすれば政権を吹き飛ばす力があることをはっきりさせたということです。

 政財界にこの労働者人民の怒りが生み出している国家統治の未曾有の危機をのりきるカードはありません。同時に私たちがあらためて確認せざるを得ない点は、支配階級=政財界にこの空前の危機を突破する力も準備もないというだけでなく、この情勢を生みだした最大の主体的動因である私たちの怒りの爆発を労働者人民自身の新たな政府の樹立にもちこむ力と準備を私たち自身、労働者人民の側でもまだ持ち合わせてはいないという点です。

 開始された労働者人民の反乱はもとより7月参議院選をはじめとする選挙や政界再編で収拾・終息するものではありません。既存の既成の政党を束にして吹き飛ばし、労働者人民自身の政府をもたねばならないということがいよいよ明らかになったのです。そのための勢力、こういってよければ私たち労働者人民自身の「軍勢」をもたねばなりません。その「軍勢」はどこにいるか。どうやってその「軍勢」を新たな政府の樹立のために一つに集合させることができるか。「軍勢」は何か特別のものではなく、ここそこの、すべての職場にいます。ほかならぬ私たち自身、実際に社会を動かしている労働者自身です。味方は地域と学園にいます。今ほど社会の主人公としての労働者とその団結、労働運動を復権させることが求められているときはありません。労働組合こそ、まさにその「軍勢」の中心の役割を果たすべき存在です。

共産党が組合権力の保身のために、区職労を山田宏の協力者におとしめてきた

 職員1031名削減、区事業6割の民間委託・民営化、4000名をこえる超低賃金・非正規・不安定雇用の労働者(官製ワーキングプア)をつくりだした11年1カ月の山田行革に対して杉並区職労が一戦も交えることなく後退に後退を重ね屈服してきた最大問題が区職労執行部を牛耳る日本共産党の問題です。

 敗北主義・奴隷根性がしみついているだけでなく、現場の労働者の決起が区との亀裂・対立をうむような激突、ストライキにでもなったら組合指導部としての自分の地位・立場・ポストが大変なことになる、自分(区職共産党)が区ににらまれないためには《絶対に反対などさせてはならない》《闘ってはならない》という闘いの抑圧者・規制者・労働代官の思想、きわめて利己的な保身的意識が区職労指導部を牛耳る日本共産党にはあるということです。

 労働者の利益や権利をめぐって区と争って区ににらまれて区における自分たち(日本共産党)の地位を危うくするより、たとえ現場の組合員や労働者にはなはだしい不利益や無権利の犠牲をもたらしても区にすり寄って区のお墨付きを得て区の威を借りて組合権力を握っているほうが党の安泰の利益になる!-これが杉並区職の日本共産党の考え方だ。

 今度の組合大会での区職労執行部の方針案では、日本共産党の今日の情勢下で何のインパクトもリアリティもない、誰も見向きもしない「革新区政」「革新都政」、オバマ礼賛の「核兵器廃絶」、「アメリカとの日米友好条約」で「基地を無条件撤去」という「運動方針」が語られることはあっても、新たな職員1000名削減計画や民営化に対する反対闘争・職場闘争への取り組みには一言も触れられないでしょう。区には痛くも痒くもない「無害」なことです。

 山田宏と区の経営中枢が区の職場やそこで働く労働者に対して直接に乱暴に強権を振り回さなくても、区が行革・民営化攻撃の意思と政策を示しさえすれば、あうんの呼吸で区職の共産党が組合権力を使って現場の反対の声や職場闘争が起きないようにするので、フリーパスで区の攻撃を円滑に通すということができたというわけだ。山田宏は最初はサッチャーばりの脅しで区職の共産党を縮みあがらせ、後は“区の経営の一翼”にでもなったかのように錯覚するようにポストを与えて区職・共産党を手なづけ、馴化して労働者支配、組合支配の役割を担わせてきた。

日本共産党がやっていることは、民主党・連合と同じ。

労働者を資本に従わせる支配の道具に労働組合を変えるものだ

 杉並区職の日本共産党に区職労=労働組合を牛耳らせておくことはできません。「共産党」などと名乗り続けていますが、革新でも左翼でもありません。区職・共産党が区職労の組合権力を維持し手放さないのは闘いのためではありません。現場の組合員、労働者の闘いを妨げ抑え込むことで区に貢献して区に認められ党派として区のポストを得るためにほかなりません。

 そもそも日本共産党は、党の正式決定によって党の綱領から「労働者階級の党」を概念・理念としても文言としても削除した転向政党。日本共産党は資本主義に対してまったく反対してもいなければその廃絶の立場にも立っていない。「資本主義の枠内での改良」「大企業との対話によるルールある資本主義の運営」「適正な解雇ルール」、これが大恐慌・大失業の攻撃が吹き荒れ、資本主義が労働者=人間を食わせられなくなり、労働者が社会の主人公として資本主義を覆し、社会を変え、歴史をつくるために生きんがための反乱に決起すべき時代に、日本共産党が言っているすべてだ。

 日本共産党は単なる「改良主義の党」ではありません。クビきりひとつをとっても明らかなように、労働者と資本の関係は非和解的です。この労働者と資本の非和解的関係のもとで「労働者階級の党」を自覚的に投げ捨てた党とは、どこまでも労使和解で資本にすりより、どこまでも資本に気に入られるように労使協調で立ち居振る舞い、それゆえ、どこまでも労働者の決起に対して資本主義を守る防波堤、闘いの抑圧者、敵対者として行動する資本を擁護する党だということです。国鉄分割・民営化反対、解雇撤回1047名闘争の解体の先頭に日本共産党は立っています。

  日本共産党の転向と際限ない右旋回の変質は、資本の攻撃に反対することが何を意味するか、すなわち処分や報復の弾圧を招くことを恐れ、闘って弾圧を打ち破って進むのではなく、絶対に自らが弾圧されることがないように、「決して反対していない」ことを資本に認めてもらうことに汲々とするところにあります。さらに、そのためにも「絶対反対」に反対して現場の決起を封殺・封印することに全力をあげ、そうするだけでなく資本の攻撃の先兵や受け皿となる方針を掲げ推進するところにあります。

 杉並区職では、職員1000名削減の杉並行革・民営化攻撃に反対しないばかりか、自らの拠点職場である保育園に加えられた民営化攻撃=指定管理者制度実施攻撃に屈服し、自らNPO法人を仕立てて指定管理者の受け皿を買って出て、指定を受けることによって組織の温存をはかった。山田宏がこの日本共産党系NPO法人による保育園の管理・運営を「大幅なコスト削減で長時間の保育延長のサービス向上」と広報すぎなみ「区長からのeメール」で称賛したように、「低コスト、サービス向上」の杉並行革・民営化の先兵として日本共産党は忠勤している。そして地域図書館12館全館指定管理者制度実施への絶対反対の声の圧殺と「第三者機関設置」による「図書館行革提案での労使交渉の妥結」の裏切りです。

 山田区政11年1カ月への杉並区職労の屈服の歴史を塗り替え、屈辱のくやしさから労働者の闘いの復権をかちとる闘いが求められています。杉並区職の日本共産党による組合支配、労働者支配をはねとばす絶対反対、団結拡大の闘いをまきおこそう。区職共産党は黙っている(闘わない)ことが党派的利益になるが、私たち労働者は黙っていたら、闘わなかったら区にいいように使いまわされボロボロにされて使い捨てられるだけだ。闘いだけが私たち現場の労働者の利益を守る。団結だけが私たち労働者の明日をひらく。労働者の声をあげよう。 

※次回⑥《裏切りの「妥結」のりこえ、指定管理白紙撤回、図書館民営化絶対反対の声をあげよう》に続く

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杉並区職労6月組合大会(④)労働者の生きんがための武器、組合を取り戻そう

2010年06月01日 | 杉並区政と区職労働運動

 杉並区職労執行部は、今次組合大会への総括、報告の議案には、11年1カ月の山田区政への言及も批判もいっさい行わないという方針です。杉並を基盤に東京選挙区から山田宏が参議院選挙に立候補するという、このときに杉並行革に深甚の苦しみを強いられた当事者、区職労働者の怒りの総決起を呼びかけようともしない!これは山田宏を杉並区職労が労働組合として参院選で応援するようなものです。どこまで腐っていくというのか!

 自治体(杉並区)の職員定数を5分の1(1031名)も削減する、区の事業を6割も民間に委ねるという自治体労働運動にとって甚大な結果に至った山田区長の杉並行革は、それを認めてズルズルと後退し続けてきた区の労働組合=杉並区職労の屈服の問題ぬきには語ることはできません。区職労の総括・報告に山田区政についての言及が一言もないのは、山田区政に言及すれば労働組合にあるまじき自らの裏切り的屈服の責任問題を露呈せざるを得ないからにほかなりません。区職労執行部とりわけ執行部を牛耳る日本共産党が言うように「民営化の流れ」というような客観主義的な認識・総括は、山田区政11年1カ月のもとで労働者が味わされてきた塗炭の苦しみとくやしさに対する冒とくであり、ごまかし以外の何ものでもありません。

民営化の最大の対決点は労働組合が屈するか闘うか 

 新自由主義の民営化は、20万人の国鉄職員のクビをきり、2百名の自殺者を生みだした国鉄分割・民営化がそうであるように、イギリス・サッチャーの国営炭鉱ストライキへの軍隊の出動がそうであるように、労働者のいのちも犠牲もいっさいかえりみるところのない労働組合と労働者に対するむきだしの暴力的攻撃がその本質です。山田宏の「区職員定数1000名削減」の行革の断行と杉並まるごと民営化の強行も同じです。まるで不可避であったかのような「流れ」などというものではありません。

 民営化とは、政府、資本家階級と労働組合、労働者階級との資本主義の存亡のかかった非和解的攻防、階級戦争そのものです。サッチャーは軍隊出動による壊滅の恐怖のもとにイギリスの労働運動指導部を屈服させ味方につけることによって民営化の道を開きました。山田宏は「1000名クビきり」という区職労解体・一掃の恫喝で杉並区職労指導部を震え上がらせ、「反対」させずに、区職労指導部を手下とする「労使協調」に深々とひきずりこむことによって、11年1カ月間を通して一戦も交えることなく1031名削減・6割民営化を強行できたのです。

労働者の怒りと決起の力を信頼できない区職労指導部

 山田区長の「職員1000名削減」を掲げた行革・民営化攻撃が打ち出され、区の職場で広範な危機感と怒り、不安が渦巻いているとき、労働組合が真っ向から反対の方針を提起し職場討論を組織し「職員1000名削減・スマートすぎなみ計画」の白紙撤回の方針を決議し闘うことこそが求められていました。

 しかし区職労指導部は「反対」を打ち出さなかった。「民営化に機械的に反対するのではなく」と称して人員削減反対・民営化反対・合理化反対への取り組みを否定し、「反対」を打ち出さないことを一貫してごまかし続けてきた。そうやって毎年毎年100名規模で人員削減され、職員の労働が過酷となり、学校給食、保育、保健福祉をはじめ次々と職場が民間委託化・民営化され、毎年数百名の生計に事欠くような低賃金の非正規職員が新たにつくりだされていくことに暗黙の積極的協力をしてきたのが区職労、その指導部だった。

 ここには現場の労働者の怒りと闘いの力を信頼しない労働組合指導部の問題、労働者が闘ってもどうせ勝てっこない、闘うだけ無駄だ、長いものには巻かれよというまったく誤った考え方が貫かれています。現場の労働者がそう思わされている以上に、攻防の先頭に立つべき労働組合指導部自身が「闘っても勝てない」「闘うだけ無駄」「長いものには巻かれろ」という奴隷根性に染まりきっていること、このことこそが最大の問題です。

 現場の職員、労働者にとってこの屈辱的屈服をこれ以上続けるわけにはいきません。現場から労働者の声をあげ、闘いをまきおこし団結を拡大して、職場からの闘いの中で労働者自身の指導部をつくりだすことこそ必要です。それは「闘う労働組合」「組合の闘う指導部」をつくりだすという課題の確認にとどまりません。労働組合をおとしめてきた現在の組合指導部を打ち破り、のりこえて闘うという闘い、日本共産党による組合支配を吹き飛ばす闘いを今こそ開始しやりぬこうということです。

 ※次回⑤《杉並区職・日本共産党に対する批判》に続く

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杉並区職労6月組合大会(③)11年1カ月の山田区政を徹底弾劾しよう

2010年05月29日 | 杉並区政と区職労働運動

  山田宏は杉並区長をこの5月31日臨時区議会をもって辞任します。既にニュースでご存じの通り、日本創新党党首として7月参議院議員選挙に出馬するためです。参院選出馬に際して山田宏は「10年間で1031名の職員を削減し、区の事業の6割を民間委託・民営化した杉並改革の効果を国政に及ぼす」「財政再建の実績をもって、世界最大の累積債務残高でこのままでは3年ももたずに国として沈没する日本を救う」と言っています。

 行革・民営化と区職労働者は全力で闘おう

 

  この山田の言辞は断じて許すことはできません。山田宏は区で働く労働者の怒りの徹底弾劾を浴びることもなくこのまま国政の場に「杉並で行った行財政改革の手法」を携えていけるとでも考えているのでしょうか。

 山田区長の区長辞任によって、杉並区の労使関係は新たな重大局面を迎えます。奇しくも区職労の組合大会が行われる6月24日に公示される参議院議員選挙とともに杉並区長選挙も7月11日投票です。自民党は現区議会議長・富本卓を区長候補として擁立します。民主党は現都議・門脇文良を区長候補に擁立します。

 富本卓は現衆議院議員・石原伸晃の元公設秘書、杉並区議会議員としては山田行革の推進、民間活力導入の急先兵であり、山田区長の「杉並改革の総仕上げ」を区議会議長として積極的に進めた人物であり、減税基金条例案の提出を前にしてそれを審議する区議会の議長でありながら山田区長との2010年新春対談で積極的に宣伝した人物です。

 門脇文良は民社党・同盟からスタートした人物であり、山田区政を高く評価し、とりわけ山田宏の「北朝鮮による日本人拉致問題の解決を求める取り組み」「共感の輪(ブルーリボン)」運動を称賛し自らも「北朝鮮による日本人拉致問題の完全解決を図る都議会議員連盟」副会長になっている人物です。

 いずれも山田行革、「杉並改革」の継承者として職員削減・民営化・福祉きりすてを強行することを区長公約に掲げることは明白です。

  山田区長辞任によって、区職労に問われているのは、富本行革・民営化門脇行革・民営化か、よりましな行革・民営化かではありません。

  山田宏は「10年間の職員定数削減と事業の6割の民営化、そして減税基金条例制定で後戻りできない改革のレールを敷いた」「実感として杉並ではあと1000名職員を減らしても行政に支障はない」と言っています。山田行革・「杉並改革」をひきつぐ行革・民営化そのものに屈するのか、それと闘うのか、この一点です。労働者を行革・民営化によってますます非正規化・無権利化に引きずりこまれることに従うのか闘うのかです。

 区職労(杉並区職員労働組合)は区ににらまれないように立ち居ふるまうことでダラ幹のポストにしがみつく一部組合官僚のためにあるのではありません。区で働く正規・非正規8000名の労働者のもの、ひいてはすべての杉並の労働者住民のものです。区職8000名の労働者にとって山田行革は何をもたらしたのか。今こそ山田区政に対する積りに積もった怒りとくやしさを何倍にもして山田宏に叩き返す時ではないでしょうか。

 山田宏が「杉並改革」で行ったこととはそもそも何だったのか

(1)退職不補充という手法で毎年100名規模の職員定数を削減し続けてきた。10年間も毎年毎年100名規模で職員を削減してきた。山田は「クビをきったわけではない」というが、法律上の「解雇」でこそないが実態は辞めさせた、そこに仕向けた「クビきり」に等しい。

 最初は「定年退職数の不補充」ではじめ、職員(欠員)を補充しないことで職員に労働強化を強い、労働者間に競争をもちこみ、年々の「退職不補充」・労働強化のもとでひきおこされる身体的精神的な病気や職場の人間関係の紐帯の崩壊等を理由とした退職者を続出させ、辞めるように仕向けることで職員数をバサバサと削り込んできた。辞めた、また辞めさせられた1031名の職員中過半は病気とボロボロにされる疲弊にもとづくものだ。

(2)山田宏が機会あるごとに強調する「あと2年で完済する区債の解消」「財政再建」は1031名の職員の削減と極悪の低賃金・不安定雇用、民営化・非正規化、無権利化というおびただしい労働者の苦しみの犠牲による血塗られた「実績」にほかならない。

「常勤ひとり分の人件費より非常勤二人分のほうがコストは安くつく」「受託競争で安値で買いたたける民間委託のほうがコストダウン効果は大きく財政再建により資する」として職員の非常勤化と民間委託化を強行した。当サイトで繰り返し明らかにした指定管理下の図書館職員(民間派遣スタッフ)の時給水準は800円台、月額10万円にも満たない、そのうえ明日のない1年限りの雇用関係だ。図書館事例は「すぎなみ民営化」の表面化した氷山の一角に過ぎない。山田宏は4千名規模で使い捨ての官製ワーキングプアをつくりだした。

(3)山田区長の11年1カ月の「杉並改革」で区の職場はどうなり労働者と家族はどこに突き落とされているのか。

どんなに働いても最低限の生計を維持することができない低賃金、生活を維持するために必要な収入を得るためには病気になるほど死ぬほど働かなければならない長時間労働、明日のない雇用関係、要するに、労働者がみんなで仕事をする職場が、働き続けることができない職場、不払い(サービス)残業ばかりしている職場、仲間がバラバラにされ競争を強いられ、モノも言えない職場に変えられた、ここでボロボロにされ踏みにじられ傷つけられているのは、労働者=人間であり、いのちであり、労働者=人間としての誇りだ。仕事をしているのは労働者=人間であるにもかかわらず、モノ(消耗品、機械の部品)のように使いまわされ、使い切られ、使い捨てられるだけの存在に貶められた。

 区職で働く正規・非正規の皆さん、労働者の皆さん、約めて言えば、こういうこと(上記)ではないでしょうか?区職だけではありません。新自由主義による民営化・非正規化のもとで全国全世界の労働者が資本家政府と企業によって突き落とされている現実にほかなりません。

 『蟹工船』職場・・・労働者=人間の復権は怒りから 

 

   戦前、小林多喜二は『蟹工船』で労働者階級の状態を描きました。それは凄惨なまでの貧困と悲惨を描くとともに、そこからメラメラと燃え上がる労働者の怒り、どん底から立ち上がり、身体を張って闘い、団結を武器として仲間と闘争を拡大して職場を奪還し資本家を震え上がらせる労働者階級の底力を何よりも伝えています。

 私たち区職に働く労働者が自らの復権をかちとるということです。山田区政11年1カ月に対する怒りをあいまいにしてしまったら私たちは労働者=人間としてどん底からはいあがることはできないし、現状は1ミリも変わりません。しかし怒りを山田区政に叩きつける、気持ちを一歩前に出すことができれば現状をひっくり返すことはできます。私たち労働者の強みは、労働者であれば多かれ少なかれ同じ気持ちである、そういう現実を強いられている同じ仲間であるということに尽きます。

  山田宏が辞めるのではない、私たちが怒りをもって、怒りを叩きつけてこの杉並の職場、杉並の地から追放する、叩きだすのだということです。人員削減された1031名のくやしさ、非正規4000名の苦しさ、区に働く8000名の労働者の怒り、そのすべてを労働者階級の怒りとして山田宏に叩きつけよう。 

*次回(④)以降の記事の予定について

 杉並区という職場で職員、労働者がおかれているひどい現実は、山田区長の独裁的権能だけでそうなったものではありません。山田宏の新自由主義(サッチャー主義)の公務員削減・民営化政策を「民営化の流れ」と言ってまるで「抗することができない時代の流れ」であるかのように容認し、絶対反対の対決方針をとらず、労働組合としての闘いを放棄し、ズルズルと後退を重ねてきた杉並区職労の変質が、今日の事態をもたらしたのだということです。

 順次お伝えしていきます。骨子は概略以下のようなものです。組合権力ポストにしがみつく日本共産党の山田区政への全面屈服、図書館全館指定管理反対闘争での裏切りの「図書館行革提案での妥結使用者=区に対して「闘わない労働組合」を誓う区職労共産党(屈服の極致は何か?

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杉並区職労6月組合大会(②)指導部が後退を重ねても労働者はのりこえて前進する

2010年05月21日 | 杉並区政と区職労働運動

労働者と資本との非和解的激突が闘いの基調となる時代 

  日本共産党が組合の執行部を牛耳っていることから三期にわたる山田区長の職員削減・民営化の杉並行革攻撃に対して屈服と後退を重ねてきた杉並区職労のこれまでの経過がどうであろうと、始まっている政治的激動情勢は今こそすべての労働者人民が声をあげて立ち上がる、すべての労働組合が労働組合として総決起すべき時代の到来を告げ知らせています。 

  ギリシャの労働組合の空前のゼネストと大規模デモ、ギリシャ労働者人民の暴動的決起は、私たちにとって「よその国の出来事」などではありません。世界恐慌のもとで労働者を犠牲にすることで生き延びようとする資本主義の転覆を求める労働者階級の巨大な歴史的決起がついに本格的に始まったということです。杉並区職労の組合大会に際して一番重要な点はこの認識ではないでしょうか。労働者は闘っても無駄なのでもなければ、闘っても無力なのでもありません。資本家と国家が労働組合運動の裏切り者を通して思い込ませてきた「労働者には力はない」「闘うだけ無駄」というデマを打ち破るときがきました。

  杉並区長である山田宏が、ファシスト新党である「日本創新党」党首として7月参議院議員選挙に出馬するのか、しないのか、区長をそのために退任するのかそれとも残任期間も区長として強権を振るい続けるのか、・・・これらは確かに重要な関心事ですが、それでもさほど重要なことではありません。山田宏が区長をやめたあとどうなるのか、山田区長が任期を全うしたあと誰が区長になるのか・・・これらも同様で、さほど重要なことではありません。

  いま杉並区職労にとって、また区を職場として働くすべての職員、すべての労働者にとって最も重要なことは、これからどうなるかではなく、これからどうするのか、という私たち職員自身、労働者自身の態度の問題です。これまで山田区長が、1000名職員削減、まるごと民営化で進めてきたこと、その結果ひきおこされている職場の現実、現場の職員、労働者の労働条件、雇用関係、生活状態、これに対して「よし」「しかたがない」とするのか、いや、そもそもそんな気持ちでいられるのか、「とうてい我慢できない」「もう沢山だ」という気持ちを声にし、仲間同士の団結に変え、闘いに変えるのか、この態度の問題です。

これまでのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である(マルクス「共産党宣言」第一章)

 たとえ総評のもとであれ、1960年安保闘争や1970年安保・沖縄闘争では、労働組合にとって、安保粉砕の大規模デモや不当労働行為をめぐる争議が起きている労働組合への支援・連帯のために労働者がたちあがり、組合がこぞってたちあがるのは当たり前のことでした。ましてや自分たちの職場でひきおこされる労働強化やクビきり等の不当労働行為に対して抗議し反対して声をあげて闘うのは労働組合としては当たり前のことでした。そして決起した組合や労働者は、社会党や共産党の規制・制動、総評の統制をのりこえて、政治闘争の先頭に立つ労働者学生住民や組合つぶしと血みどろで闘っている組合と合流して闘いました。それが労働者というもの、労働組合というものだったからです。

  いま、総評は解散して久しく、資本の手先である連合が「労働運動のナショナルセンター」面(ヅラ)をして労働代官の役割を果たし、日本共産党は60年安保闘争や70年安保・沖縄闘争の時にもまして資本主義の擁護者になり果て、党綱領からも「労働者階級」「労働運動」を削除しているように「絶対に闘わない党」「大企業との対話を通して資本主義にルールある運営を求める改革の党」として変質を完成し、その指導下の全労連も連合と何ら変わらぬ存在となっています。

  では、政治闘争に決起したり、血みどろの労働争議や反合理化闘争、解雇撤回闘争を闘う組合やそれを支援する組合運動はなくなったのでしょうか。労働者の生きんがための闘いの武器である労働組合はなくなってしまったのでしょうか。そういう資本と非和解で闘う労働組合は時代に合わない古臭いものになってしまっているのでしょうか。まったくそうではありません。沖縄闘争・三里塚闘争を闘い、民営化と対決し、合理化、外注化・非正規化の攻撃を粉砕して闘いぬいている動労千葉をはじめとする闘う労働組合の闘いをみてください。「国鉄闘争の火を消すな」という呼びかけから開始されている「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する新たな全国運動」は労働者と労働組合の未来をかけた闘いとして必ず燃え広がっていきます。

  今日の新自由主義の資本攻勢に対して真っ向から対決し屹立している動労千葉をはじめとするこれらの闘う労働組合も、最初からずっと以前からそうだったわけではありません。しかし、資本の攻撃、クビきりや合理化攻撃に対して、労働者としての誇りと怒り、仲間と家族への思いから、職場=現場で、一人でも闘うところから声をあげ、労働組合として団結を固め、資本との闘いの中で闘う組合指導部をつくりだし、数十年にわたって不屈の闘いを繰り広げ、そればかりか戦前の労働運動、戦後革命期の労働運動、60年安保、70年安保・沖縄闘争の時代の労働運動、国鉄分割・民営化反対の闘いのすべての経験と教訓を継承・体現して、不抜の拠点として、今日、政府権力と資本の前に立ちはだかっているわけです。

  資本の攻撃に対して一歩も退かず、資本と労働者として非和解で闘う、労働者として団結を拡大・強化して闘う、その職場闘争の不屈の積み重ね、連綿たる蓄積が築き上げてきた労働運動の地平であり、「世の中を動かしているのは資本家や権力者ではない!働いている私たち労働者こそが社会を変え、歴史をつくる主人公だ」とついに言いきって全世界の闘う労働組合のネットワークを呼びかけ形成しつつある労働運動です。

 前掲のマルクスの「共産党宣言」第一章の有名な一節には、ひとつの根本的な歴史観が示されているだけではありません。資本主義という社会的生産関係そのものが資本主義を廃絶し新たな人間社会を組織し運営する歴史的使命を担う労働者階級を生みだすこと、労働者階級の自己解放こそが全人間の解放をもたらすこと、そこに収斂していく資本家(階級)と労働者(階級)の非和解の階級闘争の時代であること、「資本家階級の没落と労働者階級の勝利はいずれも不可避である」ことを示したものです。

 大切なことは、マルクスの時代も、いつの時代も労働者階級の闘いは、幾たび敗北してもそれをのりこえて前進してきたということであり、たえず敗北主義や日和見主義と闘いぬき、屈服と裏切りをはねとばし、のりこえて前進してきた労働者の闘いの歴史だということです。

 私たちが現在直面している情勢、戦後の半世紀を超える自民党支配の瓦解・自滅、新たにとってかわった民主党政権(民主党・連合政権)とその行き詰りから始まっている政治的動乱情勢に際して、杉並区職労が労働組合として右するか左するかというのがあらためて問われているのが今度の組合大会です。

 ご存じのように、日本共産党が組合の執行部を牛耳っていることによって、杉並区職労はこれまで山田区政とその行財政改革・職員定数削減・まるごと民営化の攻撃に対して、際限なくズルズルと屈服し後退し続けてきています。ではもはや打つ手なしなのでしょうか。そんなことはありません。指導部の裏切りと屈服を打ち破って闘えばよいのです。絶対反対の声をあげること、これが勝負どころです。「屈服と裏切りは、必ずそれをのりこえる労働者の新たな闘いを生みだし、闘いは前進していく」という労働者の闘いの核心について確認することは重要なことではないでしょうか。

新たな杉並行革、人員削減・民営化・非正規化に絶対反対!

職場から「労働者を生きさせろ」の声をあげよう

 動労千葉をはじめとして今日政府権力や資本と対決し合理化攻撃、民営化・非正規化攻撃、不当解雇攻撃と闘いぬいている労働組合の力は、現場の労働者自身による職場闘争、現場での資本との火花を散らす闘いを通してかちとられた労働者の団結というかけがえのない力によっています。労働者に対する攻撃に現場でどう向き合いどう立ち向かうか、この絶対反対の職場闘争と団結の問題にこそ、ささやかな改善からストライキ、さらには巨大な反乱に至るまでのすべての答えがあります。 

 区の職場の現実に徹底してこだわって考え、振り返ってみてください。現場=職場で実際に仕事をし働いている私たち労働者にとっては、職員の削減、労働の強化、民営化・非正規化のもとで起きていること、強いられてきていることに対する気持ちは、ほとんど変わることなく同じ一つの気持ではないでしょうか。苦しさ、厳しさ、つらさ、怒り、組合として反対の方針が出されないのはおかしい、許せない・・・この気持ちを声にし、団結にし、闘いにすることではないでしょうか。山田宏は1031名の職員削減のうえに「あと1000名削減しても杉並区の行政に支障はない」とふれ回っており、区の政策経営部もこの一年で同様の行革方針を煮詰めようとしています。職員の皆さん、労働者の皆さん、皆さんは、右の頬を打たれたら左の頬も差し出しますか?冗談ではありません。もう沢山です!問題はハッキリしています。

 区の経営中枢の一角になっているといってよい区職労内の日本共産党が「職場や組合を牛耳っている力」はさほど強力なものでもありません。山田区政・区当局の手先・手下を彼らが任じているということから一見そう見えるに過ぎません。山田区政や杉並区経営当局、共産党の組合ダラ幹を破るのに難しい理屈は要りません。仕事をしている現場の労働者の労働者としての気持をストレートに、ひとつ前に出すこと、そこから反転攻勢、逆転の最初の一歩は始まります。そしてその一歩を踏み出す、それは今だということです。 

 職場で現場の労働者が声をあげ、仲間としてつながって、職員削減や賃金切り下げ、労働強化、民間委託・民営化、非常勤や派遣の非正規の仲間の労働条件・雇用関係をめぐって闘うことです。大切なことは区の経営機構の事実上の一角を担っている組合ダラ幹と区の密室の「労使交渉」から私たち現場労働者の切実な闘争課題を奪い返し、職場討論と職場闘争で、労働組合の団結と闘いを私たち自身の手に取り戻すということです。職場闘争こそ、労働者がどんな力をもっているか、団結して資本・当局と闘うことがどれほど彼らに打撃を与えるか、そのことを彼らがどれほど恐れているかを完全に明らかにします。

杉並区役所=“蟹工船職場”に労働者の団結を復権しよう

 具体的テーマを例にあげます。たとえば指定管理者制度の地域図書館全館への導入で図書館職場で働いている派遣職員の時給850円、司書資格者でもプラス10円といった水準が区の指定を受けた企業(人材派遣会社)の求人情報では出ていました。労働組合たるもの、同じ労働者として、これに対してどういう態度をとり何をなすべきか。リクナビによれば、2010年2月現在までの関東圏での「オフィスワーク」の派遣の平均時給は下のグラフの通りです。1490円~1510円といった推移がわかります。私たちはグラフが示す派遣の平均時給そのものが著しい低賃金であり、労働者派遣法・制度そのものを廃絶すべきと考えています。これは一つの目安に過ぎませんが、図書館スタッフの給与はこの23区オフィスワークのスタッフの6割にも満たないことがわかります。

 自治体の民営化や指定管理者制度が官製ワーキングプアといわれるのはこの実体を指していわれているものにほかなりません。しかも雇用契約期間は一年、明日の保証のない不安定雇用です。小林多喜二の『蟹工船』がたくさんの青年労働者に読まれている中で日本共産党はブームにあやかるように「戦前のすぐれたプロレタリア文学」として入党オルグに利用はしても、現実の“蟹工船職場”で民営化・非正規化・無権利化と闘おうとは絶対にしません。時給850円水準の非正規職を二百、三百という規模でつくりだすことになる図書館指定管理者制度実施に対して、労使協調で「図書館行革の妥結」をはかった張本人が区職労内の日本共産党です。

  

  労働組合たるもの、民営化政策、指定管理者制度という区の経営方針に「絶対反対」で闘わずして、労働組合たりえるでしょうか。「非正規の問題は、経営の問題だから労使交渉になじまない」と区に言われて、「ハイ、そうですか」と言い「区の経営の問題だから組合としては取り組みようがない」として区と闘わない組合は労働組合たり得ません。

  図書館全館指定管理者制度実施をめぐる問題は、職員定数1000名削減の問題と並んで、三期にわたる山田区政の行革・民営化攻撃であるとともに、杉並区職労の屈服そのものであったと言わねばなりません。本気で労働条件や雇用関係を争い、労働者のために闘う本来の労働組合をよみがえらせる必要が絶対にあります。区で働く正規・非正規8千名の労働者の生きる権利、未来がかかっています。

  問われているのは労働組合としての原点です。ギリシャでは何波にもわたって給与削減、年金削減、増税に反対して官民労組が巨大なゼネストに立ち上がっています。私たちと同じ労働者の仲間が立ち上がっている闘いです。

※次回(③)に続きます。図書館全館指定管理と杉並区職労というテーマでお伝えします。

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杉並区職労6月組合大会  職員削減・民営化と「闘わない」ためのゴマカシ(①)

2010年05月18日 | 杉並区政と区職労働運動

 杉並区職員労働組合の組合大会がこの6月に開催されます。私たちは区を職場として働くすべての職員、すべての労働者の皆さんに、労働組合とは労働者にとって生きるための闘いの武器であり団結の武器であるという原点に立ってこの組合大会に闘いの息吹をよみがえらせ闘いの声を集中することを呼びかけ訴えるものです。とりわけ私たちは、杉並行革・民営化・非正規化に断固たる対決を訴えるとともに、あえて国鉄1047名闘争「普天間」問題という全国的正面課題に対する杉並区職労の労働組合としての階級的態度を厳しく問うところから、すべての組合員の皆さん、区で働くすべての労働者の皆さんに呼びかけたいと思います。

≪解雇撤回・職場復帰、国鉄1047名闘争の火を消すな!の声をあげよう≫

 なぜなら、第一に、いま、日本の労働組合運動にとってその生き死に、未来がかかった天王山の攻防として23年間にわたって闘いぬかれてきた解雇撤回・国鉄1047名闘争の闘いの火を消さないことが求められているからです。

 「国労を解体し総評をつぶして座敷を綺麗にして新しい憲法を安置する」という明確な政財界の狙いのもとで「戦後政治の総決算」のために加えられた攻撃が国鉄分割・民営化でした。総評は解散し連合が既成労働運動を支配し、国労中央はとめどなく変質を遂げ続けてきましたが、しかし、これに対して真っ向から立ちはだかってきたのが1047名解雇撤回・国鉄闘争です。イギリス・サッチャーを先頭とした欧米各国における新自由主義と労組破壊・民営化の激烈な進展の中にあっても日本における民営化攻撃が政財界の思惑通りには進展せず、改憲攻撃も阻まれてきた、その最大の力こそ国鉄1047名闘争であり、幾波にもわたってストライキを闘いぬき、JR=分割・民営化体制を揺るがし、追いつめてきた動労千葉を先頭とする国鉄労働者の闘いでした。

 自民党歴代政権とJR資本はありとあらゆる弾圧と攻撃にもかかわらず、国鉄1047名闘争の解体と分割・民営=JR体制のもとでの外注化・非正規化を進めることに成功しませんでした。この1047名闘争の解体のために、自民党にとってかわった民主党政権が連合支配をも徹底的に前面化して加えてきた攻撃が、4月の「政治決着」「金銭解決」の政府提案であり、国労中央と4者4団体によるその受け入れでした。

  「いっさいの訴訟を取り下げる」「二度と不当労働行為や雇用の存在を争わない」「そのことを正式に機関決定する」ことを条件とする「金銭解決」案を国労中央・4者4団体が飲んだということは、国鉄分割・民営化を全面的に容認し、23年間の解雇撤回1047名闘争を否定・清算し、国労が組合として完全に解散し連合のもとにおさまるという以外の何ものでもありません。二十万人の国鉄職員のクビをきり、二百数十名が自殺に追い込まれてきた国家的不当労働行為に対して、一言の謝罪もなく、それをことごとく居直り、1047名闘争そのものの解体・終焉させようとしていることに対して、それをよしとして従うように闘争団に強要するものです。カネで労働者の魂、人間としての誇りを売り渡すことなど労働者にはできません。

  国労は機動隊に守られて大会を強行し4・26臨時大会で政府案受け入れを決定しましたが、動労千葉争議団と闘争団労働者がこの「解決案」を真っ向から弾劾・拒否し、あくまで解雇撤回・職場復帰まで闘うことを宣言して立ち上がっています。いま全国でこの動労千葉と闘争団労働者の不屈の決起を支援しともに闘う声があげられ新たな全国的運動が始まろうとしています。政府・マスコミの「解決」キャンペーンのもとで、「解決」を「1047名の不屈の23年間の闘いが政府に強いたもの」「不屈の闘いが報われて、解決してよかった」と思い込んでいたたくさんの人々が、「解決案は1047名闘争の圧殺だ」「1047名闘争は続いている」「解決などしていない」という闘いの真実を知らされて「国鉄闘争の火を消すな」の呼びかけに支援の声を寄せるという状況が街頭をはじめとして広範に起き始めています。

 一人のクビきりも許すな。一人が万人のために、万人が一人のために!これは労働組合の原点です。いま政財界が国と地方の公務員労働者の大量削減と民営化をおしすすめようとしている中で、すべての労働組合、労働者に、この労働組合の原点にかかわる一歩も譲らない闘いが求められています。その先頭に立っているのが、動労千葉と闘争団労働者を先頭とする国鉄1047名闘争です。

 杉並区職労執行部を牛耳る日本共産党は、「国鉄1047名解雇問題」の「解決」に与しています。しかし私たち労働者には労働者の魂、誇りというものがあります。杉並区職労が労働組合である以上、労働者の解雇撤回闘争をカネで貶め、解雇撤回の先頭に立つ当該闘争団労働者をきりすて裏切るありかたに賛成することなど許されるはずがありません。解雇撤回・国鉄1047名闘争は杉並区職労の根本を質す分岐点ではないでしょうか。

≪沖縄基地撤去、日米安保をつぶそう!労働組合としてこの闘いにストレートに取り組もう≫

 第二に、目下、最大の国政問題となっている「普天間」問題です。この点については、マスコミが報じる日々の報道でも皆さん、ことごとく周知のところです。

  はっきりしているのは、沖縄県民も徳之島はじめ「沖縄県外移設先」住民も、百パーセント「基地廃絶」「基地撤去」を願い、求め、怒りをもって鳩山政権の「普天間基地移設・政府案」に絶対反対であり、普天間基地即時閉鎖・基地撤去を求めていることです。国策として「抑止力」「日米安保」のために沖縄に恒久的基地の存続と再編・強化の犠牲を強い、さらに各地に新基地建設を強行しようとしているのが日米政府であり、とりわけ鳩山政権です。基地の元凶は日米安保であり、日米安保とは戦争です。

  基地をなくし日米安保体制を廃絶する闘いは、政府に日米交渉での解決を求めることでは絶対に解決しません。70年安保沖縄闘争がそうだったように、労働者のゼネストと全国での決起こそが求められています。70年安保・沖縄闘争で、沖縄が全軍労を先頭に全県ゼネストにたちがった時、本土の労働組合もまたストライキや大規模デモにたちがりました。いま求められている闘い、まきおこりつつある闘いとは、70年安保・沖縄闘争をもはるかにこえる闘いです。職場での仕事で社会を動かし支えている労働者がストライキや街頭デモで政治闘争にたちあがることこそ社会を変え政治を変える最大の力です。「普天間」問題とは、誰にもストレートに絶対反対で声があげられる、またあげなければならない闘いであり、沖縄基地撤去、新基地建設反対、日米安保粉砕-それ以外にいかなる答えもない明瞭この上ないストレートな問題です。沖縄全島がそうしているように、徳之島全島がそうしているように、全国の労働者人民が、とりわけ労働組合たるもの、ストレートに掲げ、取り組むべき闘いです。

 ここでも杉並区職労執行部を牛耳っている日本共産党の抑圧的役割は全面的な妨げとなっています。「核兵器の廃絶」(アメリカをはじめとする数国の大国による核独占)で「世界平和の使徒」を装うアメリカ・オバマが「普天間」問題で何を主張しているかは皆さんご存じのとおりです。日本共産党は自民党・公明党・みんなの党と一緒になって鳩山政権の「普天間」政策を批判していますが、労働者人民の総決起に訴えて基地撤去・安保粉砕の闘いをすすめるという立場・方針には絶対に立ちません。そもそも日本共産党は、沖縄を核基地として恒久的に維持しようとしているオバマを「核廃絶、世界平和の推進者」として礼賛しています。オバマは沖縄県民に「名護市辺野古沿岸部新基地建設」の政府間合意の履行を求めています。核をなくし基地をなくすのは労働者住民自身の闘いであって、政府間交渉ではありません。

 労働組合は職場闘争を闘うとともに、政治闘争にたちあがることによって団結力と闘争力を強めることができます。労働者は職場や産別を超えて労働者が一斉に一緒になってたちあがることで労働者階級として持っている力に気付き自覚することができます。「普天間」問題、70年安保・沖縄闘争をこえる政治的激動情勢は杉並区職労に進路選択を問う分岐点となっています。

≪杉並行財政改革・民営化・非正規化と全力で闘おう≫

 そして最大の問題は、山田区政3期12年への屈服を打ち破ること、杉並行革・人員削減・民営化・非正規化の攻撃とどう闘うかという点です。

※次回に続きます。

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